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システムデザイン工学科(総合デザイン工学専攻 修士課程2年【※】)

千葉県・県立佐倉高等学校出身

勉強とバドミントンに熱中した高校時代を経て、慶應義塾大学理工学部へ。何事も楽しみながら打ち込む姿勢は大学でも変わらず、サークル活動と研究に全力投球し、あふれる好奇心でさまざまな角度から学問と向き合って知識を蓄積。研究において課題に直面した際にも、諦めることなく乗り越える力を身につけました。いろんな人と交流することでも視野を広げてきた、充実の学生生活について伺いました。

【※】インタビュー時点(2022年8月)の在籍学年です。

学業もスポーツも、
諦めることなく
全力で邁進する。

高校時代はどのように過ごしていましたか?

高校は文武両道をモットーに、学業と部活動のバドミントンに打ち込んでいました。中学1年生からバドミントン部に入り、部活動のない日でも場所を探してバドミントンをするほど熱中していたので、高校でも同じ熱量で取り組みました。 学業については、周りに成績で負けたくないという一心で、部活動の後に遅くまで勉強していました。高校1年生の冬から塾に通い始めたのですが、部活動が終わったら塾に行くというルーティーンを作ったことがとても良かったと思います。自ら勉強する環境に身を置くことができたので、勉強すればするほど成績が上がっていくのも楽しくて、モチベーションにつながりました。指定校推薦で入学が決まってからも、計画書を作って勉強を続けるようにしましたね。 今思い返せば、学業も部活動も疎かにすることなく楽しんで3年間過ごしたことが、結果としてどちらも順風満帆にいった秘訣だったと感じています。

慶應義塾大学理工学部に進学を決めた理由を教えてください。

高校の初め頃に自分は理系科目が好きだとわかったので、理工学部を選びました。理系科目は答えがひとつという明解さや、計算する過程が謎解きのようで好きだったんです。その中で慶應義塾大学を志望した理由は学門制【※1】です。理工学部で何をしたいかという部分までは明確になっていませんでしたし、優柔不断な性格の自分にとって魅力的でした。
また、1・2年生の時に通う日吉キャンパスが文系と理系が混在する環境という点にも惹かれました。高校では文系・理系のクラスで分かれて交流が狭まってしまう部分があったので、せっかく大学に行くならいろんな学部の人達と知り合いたいと思っていました。実際、日吉キャンパスの生活で多くの友達を作ることができました。

【※】学門制…入試の時点で5つの「学門」のいずれかを選択し、入学後に自分の興味や関心に応じて徐々に学びたい分野を絞っていき、2年進級時に所属する学科を決定する、慶應義塾大学理工学部独自の制度のこと。なお、2020年度の理工学部入学者から学門制が変更となり、各学門から進学できる学科が一部変わりました。学門制の詳細は以下のリンクを参照してください。

入学前と入学後の印象の違いを教えてください。

入学前は常に学業に追われる生活をするのかなと思っていたのですが、入学してみると意外と自由な時間が多く、さまざまなことに取り組める環境でした。授業の合間の空きコマに友達とごはんを食べに行ったり、授業後はサークル活動をしたり。サークルのない日はアルバイトをして、忙しいけれど充実した毎日を過ごせました。 また、多様な個性を持った人がたくさんいて、学業と並行していろんなことに挑戦している人に出会えたことも驚きました。よく一緒に授業を受けていた友人が在学中に起業したのですが、卒論をやりながら仕事もこなしている姿を見て、自分も頑張ろうとすごく刺激を受けました。

選択肢を広げるために
幅広い知識を蓄積して
自分の糧にしていく。

システムデザイン工学科の特徴を教えてください。

システムデザイン工学科の一番の特徴は、複数の学問分野を高い専門性で学ぶことができることです。授業をしてくださる教員はそれぞれが各分野に精通していて、さまざまな知識を高いレベルで身につけることができます。細胞や流体を扱う研究室もあれば、建築や人工知能、情報系の研究室もあって選択肢が広いです。 ものづくりに興味があって、システムデザイン工学科と機械工学科のどちらに進むか悩んでいたのですが、いろんなことを欲張りに勉強できると思い、システムデザイン工学科を選びました。個人的に在学中は、早い段階からこれだけをやろうとひとつに絞らなくてもいいのかなと感じています。異なる分野の知識や技術を掛け合わせることで多方面のアプローチが可能になり、視野の広い人間に成長できるはずです。

学部生時代に印象に残っている授業はありますか?

「システムデザイン工学実験」が思い出に残っています。全12回実験をするのですが、いろいろな教員が担当しているので実験内容が毎回異なり面白かったです。毎週のレポートは大変でしたが、同じ班になった学生たちと協力して進めていくので仲も深まりました。
また、世界に一つだけのスピーカーを作るというテーマを掲げた「システムデザイン工学演習」も記憶に残っています。2人1組で行う演習なのですが、僕たちは人を快適にするスピーカーを製作しました。実際にスピーカーを販売している会社に見学に行くイベントもあり、授業課題に求める教授の本気度が高かったからこそ必死に取り組むことができて楽しかったです。

学生生活の中で、研究以外に打ち込んだことはなんですか?

中学・高校と続けてきたバドミントンを引き続き大学でも、サークルに所属して活動しました。サークル自体は週1~2回練習して、土日は大会やイベントに出るという活動頻度でしたが、それ以外の日も仲間と体育館を借りてバドミントンをしていましたね。 サークルの代表を1年間務めた経験もあり、その間は学業・サークル・アルバイトと大忙しでしたが、やることがたくさんある生活は充実そのものでした。サークルの会員数が4学年合わせて130人ほどいたので、大学内に横のつながりだけでなく縦のつながりもたくさん作ることができたと思います。中でも春と夏にある1週間の合宿は100人弱が集まる一大イベントです。自分が中心となって運営したことは貴重な経験になりました。大人数だといろんな意見が出てまとまらないことも多々ありましたが、みんなの話を聞きながらそれぞれが納得できる方法を考えたり、大勢の人前に立った経験は今でも発表やプレゼンに活きていると思います。

異なる技術を掛け合わせ
試行錯誤を繰り返し、
新たなものを生み出す。

現在取り組んでいる研究について教えてください。

血管や臓器の疾患のメカニズムに関係する「血管リモデリング」の研究に取り組んでいます。血管は血圧が上がると太くなったり、血液を効率よく流すために血管の数が増減したりするのですが、そういった血管の変化を観察して要因を紐解くことが目標です。 そのためにまず開発したのが、人体に近い環境を再現した人工的な血管です。樹脂でマイクロ流体デバイスを作って、生体に近い環境にするためにハイドロゲルを流し込んでからレーザーを用いて微細な穴をあけ、ヒト由来の細胞を注入して培養していきます。この開発はレーザー加工に長けたシステムデザイン工学科の田口研究室と共同研究することで実現したのですが、これまでにない挑戦だったので半年くらいはうまくいかず苦労しました。ディスカッションを重ねたり、海外の論文からヒントを得るなど、試行錯誤の末ようやく完成。自分の専門とは違う技術を掛け合わせることで、新たなものを作るという研究の醍醐味を感じられました。 この研究は将来、血管疾患の病因の解明につながるはず。また、ヒトの細胞を用いた人工の血管を新薬開発時に活用することで、薬の開発期間を短縮できると期待しています。

現在所属している研究室を選んだ理由はなんですか?

須藤研究室を選んだ理由は、自分たちに身近な話のようでなかなか触れる機会の少ない生体医工学分野の研究内容に惹かれたからです。きっかけは須藤教授による「システム生命工学」という授業を取ったこと。例えば500系新幹線ってカワセミのくちばしの形状を応用して作られているのですが、そうやって身近な生き物の特性を人の生活にうまく取り入れていく内容が面白いなと感じたんです。
須藤研究室の魅力は、まだ解明できていない生命・生体に関する現象やメカニズムを研究することができて、生物学・医学と工学を組み合わせた生体医工学の分野で新しい発見ができることです。実験室で実際に手を動かして成果が得られるので、研究している実感も湧きやすく、高いモチベーションを保てます。研究室に入る前までは、自分は研究に向いているんだろうかと迷う時期もあったのですが、良い環境に身を置いたことで楽しく研究に打ち込むことができました。

今後の進路や目標について教えてください。

会計・IT分野に精通した業務を行うコンサルティング会社に就職する予定です。今まで研究してきた内容とはかなり異なる分野ですが、最初から研究と就職は切り離して考えていました。システムデザイン工学科にもIT系の研究室はありますが、あえて学生のうちにしかできない研究をしたいと生物系の須藤研究室を選んだ経緯がありました。研究室で学んだことはどこに行っても必ず役に立つはずですし、自分と似たバックグラウンドを持った人が少ない業界に飛び込むことで、他の人とは違う輝きが放てるのではないかと思っています。熱中して研究に取り組んできた姿勢や試行錯誤した経験は、自分の永遠の財産として活かしていきたいです。

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