慶應義塾は創立以来、「独立自尊」を体現する人材の育成を行ってきました。機械工学分野においても、この精神のもと、自らの力で世界を先導することのできる、創造性と総合力のある技術者や研究者の育成を目指しています。海外におけるトップレベルの大学との交換留学も盛んに実施されており、国際社会をリードする人材を数多く輩出しています。
限りなく広がる機械工学の未来と社会ニーズを視野に入れながら、「ナノ・マイクロテクノロジー」「宇宙・地球環境科学」「ライフメカニクス」の3つの分野を代表的な柱として、独自の教育を行っています。学生の皆さんの好奇心と探求心に応えるカリキュラムや精鋭の教員を擁し、各人の個性を豊かに伸ばし、自己実現の可能性を大きく拓く教育を進めています。
「実体験の重視」「基本の重視」「個性の重視」「コミュニケーション能力の重視」という思想のもと、機械工学の基盤である力学体系を理解するとともに、技術者倫理を踏まえ、地球環境・社会環境も視野に入れた総合的な現象解明や、創造的な設計・ものづくりを遂行する能力を育成しています。機械工学科で学ぶ、力学・熱力学、エネルギーの知識や、発想、デザイン手法を駆使して、新材料、医療、エネルギーなどSDGsの様々なフィールドで活躍できる人材を輩出しています。
将来のエンジニア・研究者として活躍が期待される皆さんに身につけてほしいことは、「メカニクスの基本」と「自由な発想」の融合です。機械工学科のカリキュラムでは、メカニクスの本質を学ぶ「力学の基礎」科目と、学生個々の夢やアイデアを実現する手段を学ぶ実技・実習科目を用意し、基礎力・探求心・創造性に溢れる人材の育成を行っています。
近年、工学研究の対象は、マイクロスケール、さらにはナノスケールへと、微小な世界へ踏み込んで大きな成果を上げています。機械工学科では、分子の動 きのシミュレーション、ナノスケールの材料表面改質、結晶成長シミュレーション、マイクロ・ナノスケールの構造製作技術、MEMS(マイクロマシン)など、様々なナノ・マイクロテクノロジーの研究を行っています。
きれいで人が暮らしやすい「地球環境」を守ることと、「宇宙」という未知の世界への挑戦を目指しています。一例として、超音速で飛行するスペースプレー ンに発生する様々な現象をコンピュータシミュレーションにより解析し、最適な設計を研究しています。また、新しいエネルギー源として期待されているメタンハイドレートの精製技術に関する研究も行っています。
福祉機器開発や、遠隔操作・人工現実感のためのロボットハンド、人間の直感をコンピュータによりサポートするデザイン手法など、ライフメカニクスは機 械工学の中で非常に重要な分野といえます。高齢化社会を支える介助者養成用動作訓練ダミーや安楽姿勢保持のための車椅子、自動車の車体特性を解析するためのシミュレーションなど、幅広い研究を行っています。
機械工学(機械力学・材料力学・流体力学・熱力学に加えデザイン・加工)の基礎および発展的内容を網羅的にカバーする座学系科目群に加え、エンジニアとして必要となるスキルを身につけるための実習系科目も充実しています。自らの興味に基づきテーマを立案・実施する実習、ものづくりにおける企画・概念設計を実例を通して学ぶグループ実習、企業とタイアップしたものづくりプロジェクト、海外大学との学術交流を通して、座学から得られた知識の実践的応用を目指します。
創造性は、個性あふれる発想が出会い、交わることで喚起されます。 本学科では、人間と人間とのふれあいを基本とする新しい機械工学教育を目差しています。 一人一人の個性の尊重と育成。教員と学生、学生同士のコミュニケーションを重視した少人数の講義。 目で見て、手で触れながら理解を深める実体験重視の実技科目。 これらをとおして機械工学におけるモノ創りと現象解明の基礎を身に付けます。 そして、実体験とコミュニケーションを通して個性と創造性を身につけた学生は、 どんな未知の分野にも独自の視点で立ち向かえるような、 夢と広がりのあるエンジニアとなって社会に巣立ってゆきます。
「材料力学の基礎」「機械力学の基礎」「流体力学の基礎」「熱力学の基礎」
「図形情報処理」「形状情報の表現」「プロダクションエンジニアリング」
「機械工学創造演習」
「創造と倫理」 世界にひとつしかない自分の研究を通して、未知の課題を解決する力を身につけます。
機械工学科は、 日本技術者教育認定機構(JABEE : Japan Accreditation Board for Engineering Education) のプログラム認定を受けており、卒業生全員が技術士1次試験(国家試験)を免除されます。
卒業生は、電気、機械、精密、自動車、情報・コミュニケーション、サービス、大学・研究所、官公庁、ベンチャー起業など、幅広い分野で活躍しています。