慶應義塾は創立以来、「独立自尊」を体現する人材の育成を行ってきました。機械工学分野においても、この精神のもと、自らの力で世界を先導することのできる、創造性と総合力のある技術者や研究者の育成を目指しています。海外におけるトップレベルの大学との交換留学も盛んに実施されており、国際社会をリードする人材を数多く輩出しています。
限りなく広がる機械工学の未来と社会ニーズを視野に入れながら、「ナノ・マイクロテクノロジー」「宇宙・地球環境科学」「ライフメカニクス」の3つの分野を代表的な柱として、独自の教育を行っています。学生の皆さんの好奇心と探求心に応えるカリキュラムや精鋭の教員を擁し、各人の個性を豊かに伸ばし、自己実現の可能性を大きく拓く教育を進めています。
「実体験の重視」「基本の重視」「個性の重視」「コミュニケーション能力の重視」という思想のもと、機械工学の基盤である力学体系を理解するとともに、技術者倫理を踏まえ、地球環境・社会環境も視野に入れた総合的な現象解明や、創造的な設計・ものづくりを遂行する能力を持つエンジニア・研究者の育成を目標に設定のうえ、時代の要請に応える人材の育成を行っています。
将来のエンジニア・研究者として活躍が期待される皆さんに身につけてほしいことは、「メカニクスの基本」と「自由な発想」の融合です。機械工学科のカリキュラムでは、メカニクスの本質を学ぶ「力学の基礎」科目と、学生個々の夢やアイデアを実現する手段を学ぶ実技・実習科目を用意し、基礎力・探究心・創造性に溢れる人材の育成を行っています。
本学科では、必修科目と選択科目を新しい考え方で編成し、 個々の学生の興味や将来の目標に合わせた履修ができるよう配慮しています。 1〜2学年には、機械工学の基本的な考え方を身に付けるための力学系を中心とした基礎科目が配置され、 機械工学創造演習などの実技科目で発想の具体化を体得できるようにしています。
また、2年生の2・3月には(3年生の春学期科目)必修科目として東京近郊や日本・世界各地において実施される工場見学が用意されています。2010年度からは韓国の大学との国際交流も含めた韓国および日本での工場見学を実施しています。
3〜4学年では、ハードウェア・エンジニアリングの基本となる実習系科目が必修科目ですが、 その他ほとんどの科目は選択科目であり、 個々の将来や進路に沿った自主的な履修ができます。 もちろんこの時、本学科の全教員から進路や履修について適切なアドバイスを受けられます。4学年では、全員がいずれかの研究室に所属し、卒業研究に取り組みます。個性や自分独自の発想、 特性などが大いに発揮できる場です。 研究テーマは、最先端技術から基礎技術まで、 個人の希望に従って自由に選択できます。
近年、工学研究の対象は、マイクロスケール、さらにはナノスケールへと、微小な世界へ踏み込んで大きな成果を上げています。機械工学科では、分子の動 きのシミュレーション、ナノスケールの材料表面改質、結晶成長シミュレーション、マイクロ・ナノスケールの構造製作技術、MEMS(マイクロマシン)など、さ まざまなナノ・マイクロテクノロジーの研究を行っています。
きれいで人が暮らしやすい「地球環境」を守ることと、「宇宙」という未知の世界への挑戦を目指しています。一例として、超音速で飛行するスペースプレー ンに発生するさまざまな現象をコンピュータシミュレーションにより解析し、最適な設計を研究しています。また、新しいエネルギー源として期待されているメタンハイドレートの精製技術に関する研究も行っています。
福祉機器開発や、遠隔操作・人工現実感のためのロボットハンド、人間の直感をコンピュータによりサポートするデザイン手法など、ライフメカニクスは機 械工学の中で非常に重要な分野といえます。高齢化社会を支える介助者養成用動作訓練ダミーや安楽姿勢保持のための車椅子、自動車の車体特性を解析するためのシミュレーションなど、幅広い研究を行っています。
機械工学(機械力学・材料力学・流体力学・熱力学に加えデザイン・加工)の基礎および発展的内容を網羅的にカバーする座学系科目群に加え、エンジニアとして必要となるスキルを身につけるための実習系科目も充実しています。自らの興味に基づきテーマを立案・実施する実習、ものづくりにおける企画・概念設計を実例を通して学ぶグループ実習、企業とタイアップしたものづくりプロジェクト、海外大学との学術交流を通して、座学から得られた知識の実践的応用を目指します。
創造性は、個性あふれる発想が出会い、交わることで喚起されます。 本学科では、人間と人間とのふれあいを基本とする新しい機械工学教育を目差しています。 一人一人の個性の尊重と育成。教員と学生、学生同士のコミュニケーションを重視した少人数の講義。 目で見て、手で触れながら理解を深める実体験重視の実技科目。 これらをとおして機械工学におけるモノ創りと現象解明の基礎を身に付けます。 そして、実体験とコミュニケーションを通して個性と創造性を身につけた学生は、 どんな未知の分野にも独自の視点で立ち向かえるような、 夢と広がりのあるエンジニアとなって社会に巣立ってゆきます。
「材料力学の基礎」「機械力学の基礎」「流体力学の基礎」「熱力学の基礎」
「図形情報処理」「形状情報の表現」「プロダクションエンジニアリング」
「機械工学創造演習」
「創造と倫理」 世界にひとつしかない自分の研究を通して、未知の課題を解決する力を身につけます。
機械工学科は、 日本技術者教育認定機構(JABEE : Japan Accreditation Board for Engineering Education) のプログラム認定を受けており、卒業生全員が技術士1次試験(国家試験)を免除されます。
卒業生は、電気、機械、精密、自動車、情報・コミュニケーション、サービス、大学・研究所、官公庁、ベンチャー起業など、幅広い分野で活躍しています。
気泡・液滴流れの力学を解析するための実験および数値解析手法を提案し、混相流現象の物理解明に取り組んでいる。
キャビテーション、音響、物質移動
詳しく見る分子シミュレーションを用いて、ソフトマター材料の機能発現や生命の起源の分子論的解明、新しいナノ機械の創出を目指している。
ソフトマター、自己集合、ナノ空間、分子シミュレーション
詳しく見る月惑星探査、無人化施工、農業支援、火山観測などを応用先としたフィールドロボティクスに関する研究に取り組んでいます。
移動ロボット、テラメカニクス、宇宙工学
詳しく見る自動車車体構造、電子デバイス、スポーツ障害など、様々な破壊現象を分析・科学し、安全な材料・構造設計指針を提案しています。
破壊力学
詳しく見るクラスレート水和物の物性を熱力学・熱工学に基づいて活用し、エネルギー・環境問題に対応する新規技術を開発します。
クラスレート水和物
詳しく見る複雑体内部をMRIにより計測し、熱や物質の輸送現象を捉える研究をしています。装置の最適設計・制御・省エネを目指します。
伝熱計測、MRI計測、燃料電池
詳しく見るマイクロ・ナノ微細加工技術を基盤とし、自律型マイクロソフトロボティクス・情報デバイス・再生医療分野への展開を目指す。
マイクロナノシステム、バイオファブリケーション
詳しく見る乱流モデルの性能向上を目指した実験、数値解析と渦法による数値シミュレーションの高精度・高速化に力を入れています。
流体工学、乱流モデル
詳しく見る当研究室では、製品開発の効率化や製品機能の向上を実現するための設計方法と、それを用いた製品設計について研究しています。
設計工学、ロバスト設計、人間工学設計
詳しく見る新しい金属系生体材料を開発するために表面改質法に関する研究に取り組んでいます。
マテリアルデザイン
詳しく見る座屈不安定性のように、幾何学的な構造の対称性が破れる過程を、理論と実験と数値計算を組み合わせて研究しています。
しなやかな構造、幾何学
詳しく見るポリマに対する分子鎖すべりモデルおよびクレイズ進展・成長停止モデルを提案し大変形 FEM 解析に取り組んでいる。
非線形固体力学
詳しく見る超電導磁気浮上、超音波非破壊探傷、マイクロバブル等の非線形動力学現象について、解析、数値計算、実験による解明に取組む。
ダイナミクス、電磁力応用
詳しく見る研究対象はダイヤモンド、カーボン、セラミックなどの機能性薄膜である。ナノレベルで現象を把握し、製品開発・実用化を進める。
材料科学
詳しく見る繊維強化プラスチックなどの先端材料や金属3D積層造形の確率的マルチスケールシミュレーションを中心に計算力学の研究を行う。
計算力学、CAE、有限要素法、確率的マルチスケールシミュレーション、先端材料、複合材料、3D積層造形、生体力学
詳しく見る自然界や生物の運動時に働く力学に対して、それぞれに特化した力センサを開発し計測することで、その解明に取り組んでいます。
バイオメカニクス、MEMS、力センサ
詳しく見る超音波や機能性流体によるアクチュエーション技術を基盤として、細胞工学、触力覚、ソフトロボットなどの研究を展開しています。
細胞培養システム、触覚インタフェース、ソフトロボット
詳しく見る航空機翼周りの乱流など様々な流れの制御に関する研究や、流体力学と人工知能の融合に関する研究を行っています。
流体力学、流れの制御、乱流
詳しく見る当研究室では、応用数学を基盤として、非線形力学システムの数理・数値解析、情報幾何学などに関する研究を行っています。
幾何学的数値積分、対称性と保存則、情報幾何学
詳しく見る高分子科学(ソフトマテリアル、ポリマー、ゲル)の研究。ナノ・バイオ・エコマテリアルと複合材料(コンポジット)の研究。
ソフトマテリアル、ポリマー
詳しく見る航空宇宙推進工学・超音速燃焼現象・爆発現象に関する研究を圧縮性流体のコンピュータシミュレーションにより取り組んでいます。
高速流体力学
詳しく見る三木研究室では、人工腎臓や脳波計測電極、触覚入出力装置など、バイオ医療、ICT分野へマイクロ・ナノ工学を活用しています。
マイクロ・ナノ工学
詳しく見る力学的刺激など機械工学的なアプローチを用いて生体外で骨や神経組織などの臓器や生体組織を再生する技術を開発しています。
再生医工学、バイオメカニクス
詳しく見る金属、高分子、セラミックを対象に、複数の現象や階層の特徴を組み合わせたマルチフィジックスシミュレーションを行っています。
固体力学、マルチフィジックスシミュレーション
詳しく見る人間や環境とインタラクションを行うことで、有機的な振るまいを発現するメカニズムに興味を持っている。
インテグレーション工学、ヒューマノイド
詳しく見る分子シミュレーションにより相変化過程、クラスレート水和物、タンパク質、ソフトマター等に関する研究をしています。
分子動力学
詳しく見るナノメートルスケールの材料除去、変形および物性制御に基づく高精度、高効率、省エネ、省資源の最先端加工技術を創出する。
超精密加工
詳しく見る機能性物質の燃焼反応合成、高効率内燃機関の開発、燃焼計測法の開発など先進的な燃焼技術に関する研究を行っています。
燃焼工学、反応性熱流体力学
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