理工学部電子工学科卒業の浜崎義樹と申します。福岡県にある半導体関連企業の株式会社ピーエムティーに勤めています。慶應理工学部の卒業生としてはやや異色の経歴を歩み,地方で奮闘する私に対して,塾員来往に執筆する機会を頂きました神成教授に心より厚く御礼申し上げます。

大学時代

高校で理系科目が得意であったことと,福岡を離れて東京で学びたいと考え,慶應義塾大学を選びました。決め手は,自由度の高い校風とキャンパスの秀麗さでした。


大学時代,成績のいい学生ではありませんでしたが,大学内外で様々な活動をしていたことから,先生方の記憶に残して頂けたのではないかと思います。


慶應は「実学の精神」の伝統があり,企業と関わる機会に恵まれていました。学部3年生の時に幹事を務めた企業・工場見学は,学問と社会の結びつきを強く感じ,学ぶことへの目的意識が芽生え,学業に打ち込むきっかけとなりました。

企業・工場見学

企業を巻き込み合宿研修実施

社会人としての土台を形成した銀行時代

三井住友銀行では,充実した教育を受けさせて頂きました。研修で頂いた『7つの習慣』という書籍は,人生の指針ともいえる本で,今でも読み返します。あらゆる面で,社会人の基礎を身につけた重要な時期でした。

ビジネスの愉しさにとり付かれたコンサルタント時代

2007年頃,村上ファンドやスティールパートナーズ等のアクティビストが注目され,資本市場が盛り上がりを見せていました。当時,多くの日本企業は,時価総額が国際的に割安で,素晴らしい技術を有する企業が買収されるリスクが高まっていました。そこで,敵対的買収防衛等を手掛けるコンサルティング会社アイ・アールジャパンに転職いたしました。

アイ・アールジャパンは,勢いあるベンチャー企業で,若手社員に豊富な機会が与えられていました。おかげで,日本を代表する企業に対して敵対的買収防衛等の助言や支援を行う貴重な経験を積めました。


ベンチャーの醍醐味の一つは,イノベーションの創出です。既存ビジネスに対して,新たな発想・仕組みで勝負を挑み,業界を変えるポジションであると捉えています。在職中,証券代行業界に対して40年ぶりとなる新規参入や,日本初のコミットメント型ライツ・オファリング(欧州で一般的な資金調達手法)実施等,金融界でのイノベーションに関与出来ました。

地方から世界を俯瞰する

ミニマルファブ装置群

仕事はとても充実していたのですが,家族のため生活環境の良い福岡に戻ることにしました。そして,ご縁あって半導体関連企業のピーエムティーに入社させて頂きました。 ピーエムティーは,商社から創業し,産学官連携等を通じてメーカーへの転換を図ってきました。社長の高い志に惹かれたメンバーが集まり,順調に成長しています。近時では,産業技術総合研究所が主導する国家プロジェクト『ミニマルファブ構想』に参画する等,技術力の高さが認められてきています。私は,自社技術を活かすイノベーション創出担当として,国内外を飛び回っています。 福岡に来て想うことは,イノベーションへの取組み易さです。世界から見れば,東京も福岡も地理的に相違なく,地方にも十分機会があります。また,価値観の多様化によって,ワークライフバランス重視の人財が,希望して地方に移住しつつあります。個人的には,地方特有の時間軸は,個人が自由な活動に時間を割ける分,イノベーションの源泉となる「知の探索」と「知の深化」の機会が多いと感じます。

学び続けることの重要性

山口大学入学式

AIやロボットの進化で,将来予測の困難さが増しています。先が見えない中で,自分や会社が生き抜くためには,学び続ける以外の道はないと考えています。私自身は,システム思考とデザイン思考を備えた人財を目指しています。今春,山口大学の技術経営研究科(MOT)に入学し,システム経営を学び始めました。また,九州大学の清須美教授と組織コミュニケーションデザインの共同研究に関与させて頂いており,将来は,感性やデザイン領域の博士号取得を目指します。なお,この分野は,限られた大学でしか学べません。その一つが,慶應であり進学を検討しています。

最後に

社会人になって一層,慶應とのご縁に恵まれることを実感します。例えば,ハプティクス研究センターや慶應発ベンチャーモーションリブの皆様と協業に向けた取組を行っています。今後も,慶應での学びを活かして,社会のお役に立ちたいと考えています。

最後になりますが,学部時代にご指導頂いた真壁教授並びに電子工学科の先生方,先輩方,素晴らしい同級生の皆様に,心より感謝申し上げます。

プロフィール

浜崎 義樹(はまさき よしき)
(福岡県立福岡高等学校 出身)

2007年3月
慶應義塾大学理工学部電子工学科 卒業

2007年4月
株式会社三井住友銀行 入行

2008年1月
株式会社アイ・アールジャパン 入社

2016年11月
株式会社ピーエムティー 入社

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