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電子工学科(総合デザイン工学専攻 修士課程1年【※】)

神奈川県・私立慶應義塾湘南藤沢高等部出身

テニスに全力を注いだ高校時代を経て、得意な理系の道へ。慶應義塾大学理工学部では学門制を生かして幅広く学びながら、自分が何をやりたいのかを探す日々。そして画像を使ったプログラミング技術の実験で、ものづくりや思い通りの成果が出る楽しさを感じ、研究へのモチベーションが高まっていったそうです。今後活用が期待される画像認識の研究に没頭し、日本国内だけでなく海外の学会へも参加。さまざまな研究者と交流しながらアイデアを膨らませ、新規性のある技術を求めて研究に励んでいます。

【※】インタビュー時点(2019年7月)の在籍学年です。

ハードな部活に励みながら、
自分の興味のある勉強も追求。
迷うことなく理工学部の道へ。

どんな高校時代を過ごしていましたか?

内部進学で受験勉強がなかった代わりに、部活に没頭していました。テニス部に入っていたのですが、練習量がとても多く、毎日の朝練では5kmダッシュ。授業後も遅くまでトレーニングをしていました。高校時代が一番忙しくてキツかったのですが、副主将として部を引っ張って、最後の団体戦で母校初のインターハイ出場を成し遂げられたことは一番の思い出です。あとは、部活動がハードだったのでなかなか満足にできませんでしたが、時間を見つけては物理学やコンピューターサイエンスなど、自分が好きな勉強を独学でやっていました。

慶應義塾大学理工学部に進学を決めた理由を教えてください。

子どもの頃から数字が好きだったんです(笑)。小さい頃、壁に貼られた数字を読み上げていたというエピソードを親から聞いたこともあります。数学が得意な一方で、国語はかなり苦手で……。中学の受験勉強で国語も頑張って勉強したものの、好きにはなれなかったということもあり、迷うことなく理工学部を選びました。理系以外の選択肢はなかったものの、自分が何をしたいのか明確になっていなかったので、学門制【※1】という点でも理工学部への進学は安心でしたね。

【※1】学門制…入試の時点で5つの「学門」のいずれかを選択し、入学後に自分の興味や関心に応じて徐々に学びたい分野を絞っていき、2年進級時に所属する学科を決定する制度のこと。

入学前と入学後で大学の印象は変わりましたか?

入学前、理工学部はもっと忙しいと思っていました。高校生の頃は毎朝5時半に家を出るような生活だったので、朝にゆとりを感じられたんです。もちろん学部1、2年の間は必修の授業が多くて忙しいけれど、高校の授業のような雰囲気で、みんなと楽しく過ごせたような気がします。学部2、3年になってくるとだんだん自由さに慣れてきて、授業を受け身で受けているだけだと何も得られないし、やりたいことを見つけるためにも、自分でプログラミングの勉強をするなど、時間を有効活用するように心がけました。僕が理工学部で出会った友達は勉強だけでなく、スポーツや自分の趣味を極めてみたりと、いろんなことをやっている人が多いなという印象です。

勉強とテニスに打ち込んだ大学生活。
クリエイティブなプログラミングの実験で知った
ものづくりや成果が出た時の楽しさ。

大学時代、勉強以外で夢中になったことはありますか?

研究室に入るまではひたすらテニス!という日々でした。「理工学部體育會硬式庭球部(リコタイテニス部) 【※2】」に入部し、キャプテンも務めました。理工学部のカリキュラムに合わせたテニス部なので、文武両道を目指していて、比較的柔軟なスケジュールで練習をするんです。とはいえ、両立ができなくて、勉強がおろそかになった時期もあったと思います(笑)。思い出に残っているのは、ラストイヤーで最高の結果を残せたこと。リーグ戦という関東の大学が集まる大会があって、もともと僕たちは一部リーグに所属していたのですが、学部1年の時に早慶戦で負けて二部に落ちた経験があるんです。ずっと悔しい思いをしていて、本当は3年で部活は引退するのですが、4年の時に試合に出て、一部リーグに返り咲くことができました。しかもそれが早慶戦だったので、努力の甲斐があったし、テンションが上がりました。今でもたまにテニスコートに遊びに行ったり、コーチをしにいくこともあります。テニスは単純にボールを打つのが気持ちいいし、楽しみながら健康を保てるところが魅力です。

【※2】理工学部體育會…理工学部體育會は、通称「リコタイ」と呼ばれている団体です。体育会とサークルの中間的性質を持つ団体で、学業とスポーツの両立を目指しています。なお、「理工学部」という名称が付きますが、学部の垣根を越えて、他の学部の塾生も所属できます。

電子工学科を選んだ理由や学科の特徴を教えてください。

もともと物理学科と迷っていて、「学門1【※3】」を選びました。当時は物理の中でも統計力学に興味があって勉強していたところ、情報系につながる数式がたくさん出てきたんです。統計力学は半導体にも活かせるし、プログラミングも得意だと自負していたので、いろいろと組み合わせて活かすには電子工学科だと感じました。今はコンピュータービジョンという分野の研究をしているのですが、カメラを使って画像を認識して出力したりと、結果が目に見えてわかりやすい。数値やグラフだけを見るよりも、単純に見ていて楽しいのも魅力です。電子工学科は光から半導体、情報科学と幅広く勉強できる学科。他学科に比べるとスケジュールの自由度が高く、やりたい分野に絞って選択が出来たりと、自分の好きな勉強に取り組むことができると思います。

【※3】学門1…2015年度入学当時に、物理学科・物理情報工学科・電子工学科・機械工学科の4つの学科に進学可能であった「学門」。2020年度入学者からは各学門の名称と構成が変更され、2020年度より「電子工学科」は「電気情報工学科」に改称する予定です。なお、学科名称の変更については文部科学省へ申請中です。

授業や実習の中で、印象に残っているものは?

専門性が高まってきた学部3年の秋に行ったロボットビジョンプログラミングです。現在所属している研究室の青木義満教授が教員で、パソコンにウェブカメラをつけて、いろいろな画像処理技術を学びながら6週間にわたって行う実験です。最初は画像が与えられて、その中でサッカーボールを自由に動かしたり、動画の中に映っている人間を取り出して、後ろを白い背景にするやり方などを教えてもらいました。それから学んだ技術を活用して、実際にアプリを開発するんです。僕たちのグループはカメラで人の動きを認識して、音が鳴るアプリを作りました。空中で手を動かすと動きに合わせて楽器が演奏できるという仕組みで、発表ではそれを使ってカエルの歌を演奏しました。今、研究室でしているような創作性の高い実験を通して、モノを作る面白さや成果が出る楽しさを感じられました。

進化し続ける画像・映像の技術。
学会で研究者と交流しながら
新しいアイデアを生み出す。

現在取り組んでいる研究テーマについて教えてください。

コンピュータービジョンと呼ばれる画像認識について研究する青木研究室に所属しています。その中で僕はVision & Languageという画像と言語を組み合わせた研究をしています。画像に対して英語の指示文を入力すると、指示通りに変換された画像が生成される研究です。例えば、黒髪の男性の画像に、「make his hair blond(金髪にしてください)」と入力するだけで、金髪になって出てくる。他には、一方向しか写っていない写真から見えない領域を予測して、360度の画像を作り出すプログラムを作ったり、映像から情報を抽出して映っている人物が実際どんな行動をしているのかを解析する研究をしています。実用化はこれからという分野ですが、コンピュータービジョンが発展すると、画像検索の精度が上がったり、AIにも応用できたり、スポーツの分野であればフィギュアスケートでジャンプの回転数を自動でジャッジしたり、ラグビーのプレーを映像から解析したりと、幅広い活用が期待できます。

研究室はとても議論が盛んで、価値あるものを生み出して発信することを活発に行っています。学会発表に行ったり、論文を発表するペースも早く、刺激を受けながら集中して研究できる環境ですね。

研究生活で思い出に残っている出来事はなんですか?

「MIRU 2018 第 21 回 画像の認識・理解シンポジウム【※5】」という学会で若手研究者向けのプログラムに参加したことです。新しい技術を獲得する目的で、専門である画像認識とは異なる分野の論文を調査して発表する企画があり、同世代の研究者と協力して調査を行いました。2ヶ月くらい前からSkypeでミーティングして、論文を読んでまとめ、本会議で発表したんです。その結果、グループで賞を獲得することができました。また、その時に読んだVision & Languageに関する論文は、今の研究に取り組むきっかけにもなりました。他大学の研究者とはそれ以来、他の学会や勉強会で顔を合わせることも増え、コミュニティも広がりました。

最近、ロサンゼルスで開催された世界最高峰の国際学会にも行ってきたのですが、世界トップの研究者と自由に議論をし、いろんな情報やアイデアが得られて最高でした。来年は論文を通してもっと海外の研究者と関わっていきたいです。

【※5】MIRU 2018 第 21 回 画像の認識・理解シンポジウム…画像の認識と理解技術に関する国内最大規模の学術集会で、毎年研究者・技術者・学生により、基礎から応用まで最新の研究発表と討論が行われています。

今後はどのような進路に進もうと考えていますか?

卒業後は一般企業への就職を考えています。画像認識はホットな分野なので、そのまま仕事にできればいいのですが、研究職と開発職とで迷っているところです。研究はとても楽しく好きなのですが、研究成果を実装しやすい分野でもあるので、ソフトウェアや製品開発にも興味があります。いろんな人にインパクトを与えたり、便利だと言ってもらえる面白いものを作ってみたいですね。今は研究室のOBの繋がりで週2回、企業で非常勤という形で自由に研究をさせてもらっているので、この夏は開発の仕事に携われるインターンに参加できればいいなと思っています。

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