【大学6年間】

学部4年、修士2年と計6年間の大学生活は長いようでとても短いものでした。改めてこの6年間を振り返ると、化学や生物だけでなく心理や倫理学など幅広い知識の習得、サークル活動、アルバイト、旅行、ととても充実していたように感じます。大学生活は楽しく充実した日々ではありましたが、それだけでなく辛いこともありました。しかし、理工学部の友人、講義やサークルを通じて出会った文系の友人、先輩などに助けられたお陰で、辛いことも乗り越えることができました。慶應義塾大学での生活は友人との出会いや苦難を乗り越えることでの自己成長という観点で、貴重で忘れられないものとなっています。

【研究室生活】

生命情報学科に進んだ後、3年生では研究室選びで悩みました。教授や研究室に配属されている先輩のお話を伺う中で、佐藤教授が研究されている「ライブラリーからのセレクション技術」や「遺伝子治療」の話を聞き、その領域に興味を抱いたこと、また、研究室の雰囲気が良かったこと、などの理由で佐藤研究室を希望しました。3年間の学生生活を研究室で送るという意味でも、研究室選びは慎重に行って良かったと思っています。

研究室では『インフルエンザウイルスの感染阻害剤の探索』というテーマで研究を行いました。細胞培養実験やウイルスの取り扱いなど、何もかもが新しいことばかりで少々戸惑いはありましたが、実際に自分の手を動かして実験することに楽しみを感じました。研究は学生実験と違い、未だ明らかになっていないことを解明していくという面があるので、思わしい結果がなかなか得られない悪戦苦闘の日々でもありました。良い結果が得られず、挫折しそうになることもありましたが、教授との念入りなディスカッションや先輩・同期からの励ましを支えに無事に卒業を迎えることができました。今思うと、何の失敗もせずに結果がすぐ得られていたら、研究室での生活は物足りないものとなっていたかもしれません。

研究室では、実験だけでなく夏合宿のイベントもありました。スポーツ好きの人が多かったせいか、真夏の暑い体育館で汗をかきながらバドミントンやドッジボールなどのスポーツをした後、バーベキューをしたりしました。普段の実験生活では使わない筋肉をフルに使ったため、次の日筋肉痛で苦しみましたが、今では楽しい思い出になっています。

2004年夏合宿(蓼科山荘)

2006年 生命情報学科ソフトボール大会

【就職活動】

大学院に進学し、いよいよ就職を考えるようになりました。研究室では基礎研究を行っていたこともあり、研究室と企業での基礎研究は違うのか、基礎研究を商品に応用していく商品開発研究はどのような仕事なのか、基礎研究と商品開発のどちらが自分に適しているのか、など色々悩みました。そんな時、実際に企業で1ヶ月ほど体験入社できるインターンシップの話を聞き、実際に参加して自分の適性を見極める機会に恵まれました。インターンシップだけでなく、慶應義塾大学の卒業生はあらゆる分野に就職していたこともあり、自分の興味のある業界で働いている方のお話を直接伺うためのOB・OG訪問を行うなど、就職活動をしやすい環境に恵まれ、悔いの残らない就職活動ができました。

【現在】

花王株式会社に就職し、現在は美白化粧品の商品開発に携わっています。化粧品の開発では、ふつうは混ざり合わない水と油を界面活性剤のような両親媒性化合物を用いて均一に混ぜ合わせる技術を使います。学生時代に習得した生物学的な知識は実際の業務に直接は活かされているわけではありませんが、肌の「しみ」はどうしてできるのか、などのメカニズム解析を理解する際に大いに役立っています。

また、花王株式会社には多くの慶應義塾大学卒業生がいるため、とても心強く感じています。慶應義塾大学卒業生での懇親会も行われ、このように大学での絆が深いのも慶應義塾大学の特色なのかもしれません。

2007年 花王株式会社 慶應義塾大学OB会

プロフィール

島田 亜紀(しまだ あき)
(スペイン 私立Kensington School 出身)

2005年3月
慶應義塾大学理工学部生命情報学科 卒業

2007年3月
慶應義塾大学大学院理工学研究科化学専攻修士課程 修了

同年
花王株式会社 入社 

現在に至る

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