はじめに「人生の選択肢」

私は社会人になるまでのターニングポイントで選択肢がなかった。
中学受験ではすべて落ち、後日1校だけ補欠合格。
大学受験でも慶應義塾だけ合格。
就職活動においても内定をいただけたのは1社のみ。

他に選択肢がなかったから、他のことを考えず、与えられた環境の中で努力するしかなかったし、頑張ることができた。
過去を振り返れば、どの環境においても、その中で必死に努力してきたが、慶應義塾で学んだことが、間違いなく私の基礎となり、自信につながっている。

ニューヨークでの研修時代

家族で思い出のニューヨークめぐり

慶應義塾で学んだこと

私は小さい頃から数学が大好きだった。気がついたら数学の面白さに魅了されていた。自然と大学でも数学を学びたいと数理科学科を目指した。ところがいざ大学に入学してみると、授業はチンプンカンプン。あっという間に数学は私にとって面白くない学問に…

慶應義塾の理工学部では専門学科は2年生から決まる仕組み。私が入学した学門2からは、当時は数理科学科または管理工学科にしか進学できず、数理科学科に進学しないとしたら、選択肢は管理工学科のみ。やはり私の選択肢は決まっていた。ただそこで選択した管理工学との出会いが、私にとって奇跡だったのかもしれない。

管理工学科で学んだことは、社会に出てすぐに実戦で活かすことができた。私が特に授業で興味を持ったのは、金融工学、経済学、簿記、プログラミング言語。証券会社に入社し、最初の配属先は株式デリバティブ商品の組成チーム。まさに金融工学の実践を体験。日本株式営業チームでは、経済学と簿記が分からないと、株式相場や企業の未来を語れない。現在は金融ITベンチャーを創業、プログラミングに関する知識は欠かせない。

会社を創業した頃に、改めてプログラミングを学ぼうと体験講座を受けたことがある。20代前半の方々に混じって受講したものの、課題をあっという間に一番で終えてしまった。しっかり基礎を学んでおくことの大切さ、基礎はいつになっても活かせることを実感した。

4年時には経済系の研究室であった増田靖先生の研究室で学んだ。増田先生は人をよく見ている。夏の研究室合宿では初日に3−4名程度の学生が発表を行い、翌日も発表は続く。もちろん私はトップバッター。最初に終えてしまえば、あとは楽に乗り切れると思ったから。ところが初日の発表は私一人で数時間かかり、私一人で初日が終わってしまった。増田先生はうまくその場を乗り切ろうとする私を見抜き、とことん議論と考察を深める指導をしてくれた。学生の持つ学びの個性を常に広げてくれている。

増田先生は2022年3月に定年退職を迎えられる。先生に出会えたこと、そして先生にご指導いただいたこと、感謝しています。この場を借りて改めてお礼を申し上げたい。

金融の力で社会貢献

現在は、株式会社フィンプラネットを創業し、保険と資産運用のアドバイスをロボットが行うサービスの提供を行っている。

福沢諭吉先生は保険が人間の知性と気品の根源であると考えて日本に紹介した。保険や資産運用でお金の持つ力をもっと活かすことができれば、可能性を広げることができる。世の中には可能なことか不可能なことしかなく、可能性は不可能なことの中にある。可能性を広げることは、日本の未来を作ることだと信じている。

日本は金融リテラシーが低いといわれる。人々のお金に関する問題、悩みを解決してあげることが社会課題の解決につながる。真面目に、コツコツ、誠実にお客様に向き合ってきた私だからできることがある。自分が一番大好きで得意な金融で、社会貢献をする。ノーブレス・オブリージュの精神をどこまで追求できるか。10年後にフィンプラネットのあのサービスがあったから日本の金融は変わったと言われるサービスを作りたい。

終わりに「慶應義塾のつながり」

慶應義塾は卒業してからもつながりが強いことで知られている。卒業後、東京三田倶楽部という帝国ホテルに常設施設のある三田会に所属している。倶楽部を通して知り合った慶應義塾の先輩から「長谷部がやりたいっていうなら、その思いを応援したい」と私の会社に出資をしていただいた。

理工学部には同窓会研究教育奨励基金による起業・創業支援として「矢上賞」が設けられている。2018年度に受賞をさせていただき、増田先生からは「社会に役に立つ仕事をしてください」と背中を押していただいた。

講義なのか、奨学金なのか、何で貢献できるかは分からないが、いつか塾に貢献し、自分も後輩の背中を押してあげられる存在になりたい。

2016年東南アジア連合三田会inホーチミン
(東京三田倶楽部のメンバーと)

矢上賞授賞式
(増田先生(右から2番目)・本人(中央))

プロフィール

長谷部 直大(はせべ なおひろ)
(獨協高等学校 出身)

2001年3月
慶應義塾大学理工学部管理工学科 卒業

2001年4月
J.P.モルガン証券会社 入社
(現:JPモルガン証券株式会社)

2006年4月
モルガン・スタンレー証券株式会社 入社 Vice President
(現:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)

2009年7月
プルデンシャル生命保険株式会社 入社 

2017年12月
株式会社フィンプラネット 創業 代表取締役

現在に至る

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