理工学部を目指した理由

高校の進路決めで、ゲーム好きの友人の情報工学科を目指すという発言をきっかけに、「自分も将来ゲームを作りたい」と自然と情報工学科の道へ。その選択に至ったのも純粋に自分の興味のあることを突き進んでいた結果に思えます。 というのも、半導体業界で働いていた父の影響で、物心をついたころから遊びといえばパソコンとゲームで、小学生の頃には父と一緒に自分のメールアドレスを作りメールを送り合い、中学の頃は海外の友人とのメッセンジャー三昧。高校生のころには自分でホームページを作るなど情報技術が日常の一部でした。文系科目よりも理系科目が好きだったこともあり、自然と理系の道へ。情報工学科を目指し受験をしました。

学部時代

学部時代は、1・2年の授業は理系の科目にこだわらず、体育の合気道といった普段体験できないスポーツの授業や、語学、セミナーの授業でトレーサーロボットを作るなど幅広い教養の授業を受けることが出来ました。2年時に学科を決めることが出来るので、1年時は専門科目に限らず興味に合わせて幅広い授業が取れることが非常に魅力的でした。学科選択は迷わず情報工学科へ。知識として学ぶのは楽しい一方、プログラミング実技の授業がつらくて、「あ、向いてないかも」と挫折しそうになっていた矢先に、実験で出会った画像処理の実習で、結果のわかりやすさとインタラクティブな体験を作ることに魅了され、選ぶべき研究室も決まりました。珍しく女子が多い年で、学科の友人たちとは今でも遊びに行くほど仲が良いです。当時を振り返る友人が「あの頃かずなはほんと矢上祭命だったね」というように(学業ほどほどに)、矢上祭実行員会の広報局と装飾代表として3年間活動をしていました。年2日間の学祭の為に一年を通して準備を進めることが主な活動で、週1回の会議、夏休みは学校で装飾づくり。無事に祭りが終わる達成感はひとしおで、大人数で大きいことを成し遂げる喜びを覚えたのも矢上祭を通じてでした。今思えば、この時200人以上の組織をまとめる一員として活動していた経験が、人前で話をしたり、プロジェクトを動かしたりする今の職に生かされていると思います。

研究室時代

4年時に斎藤英雄先生の研究室へ配属されて画像処理の研究を始めた後、研究室の立ち上げと共に杉本麻樹先生が指導教員となりました。マイクロソフトのKinectとプロジェクターを活用したARについての研究を行っていました。研究室には留学生も多くおり、共同研究先だった南オーストラリア大学へ短期的な研修に行くなど、国際色豊かな研究室生活を送ることが出来ました。 特に印象に残っているのは、大学院の時に研究室のメンバーで出場した国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC: International collegiate Virtual Reality Contest)で、総合優勝と仏国での展示へ招待されるLaval Virtual賞など数多くの賞をいただきました。個人の研究が中心な中で、研究室全員がチームとして力を発揮し面白いと多くの人が感じてくれる体験を作れた経験は、今の働くスタイルにも通じるところがありました。

卒業後の進路

卒業後はマイクロソフトディベロップメント株式会社に入社し、検索エンジンBingチームのプログラムマネージャーとして配属されました。就活中に、開発にかかわりたい一方で、「周囲にトップコーダーがいる中で、中途半端なコードを書く自分」の未来像に疑問を感じていたところ、エンジニアリングの知識を持ちつつユーザー目線のプロダクトを考えることを求められる現職種について知りました。運よく開発チームにお声がけいただき、自分の研究とは少し違う製品を扱うチームへ飛び込みました。入社し、初めは検索結果の最適化を行っていましたが、しばらくの後に、タスクを達成することではなく人との感情のつながりを重視する人工知能の開発プロジェクトが立ち上がり、そちらに志願して女子高生のキャラクターを持つ人工知能「りんな」のPMとして製品の開発、広報、対外的タイアップなど多岐ににわたる業務を担当し今に至ります。人工知能の開発には自分の今までの人生経験をすべてフル活用する必要があり、新しい技術を世の中に浸透させていくむずかしさを感じながらも、やりがいとこの上ない幸せを感じながら仕事をしています。

最後に

学生時代を振り返ると、今の自分の姿は全く想像できなかったですが、一瞬一瞬で自分の心を信じて進み、その先で出会う人々とのご縁の元に今の自分があると思います。研究室で先輩に、「技術を学ぶのもそうだが、研究室では考え方を学べ」と言われた言葉がいまだに役に立っています。学生時代、こんなこといったい将来に何に役に立つのだろうと思うこともあるかもしれませんが、その本質的な考え方を学ぶことで、考え方の幅が出来上がり、思いがけない時にその力を発揮する必要が出てくると思います。最新の人工知能でも正確な未来予測はまだできないですから、自分の心を信じて、自分の生き方を切り開いてください。

プロフィール

坪井 一菜 (つぼい かずな)
(神奈川県私立洗足学園高等学校 出身)

2012年3月
慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 卒業

2014年3月
慶應義塾大学大学院 理工学研究科 開放環境科学専攻 修士課程 修了

2014年4月
マイクロソフトディベロップメント株式会社 入社

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