Profile

電気情報工学科(総合デザイン工学専攻 修士課程1年【※】)

東京都・私立白百合学園高等学校出身

勉強も行事も遊びも、全力で楽しんだ中高一貫の女子校時代。学校の授業に真剣に取り組むことで、かねてから興味のあった、通信やエネルギー分野を支える電子工学科(現:電気情報工学科)への進学を夢見て慶應義塾大学理工学部に入学する。入学後は得意の英語を活かして留学生寮の補助や海外ボランティアにも積極的に取り組み、さまざまな知識や価値観を吸収。学部4年次に「田邉研究室」に所属し、自ら削り出したデバイスを使ったデータ収集、解析の研究に取り組む。これからの夢は、理工学部で身につけた“ものづくり”を活かせる仕事。

【※】インタビュー時点(2017年11月)の在籍学年です。

目の前のすべてに全力投球。
日々の小さな積み重ねが
やがて大きな結果を生む。

大学受験に向けた自分なりの勉強方法などはありましたか?

中高一貫の女子校に通っていたので、学校の授業自体が受験を意識して展開されていました。だからまずは学校の授業を大切にしていました。良い気分転換にもなるので、国語や社会など受験科目ではない授業もしっかりと聞いていました。授業で分からなかったことを放置せず、先生に何度でも質問に行くことも大切なことです。塾に行くとみんなが先に進んでいて焦ることもあると思いますが、その土台となる授業に集中することで一歩ずつ進んで行くことができると思います。集中したのは本当に授業中だけでしたけど(笑)

勉強以外ではどんな高校時代を過ごしていましたか?

「野外活動部」という部活に所属していました。これは夏と冬の2回合宿に行って、山登りやスキーをしたり、飯ごう炊さんをしたりする部活。大会などがあるわけではありませんが、毎週ミーティングをしたり、日頃から合宿に向けた体力づくりをしたり。みんなでひとつのことをやり遂げる活動を通して、チームワークの大切さを学ぶことができたと思います。スポーツ大会や文化祭も真面目に取り組んで楽しむタイプでした。自分はもともと勉強が好きではないという自覚があったので、授業も含めて、とにかく目の前のことに全力で当たるという気持ちでした。

中高一貫の女子校出身ですが、慶應義塾大学理工学部を選んだ理由をお聞かせください。

やはり文系学部を志望する人が割合として多く、私もかつては漠然と文系の仕事に就くのだろうなと思っていました。しかし中学2年生のときに出会った物理の先生のおかげで考えが一変。その先生が実演を交えた授業をする人で「物理っておもしろい!」と初めて思いました。そこからは理系一筋。受験も得意な物理で行こうと決めました。さらに行くからには高いレベルの学校で揉まれながらがんばりたい、という思いから慶應を選びました。ただ、光波や電気回路に対する興味はありましたが、電子工学についてはほとんど何も知らない状態。入ってみると光通信、エレクトロニクスなどさまざまな分野と関連していることがわかりましたが、これらは高校生にはなかなかわからないことです。だから学部1年次の学科分け説明会の際にで直感でなんとなく好きなことを選べた点も、いま思うと大きなメリットだったと思います。

授業を通した発見の日々。
知るほどになお奥深い
電子工学と回路の世界。

大学に入学してから、どんなことに打ち込みましたか?

小学4~5年生のときにイギリスに住んでいたので英語が得意。その経験を活かして、海外インターンを斡旋するサークルに入りました。海外から日本に来る人、日本から海外に行く人、それぞれの斡旋やサポートをするサークル。私自身もマレーシアに行ってボランティア活動をしてきました。国際開発に関わりたいという思いは昔からあったので、その点でも良い経験になったと思います。また、慶應に留学している留学生用宿舎に留学生と一緒に住んで、留学生の日々の生活を支援するRA(レジデント・アシスタント)もやっています。住民登録や銀行口座開設、寮のルール説明、ときには夜にバスに乗って病院に連れて行ったり。英語力はもちろんですが、それぞれ性格も、文化的背景も違う留学生と触れ合うことで臨機応変な対応力が身についたと思います。もちろん素晴らしい友人たちと知り合えたことも収穫です。

授業や実習で印象に残っていることはありますか?

まず思い出すのは実験です。初めて見る機器で測定実験をしたり、毎週のように実験レポートにまとめたりするのは本当に大変でしたが、それだけ力もついたと思います。また、電子回路を組み立てる授業では、初めてハンダゴテを使って作業をしました。苦労しながらも、回路図でしか見ていなかった電気回路を実際に作ってみるのはとても楽しかったですし、今までとは違った視点から見られるようになりました。もうひとつ印象深いのは、学部1年次に履修した「物性工学」という授業。さまざまな物質の性質について具体例を交えながら学ぶ授業だったのですが、こういった基礎の部分を具体的に学べたことが良かったと思います。

大学院でも研究を続けられていますが、進学は最初から決めていたのですか?

最初は大学院進学を考えていませんでした。しかし学部4年次に1年間研究して、技術的な部分も含めて、ようやく少しわかってきたこともいろいろ。このまま終わってしまうのがもったいないと思い、進学を決めました。ときどき電子工学科(現:電気情報工学科)は回路しか学ばないという偏見を持たれることがあるのですが、本当は半導体から画像処理まで幅広い最先端技術を基礎から丁寧に学べる学科です。そうして広く深く学ぶ分、じっくり時間をかけて繰り返し学ぶことが、自分の力につながると思っています。

光を自由自在に操るための
「ものづくり」と最先端の基礎研究、
見えない部分を支えるやりがい

現在の研究内容をわかりやすく教えてください。

噛み砕いて言うと、光を自由自在に操れるように、ごく小さな空間に光を止めたり、閉じ込めたりする研究をしています。そのために「微小光共振器」と呼ばれる素子(デバイス)を作製し、そこに光を入れて、どういった現象が起きるか観測しています。作製は、材料を削ってデバイスを加工するところから自分でやっています。そういうものづくりの部分もおもしろさのひとつ。理工学部ではありますが、工学部的な要素も持ち合わせていると自分では思っています。

ものづくりの要素も持ち合わせた研究。楽しさややりがいはどんな部分にありますか?

プログラミングや計算の部分と加工や測定実験などの技術的な部分の両方が必要なので大変さもあります。最先端の研究だけに、行き詰まってしまうことも多いです。そういう難しさもありますが、昔から大好きだった物理の延長で研究ができることは何よりの楽しさ。自分で作製したデバイスから予想以上のデータが取れたときなども、とても嬉しい瞬間です。また、私が行っているのは基礎の研究ですが、その技術はやがて通信の高速化や省エネ化など実社会にも役立ちます。そういう見えない部分を支えているという点で、やりがいを感じています。

これから始まる就職活動。どんな社会人を目指しますか?

もう就職活動のスタートは目の前ですが、まだ迷っている部分も。国際開発にも携わりたいですし、研究の現場にいたいという気持ちもあります。ただ、もっと長い目で見たときに、何かしらの形になるものを残したいという思いが一番にあります。設備の開発でも、点検でも、社会に求められている技術をシンクタンクの立場から提言するのでも、国際開発ならその国のニーズに即した技術を作る研究でも。せっかく理工学部でものづくりを学んだので、それを活かしていきたいと思っています。

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