ダブルディグリープログラムは慶應義塾と協定校の合意のもとで準備された一連のカリキュラムを修了すると、両校から同時に学位を取得できる仕組みです。ここで紹介する協定校では、いずれも慶應義塾大学大学院理工学研究科から修士(工学または理学)の学位が、先方からは工学修士相当の学位がそれぞれ取得できます。そのためには、慶應義塾においてだけでなく、派遣先の協定校で提供される正規カリキュラムに定められた進級要件を満たすことが必須となります。また、正規カリキュラムの学習に加えて、異なる文化圏での生活を経験することにより国際化・グローバル化が進む社会の成り立ちに理解を深めることが期待されています。

このプログラムは欧州の理工系高等教育機関のネットワークである T.I.M.E. Association の推奨する方式に準拠しています。T.I.M.E. Association は、欧州域内の2 つの文化圏で2 つの言語を駆使して活躍できるエンジニアの育成を目的として、修士課程におけるダブルディグリープログラムの運用を行う理工系高等教育ネットワークとして設立されました。1989 年に16 の大学によって最初のグループが構成されてから、その考え方に賛同する大学が順次集まり、現在では別表に示すように欧州内外の多数の機関が参加しています。これまでに欧州全域で多数の修了生を輩出しています。慶應義塾大学は2005 年に開始したエコールサントラルとのダブルディグリーをきっかけとして、2007 年に東北大学と並んで日本の大学として初めて加盟を果たしました。EU統合に象徴されるように、欧州域内では国境はもはや大きな意味を持たず、人も物も自由に往来しています。そのような環境では異なる文化・言語を理解する専門家の輩出が喫緊の課題であり、T.I.M.E. Association は各国の理工系高等教育機関の連携によりそれを実現しようとするものです。

ダブルディグリープログラムは、単に2つの学位が取得できるだけではなく、専門分野の学習と異なる文化圏への理解が深まるという点で、国際的人材育成に極めて重要な役割を果たすと考えています。将来、世界で活躍をしたいと考えている人は、是非チャレンジしてください。

学部生対象ダブルディグリープログラム

学部生対象ダブルディグリープログラムは、学部2 年生を対象として参加募集を行うものです。学部の3・4 年に相当する2 年間を協定校で学び、帰国後は大学院(理工学研究科)修士課程に入学します。修士課程を修了した時点で慶應義塾から修士(理学または工学)の学位が、協定校から工学修士相当の学位がそれぞれ授与されます。合計すると、慶應の学部2 年間+協定校での2 年間+慶應の修士課程2 年間で6 年間の一貫課程となりますが、日本と欧州で年度開始の時期が半年ずれているために修士課程修了は9 月となり、大学入学から修了まで実際には6 年半かかることになります。

派遣先での学習内容は、1年目はジェネラリスト教育(専門に偏らず広い分野を修める)を標榜しており、慶應の理工学部のような学科別の専門教育とは異なります。したがって、専門を深めるための学習ではなく、広く一般的な工学およびその関連分野の基礎知識を身につけたい人にとっては、魅力的なカリキュラムと言えるでしょう。2年目になると、専攻と言えるほどではないものの、希望する分野に寄せた履修が可能になります。専門分野について深く勉強するのは帰国後で、慶應の修士課程で修士論文のテーマとして行うことになります。このとき、学部4年の卒業研究を行わずにいきなり大学院で専門を選ぶため、派遣前に所属していた学科とはまったく異なる分野を専門として選ぶことができます。過去に参加した学生のなかには実際にそうしている人たちが半数近くいます。

修士学生対象ダブルディグリープログラム

修士学生対象ダブルディグリープログラムは通常2 年間の修士課程を3 年間に延長して慶應と協定校の2 つの大学院を行き来して学びます。修了と同時に双方から修士の学位を取得することができるプログラムで、修士課程に進学予定の学部4 年生を対象に募集を行うものです。いずれの派遣先にも共通するのは、修士1 年目の春学期を慶應で過ごしてから夏休みに協定校に移り、先方で1 年半または2 年間にわたり滞在し、帰国後に慶應で修士論文を仕上げるというプロセスです。この場合、欧州と日本の間にある半年間のカレンダーの違いは学習期間に吸収されるため、慶應の修士課程修了は3 月となります。

理工学部から大学院に進学する多くの人は学部4 年次に卒業研究で取り組んだ専門分野を大学院でも学び続けるので、派遣先で学ぶ専門分野はダブルディグリーに申請する時点であらかじめ定まっていることが想定されています。また、派遣先から帰国したときには、修士1 年春学期に「課題研究」を行った研究室に戻り、引き続き修士論文のための「特別研究第1」に着手することから、申請に先立って慶應の研究室の指導教員と帰国後のことまでよく相談しておく必要があります。仮に慶應の指導教員と専門が近い研究者が派遣先協定校にいる場合、その研究室で修士論文の準備をすると帰国後の接続がスムーズとなるので派遣先での学習内容がとくに有効に活用されます。

募集要項

派遣生達の声

毎月ダブルディグリー派遣生から送られてくる協定校での生活の様子を綴った報告書は、下記リンクより閲覧可能です。履修中の授業内容や現地の情報が網羅されていますので、留学を検討している方はぜひ参考にしてください。(記載されている内容は留学時の情報に基づくもので、現在では制度やカリキュラムなどが変更されている可能性がありますので ご了承ください。)
なお、留学報告書のページを閲覧するには、keio.jp認証画面において慶應IDでの認証が必要となります。

奨学金情報

ダブルディグリープログラム留学向けの奨学金として、一般財団法人NSK奨学財団より、2020年度も理工学部・理工学研究科派遣生向けに1名の推薦枠を頂いています。また、理工学部ダブルディグリー生においては、フランス政府奨学金の受給実績もあります。理工学部国際担当では、理工学部・理工学研究科ダブルディグリー派遣生向けに「国際人材育成資金・基金」海外留学奨励金への受付も行っており、その他、各国政府奨学金(例:ドイツDAAD奨学金)や日本学生支援機構海外留学支援制度(大学院学位取得型)などもあります。各奨学金の詳細については、以下ページよりご確認ください。

留学情報メーリングリスト

ダブルディグリープログラムパンフレット

2010年8月2日公開

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