水の惑星「地球」にいのちが誕生して約40億年。DNAの二重らせん構造が提案されて約70年。今、ヒトゲノムの塩基配列が簡単に解析できるようになり、生命科学は新しい時代に入りました。生命のしくみの謎解きには、生命システムを物理の言葉で語ったり、分子の変化で表したり、情報論的に説明したりする「生命情報学」が必要なのです。

生命情報学科の3つの特徴

生命の謎を解くためのさまざまなアプローチ

細胞内でDNAの暗号のどの部分がタンパク質に翻訳され、それらがどのように相互作用し合ってシステムとして働いているのかを解明します。そのため、従来の生物学の枠組みにとらわれることなく、分子的な視点に基づいた生命の捉え方、物理・化学に基礎をおいた生体高分子の考え方など、さまざまな学問分野から研究を行います。

新しい分野を切り拓き、リードできる人材を育成

「生き物の実験を行えるだけでなく、計算機を利用するのが苦にならない」人材を目指します。多様な生命システムの解明は、医療・創薬、食料・新エネルギーの増産、環境浄化・モニタリング、化学産業のバイオプロセス化などのさまざまな分野へ応用され、新しい産業を興すことが期待されています。新しい分野を自らの手で開拓し、リードしていく人材を育成します。

「生命情報」を極める世界初のカリキュラム

第1学年で履修してきた物理・化学・数学を基盤にして、第2学年では生物系、化学系、物理・情報系に大別される「生命情報」を極めるための基礎的な学力を養います。また、第3・第4学年では、生命情報の各論について学科内外の専門家が講義を行い、生命情報実験ではさまざまなテーマについての実験を行います。

生命情報学科での学び方

生物の成り立ちを分子レベルから 個体レベルのスケールで理解する

生物の成り立ちを分子レベルから 個体レベルのスケールで理解する

基礎的な生物学に加え、分子細胞生物学やゲノム科学、さらに階層生物学などを学び、生殖様式の転換および性決定などの生命現象から生殖細胞形成のしくみや多細胞生物の発生・進化の解明、細胞の未分化マーカーとしての糖鎖の構造解析など、分子から個体レベルまでさまざまなスケールでの研究を行います。また、ふだんは見えない生体内の分子を可視化(バイオイメージング)する技術の開発も行っています。

生物をシステムとして捉えると 新しい事実が見えてくる

生物をシステムとして捉えると 新しい事実が見えてくる

生命体は極めて柔軟で優れた「システム」として捉えることができます。今までは定性的にしか説明できなかった生命現象を、生体分子の時空間的な変化を観測し、数理モデルによるシミュレーションを行うことで生命現象を定量的に理解することが可能になりました。また、脳機能計測やリハビリテーション医療の研究も行っています。関連した科目には、システム制御論、生体計測論、システムバイオロジー、バイオサイバネティクスがあります。

カラダの内部の化学反応の解明 病気を見つけて、治す技術の開発

カラダの内部の化学反応の解明 病気を見つけて、治す技術の開発

化学反応論や酵素反応の機構について、分子レベルで理解するための科目として、分子生物学、生体反応論、生物物理化学、生物有機化学、生体高分子科学などを学びます。医創薬への応用を目指し、異常な細胞の働きを制御する物質・難治疾患治療薬シードの開発、糖鎖やペプチドを用いた診断法や治療薬の開発を行っています。また、バイオリサイクルのための新しい酵素の創出に取り組んでいます。

「ゲノム」を解析することで生物のしくみの謎に挑む

「ゲノム」を解析することで生物のしくみの謎に挑む

生命科学の理解・研究のために生体内のDNAの配列、アミノ酸の配列、代謝を試験管内で再現する合成生物学やこれらから得られる膨大なデータの解析のためにバイオインフォマティクスを学びます。機械学習や人工知能、量子コンピュータを取り入れた情報科学によって、大規模ゲノム解析や癌などの疾病の解明や診断法の開発、ゲノム創薬、腸内細菌叢の研究に取り組んでいます。

在学生インタビュー Interview

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在学生インタビュー(過年度)

学習・教育目標

生命情報学科では、「生命」を分子論的、情報論的に理解しようとする学問分野と捉え、それを担っていく優れた科学者・研究者・技術者を輩出することを目標としています。そのためには卒業までに、「生き物の実験を行えるだけでなく、計算機も大いに利用することができる」能力を身につけることを期待してその趣旨に沿ったカリキュラムを組んでいます。以下にもう少し具体的に説明します。

・高校では主として物理や化学を学んで来たことを前提に、生化学、細胞生物学、分子生物学等生物関連科目については基礎から順次系統的に学んで理解する。
・生命体を構成する物質の根幹を理解するために、量子化学の基礎を理解する。
・生命体が営む代謝反応は、種々の連続した有機化学反応であるので、化学反応論、酵素反応の機構について分子レベルで理解する。
・生命体のエネルギー授受、刺激への応答は種々の物理現象であるので、物理学の基礎について理解を深める。
・生命体は全体として極めて柔軟で優れた「システム」であるので、生命体を全体的に捉えることができるよう、制御論等について理解する。
・生命科学の理解・研究にはDNAの配列、アミノ酸の配列、代謝に関する化合物群の濃度の時間変化等膨大なデータの処理が必須で、そのためにはコンピュータを使わなければならない。そのためにプログラミング等情報科学のスキル、バイオインフォマティクス等についてその基本を理解する。
・21世紀の産業の基盤の一つがバイオ関連産業であろうと予想される。そのために、生命科学の理解、技術を工学の分野へ応用できる能力を身につける必要がある。例えば医療、健康維持、食糧、環境、化学工業等々の分野が考えられる。

「生命情報学科」では、生命を従来の生物学とは異なった視点で見ることができる新しいタイプの生命科学・生命工学分野の科学者・技術者・研究者、および社会の様々な分野で活躍できる多様な人材を育成することを目的としています。

教育内容

  • 1年次はほぼ全科共通の授業で、2年次から学科に分かれます。生命情報学科へは学門Cと学門Eから進級することができます。基盤となる物理・化学・数学・生物学・情報処理をしっかりと学んでください。

  • 2年次では生物系、化学系、物理・情報系に大別される「生命情報」を極めるための基礎的な学力を養います。従来の生物学の枠組みにとらわれることなく、分子論的な視点に基づいた生命の捉え方、また、物理・化学に基礎をおいた生体高分子の考え方、コンピュータを利用した生命機能に関する情報の取り扱いの初歩を実験・実習などで実際に手を動かすことを通じて学びます。

  • また、3・4年次では、生命情報の各論について学科内外の専門家が講義をします。特に生命情報実験第1と第2では従来の生物学科とは異なった視点に立ち、「生き物の実験を行えるだけでなく、計算機を利用するのが苦にならない」というようなこれからの生命科学をリードする人材を育てていくことを目指します。

進路

生命の機能やシステムの解明の様々な分野への応用は、新しい産業をおこすでしょう。医学・創薬など人々の医療や健康への貢献、食料やエネルギーの増産、環境浄化・モニタリングへの利用、化学産業のバイオプロセス化等々、あげればきりがありません。生命情報学科の卒業生は、それらの新しい発展分野で中核的役割を果たしていくことでしょう。

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