電気電子工学は、電気と光を情報の処理・伝達の手段やエネルギー源として工学技術に応用する学問分野です。現代社会において、電子機器がない日常生活は想像もできないことですが、これからも人間の安心・安全、システムのスマート化、地球環境問題の解決など、豊かで快適な社会を実現するため、電気電子工学を専門とした人材は情報工学も駆使しながら活躍する場が広がっていくと期待されます。
我が国の産業基盤は電子デバイス技術に基づいており、ナノテクノロジーの進展は電子デバイスの小型化に貢献しました。その技術を支える電磁気学、量子力 学、電子物性学などの学問を体系的に学ぶことで、電子デバイスやナノテクノロジーの進展に貢献できるばかりか、カーボンナノチューブ・有機半導体・ウェアラブル端末などの新しい技術の革新に必要な基礎学力を習得することができます。
光の波としての性質と粒子としての性質を、電磁気学と量子力学を柱とするカリキュラムで学びます。加えて、デバイス、ネットワークやナノテクノロジー関連 の科目を周辺技術として学習します。超高速インターネット、省エネルギー光信号処理、大容量光記憶素子、量子コンピュータ、量子情報通信、医療におけるレーザー応用 などにおいて、変革をもたらすために必要な学力が身につきます。
LSI技術と無線通信技術の理解に必要な知識を電磁気学や電気回路学を柱とするカリキュラムで学びます。加えて、素子を構成する半導体の物理や、実践 に近い学問としてのLSI回路設計、エッジコンピューティングやワイヤレス技術についても、基礎から応用までを体系的に学習します。モバイルデータ端末などのコミュニケーション ツールに変革をもたらすために必要な素養が習得できます。
マルチメディア・情報システム・人工知能の研究に必要なコンピュータの知識と数学を、計算機科学や複素解析、応用数学などを柱とするカリキュラムで学ぶと同時に、ハードウェアに関する基礎知識を必修科目や電気回路などを通じて学びます。画像圧縮、スマートグリッド、画像認識、人工知能、知的センシング、ロボティクスなどの技術に変革をもたらすために必要な基礎知識を身につけることができます。これらを体系的に学ぶことで、革新的なアルゴリズムとハードウェアの融合、創造を実現できる人材を育成します。
電気情報工学科は、原子・電子の世界に踏み込んだ極限レベルの物性や非平衡物理現象を利用した量子効果デバイス、およびその他の高機能デバイスを生み出すナノエレクトロニクス、電子技術と光技術の融合から生まれる光エレクトロニクスを探究しています。それらがもたらすブレイクスルーによって、画像・知覚情報を媒体とする生体・環境との適応システムの創造が期待されます。
技術の発展は突発的なものでなく、過去の知見の積み重ねによって成し遂げられます。最先端の学問を探究すると同時に、基礎学問の習得が重要です。電気情報工学科では、ナノエレクトロニクスや光エレクトロニクスから生まれる新たなデバイスの開発と、これを基盤に展開される回路・情報システムの開発を念頭に、技術のイノベーションを創出できる人材を育成します。
「電子物性」「量子・光エレクトロニクス」「回路・情報システム」といった基礎から、私たちの生活に密接に関わる「システムLSI」「光通信システム」「医用工学」「デバイス・プロセス」といった応用分野まで、電気電子情報工学の展開全域をマスターできるカリキュラムとなっています。また、最新のコンピュータを道具として駆使できる教育と創造的な実験教育に力を入れています。
新素材を扱う科学、超微細なプロセス技術、精密なデバイス制御・応用技術を総合的に学び、人工知能、超高速・超並列コンピュータに代表される21世紀の技術開発に不可欠な新しい発想のもとのエレクトロニクス分野を開拓していける人材の育成を目的としています。一方では、卒業後どのような分野に進んでも指導的役割を果たせるような人材の育成をめざし、密度の高い個人指導を行い、高い適応性が養われるように配慮しています。
電気情報工学科では毎年約7〜8割の学生が当大学大学院修士課程に進学しています。電気情報工学科及び電気電子分野(大学院)は、理工学部の中で最も求人面談が多く、幅広い就職の選択肢を持っていますので、卒業後には多彩な分野で活躍する道が開けます。主な就職先の比率は、電気・機械製造業が50%、通信・電力・ガス・運輸等公共サービス業が15%、情報・調査サービス業が15%です。