このたび、塾員来往に寄稿させていただく機会をいただき、ありがとうございます。 私は現在社会人4年目で、理工学部数理科学科を卒業して5年以上経ちますが、大学時代に学んだことが今の私にどう繋がっているか振り返ってみたいと思います。

理工学部を志望した理由

中学生の頃から数学に関する読み物を読んだり、パズルを解いたりすることが好きでした。高校生になっても数学への興味は変わらず、大学では好きなことを勉強しようと思い、数理科学科を選択することのできる学門2に進学しました。ただ、大学で数学を勉強して社会の役に立つのだろうか?という少しの疑問と不安を抱いていたのを覚えています。

大学へ入学

大学に入学して数学を勉強しようと思ったものの、当初は学ぶ内容をよく理解できずに、その場しのぎの勉強をしていたと思います。これでよいのだろうかと自問自答し始めた1年生の終わり頃に、大学の図書室で素晴らしい解析の参考書を見つけ、改めて勉強を始めました。この時に初めて、大学の数学とは何かを感じ取ったように思いました。自力でこの時勉強できたことが、その後数学を学ぶ姿勢を培い、大学生活を充実したものにしてくれたと思います。

数理科学科に進学してからは、同じ数学が好きな友人に囲まれ、楽しい毎日を過ごしました。いつもわくわくしながら講義を受けていましたし、授業の合間に図書室で友人と課題を解いたり、好きな勉強をしたりしたことはよい思い出です。

勉強以外にも、スキーサークルの活動やアルバイトに励んでいました。サークルは理工学部以外の人や他の大学の人と出会う機会となり、いろいろな刺激をもらいました。活動日が土曜日だったこともあり、平日はよく学び、休日はよく遊んでいた日々でした。

スキーサークル、全塾大会にて

研究室への配属と大学院入学

学生時代の様子

専門分野を何にしようか悩みましたが、解析系で実社会にも応用できそうな確率論を学ぼうと思い、確率論の研究室で学ぶことにしました。ゼミの輪講では、確率論の基礎やファイナンスのごく初歩を学びましたが、他の先生にも指導をしてもらい、とても勉強になりました。

学部を卒業して社会に出ようとは全く考えず、数学の勉強を続けたいという思いから、大学院へ入学し、引き続き確率論について学びました。大学院では様々な学会に出席し、本当に優秀な方々に出会い、最先端の研究に触れられたことがよい経験になりました。

現在の仕事について

私は現在、第一生命保険株式会社に勤め、保険数理的な観点から保険商品の開発に携わっています。保険事業にとても大きな影響を与える業務内容ですので、難しい仕事ですがやりがいがあります。大学で学んだ確率論は直接的に仕事に役立つことが多いです。また、直接的でなくとも、数学を通して身につけた物事を考える姿勢は役立っているのではないかと思います。

現在の仕事はファイナンスの知識も求められるため、学部4年生の頃読んだテキストをまた読もうかとも思っています。

終わりに

高校生の頃に数理科学科へ進学することに不安を抱いたこともありましたが、今ではそのような不安は杞憂だったなと思っています。好きな学問を学ぶことができ、大学時代を有意義に過ごせたことは本当に貴重な経験であり、数理科学科へ進学して本当によかったと感じています。

最後に、これから大学へ入学される方へのメッセージになりますが、大学では是非自分の好きなことに打ち込み、思い切り楽しい学生生活を送ってください。

プロフィール

三宅 泰記(みやけ たいき)
(慶應義塾湘南藤沢高等部 出身)

2009年3月
慶應義塾大学理工学部数理科学科 卒業

2011年3月
東京大学大学院数理科学研究科修士課程 修了

2011年4月
第一生命保険株式会社 入社

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