川口晃平氏による人間教育講座が開催されました

2017年12月05日

2017年11月30日(水)、日吉キャンパスJ21教室にて、「現代を生き抜く能楽」と題して川口晃平氏(シテ方観世流能楽師 梅若会所属)による人間教育講座が開催されました。

理工学部が主催するこの講座は、現代社会の先導者とも言える方々に、世界観、人生観、哲学を語っていただくことによって、学生が「社会の中でどう生きるか」を考えることを目的としています。当日は理工学部の1・2年生だけではなく、他学部・他研究科に在籍する塾生や社会人などが参加されました。

講演では、本題である能楽の歴史に入る前に、能楽師の家に生まれたわけでなく、大学入学まで能を見たこともなかった川口氏が、なぜ能に魅せられて能楽師になったのかというご自身の能楽師のルーツから説明されました。その後、「能」とは何かから始まり、能楽師に能が現存最古の芸能である仮面を用いる歌舞劇であることや、能の流派や狂言との違い、能の創始者である観阿弥・世阿弥の室町時代から式楽となり得た江戸時代で武家に能が受け入れられてきた理由、そして、人間の本質をテーマとし、観客のイマジネーションに訴えかける芸能として650年演じ続けられた能の歴史を説明されました。

また、講演の途中には、聴衆が川口氏と一緒に能の曲の一つである「老松」を謡う機会も設けられ、能楽師の発する声の迫力やリズムに聴衆が驚き、謡うことの難しさを体感することもできました。

最後には、現代における能および能周辺の危機にも触れながらも、国から全く保護を受けずに高い美意識を保ちながら650年もの間演じ続けられてきた能の魅力を訴えて、講演を締めくくりました。

講演後には、川口氏が持参した実際の能舞台で使われる「能面」や「能装束」を参加者に見せながら、演題の周りに集まった参加者から寄せられる「『老松』の謡いだしが2拍目から始まる理由は?」「舞台で使用する能面や能装束はどこから仕入れているのか」「能楽師になるためにはどうすれば良いか」のような質問に一つ一つ丁寧に答えながら、今回の人間教育講座を終了しました。

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