本プログラムは慶應義塾大学と海外教育機関との協定に基づき、本学大学院理工学研究科から修士(理学または工学)、派遣先機関から工学修士相当の学位がそれぞれ授与されるダブルディグリープログラムです。

プログラム概要

ダブルディグリーの概念図

本学大学院理工学研究科修士課程1年春学期科目の履修を終えた後に秋学期から派遣先教育機関へ1年半留学します。1年半後の4月に慶應へ戻り修士課程2年に進学し、1年後の3月に修士課程を修了すると慶應義塾の修士号と同時に派遣先教育機関からも工学修士相当のエンジニア資格が授与されます。修士課程入学から留学期間を含む合計で修士課程3年間のプログラムです。派遣先では英語で開設されているコースを受講します。

専門の選び方

大学院生対象のプログラムでは、通常、学部3年の終わりごろに行われる卒業研究の研究室配属が大きな意味を持つことになります。慶應の修士課程は欧州の大学に比べてカリキュラムにおける研究の比重が高く、学部4年から修士2年までの3年間を研究室で過ごす一貫教育的な性格があります。そのため、卒業研究で選んだテーマによっては、大学院で中断して留学することが難しくなる可能性があります。一方で、慶應と相手校で研究の興味が共通する研究室の場合は、ダブルディグリー派遣生を仲立ちとして大学間の共同研究がスタートするような場合もあるでしょう。実際、派遣先での留学期間中、少なくとも最後の半年ほどは小規模の研究プロジェクトに着手することになっているので、そのテーマを慶應に持ち帰って修士論文として完成させるためには両校の指導教員同士の連携が極めて重要です。学部3年生で研究室や研究テーマを選ぶ際にはそのような発展性が見込まれるかといった点も注意しておくと良いでしょう。

ここで提供するダブルディグリープログラムは異なる2つの専門についてそれぞれ学位を授与するという意味ではないことに注意してください。むしろ、2つの国で学ぶ専門分野や取り組む問題は共通していても、文化的・社会的な背景の違いによって異なるアプローチがあることを体験することが重要です。単に2つの学位を取得できるというよりも、理工学的な専門分野と合わせて文化や言語への理解が深まり、新たな興味を発掘する機会を得るところにこのプログラムの価値があると言えるでしょう。

協定校紹介

ルーヴァンカソリック大学 [ベルギー]

ルーヴァンカソリックキャンパス写真

1425年に創立され、エラスムスが教鞭をとり、メルカトールが卒業したベルギーで最も歴史が古く由緒あるルーヴァンカソリック大学が、1968年にオランダ語を主言語とするKatholieke Universitatと、フランス語を主言語とするCatholique de Louvainに分裂して、ルーヴァン=ラ=ヌーヴ(フランス語圏、ブリュッセルの南東20km) に新しく建設されました。駅を中心に大学の校舎や寮があり、その周りに民家があるという大学の街で、外国人留学生のために英語の授業も数多く行われており、また治安も良いです。

ブリュッセル自由大学 [ベルギー]

ブリュッセル自由大学キャンパス写真

ブリュッセル自由大学は、ベルギー王国独立間もない1834年に創設され、現在7学部7研究所から成る総合大学で、ノーベル賞受賞者を過去に6名輩出しています。名称にある「自由」とは、創設者たちが国家とカトリック教会からの自由、という願いを表したものとされています。フランス語とオランダ語の2つの言語が公用語として使われており、その他にもルクセンブルグ語・ドイツ語などが飛び交う多言語地域です。ブリュッセルはEU本部と関連機関が置かれ「EUの首都」と呼ばれています。このように様々な言語や人種が集まるこの大学では、フランスに留学するのとはまた違った視点で研究活動を行うことができます。

国立高等電気通信学校[フランス]

IMTアトランティークキャンパス写真

IMT と略されるInstitut Mines-Télécomは、1996年に設立されたフランスの経済産業省管轄の工業系グランゼコールの連合体で、12のパートナー機関から構成されています。理工学研究科とは、IMT Atlantique(旧Télécom Bretagne)との間に2007年に学術交流協定、2013 年にダブルディグリー協定を締結しました。2019年から24年はAtlantique校を含む7校との協定でしたが、2025年以降、IMT Atlantiqueとの協定となり、派遣先はIMT Atlantiqueのみとなります。キャンパスはフランス北西部の都市であるナント、ブレスト、レンヌにあります。学生数1800名のうち4割が国際学生であり、70カ国からの留学生とともに学ぶこととができます。IMTはT.I.M.E. メンバー校ではありません。夏に開催のフランス語学研修へは毎年塾生が参加しています。

パリ国立高等鉱業学校 [フランス]

パリ国立高等鉱業学校キャンパス写真

フランスのグランゼコールの一つであり、様々な工学分野の技術者を育成する教育機関です。Mines ParisTech、もしくはEcole des Mines、Ecole des Mines de Paris、あるいは単にMines ParisやMinesと呼ばれることもあります。略称はENSMP。工学系グランゼコールの中で、エコール・ポリテクニーク、サントラルスペレックと並ぶ名門校であり、現在でも入学難易度が高いことで知られています。また、卒業生は実業界において重要な位置を占めるなど、幅広い活躍で知られています。パリの科学技術研究機関であるParisTechの有力なメンバーです。

アーヘン工科大学 [ドイツ]

アーヘン工科大学キャンパス写真

アーヘン工科大学は1870年に創設され、ヨーロッパでもトップレベルの工科大学のひとつです。学術研究スタッフ2786人(そのうち正教授は547人)を擁し、約45,000人の学生達が学んでいます。世界125カ国から約10,000人を超える留学生達が現在アーヘン工科大学に在籍しています。アーヘン工科大学の各研究所・学科の強みは、研究と教育が結びついている点にあります。長年来、アーヘン工科大学は多岐にわたる分野でドイツ内外の研究機関や産業部門と緊密に協力し合いながら活動し、ドイツ経済の発展と成功に実質的に貢献してきました。アーヘン工科大学の役割は、ドイツだけではなく、EU全体の経済・科学の発展においてもその重要性を増しつつあります。

ライプニッツ大学ハノーファー [ドイツ]

ライプニッツ大学ハノーファーキャンパス写真

ライプニッツ大学ハノーファーは、1831年に創設されたドイツにおいて由緒ある科学技術大学です。ニーダーザクセン州ハノーファーにキャンパスを構え、学生数約29,000人のうち約3,600名は海外からの留学生です。科学技術の研究教育においてドイツで最も優秀な大学の一つであり、2018年度にダブルディグリープログラムが始まりました。派遣生は、このDDプログラムの協定先である機械工学科(Faculty of Mechanical Engineering)にて学ぶことになります。

ミュンヘン工科大学 [ドイツ]

ミュンヘン工科大学キャンパス写真

ミュンヘン工科大学はドイツ南部バイエルン州の州都にあるドイツでも有数の工科大学で、理学・工学の広範囲にわたる分野で世界トップクラスの研究者やエンジニアを輩出しています。卒業生のグローバルな就職についてのランキングにおいて13位に入っています(Geurs Global Employability 2025)。ヨーロッパでトップのこのDDプログラムの協定先である物理学科(TUM School of Natural Sciences)は、ミュンヘン市郊外の国公立研究所などが集積するGarchingにある広大なキャンパスの中に位置しています。

ミラノ工科大学 [イタリア]

ミラノ工科大学キャンパス写真

ミラノ工科大学は、1863年に設立されたイタリア最大の工科大学であり、また世界でも指折りの名門工学系大学です。国際的な大学ランキングにおいても、最も優秀な公立大学にランクされています。ミラノ工科大学のメインキャンパスはミラノ中央駅から地下鉄で二駅という街の中心地に位置します。他に景勝地として名高いコモ、レッコなど分野によりミラノ周辺の全部で7箇所に分かれています。

マドリード工科大学 [スペイン]

マドリード工科大学キャンパス写真

マドリード工科大学は1971年に創立されたスペインのマドリードに位置する工科大学です。その起源は18世紀に設立されたエンジニアリングと建築の技術大学にさかのぼる事ができます。毎年およそ37,000の学生が学ぶスペインを代表する名門工科系大学です。

スウェーデン王立工科大学 [スウェーデン]

スウェーデン王立工科大学キャンパス写真

スウェーデン王立工科大学(KTH)は、首都ストックホルムに1827年に創立された歴史ある伝統校です。教育研究内容は多岐に渡り、スウェーデン国内で行われている理工系研究や教育のおよそ3分の1はKTHで行われています。また、積極的に国際交流活動を展開しているほか、企業との共同研究も盛んに行なっています。SustainabilityとInnovationを理念とし、自然豊かなキャンパスを擁しています。なお、KTHの略称はスウェーデン語のKungliga Tekniska högskolanに由来します。

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