創造クラスター スーパーグローバルシンポジウム「量子コミュニティ」開催

2017年01月19日

昨年12月19日(月)と20日(火)の2日間、日吉キャンパス来往舎シンポジウムスペースにて、慶應義塾 創造クラスター スーパーグローバルシンポジウム「量子コミュニティ」が開催されました。

「量子コミュニティ」は、慶應義塾における物理学・化学・電子工学・光科学などの「量子力学に基づく科学技術」の研究者が集結して問題意識を共有し、塾内・国内・国際的な連携を推進することを目的とした、総勢38名の研究プロジェクト(研究代表者: 白濱圭也理工学部教授)です。量子力学はエレクトロニクスやレーザーなど現代科学技術の基礎となっています。2017年は量子力学が完成してから90周年にあたりますが、21世紀に入りその重要性はますます高まっています。慶應義塾はこれまでも量子力学に基づく科学技術発展に貢献してきましたが、個々の研究者が独立に進めてきた研究を俯瞰して、連携の可能性を探るのが本シンポジウムの目的です。また今回のシンポジウムは、協賛する国内4大学(東北大、東大、阪大、慶應大)のコンソーシアム「スピントロニクス学術研究基盤と連携ネットワーク」の慶應でのキックオフも兼ねて行われました。

シンポジウムでは青山藤詞郎理工学部長(創造クラスターリーダー)の挨拶と創造クラスターの紹介があり、また塾外からの招待講演者として、松尾衛 日本原子力研究開発機構先端基礎研究センター主任研究員、平川一彦 東京大学生産技術研究所教授、田中雅明 東京大学大学院工学系研究科教授の3名にご講演を頂きました。さらに量子コミュニティメンバー32名が講演を行いました。このうちメンバーの齊藤圭司 理工学部物理学科准教授の講演は、統計物理学分野で優れた業績をあげた研究者に与えられる、久保亮五記念賞の受賞記念講演として行われました。

いずれの講演においても、大変レベルの高い研究成果がわかりやすく紹介され、会場では活発な質疑応答が交わされていました。今回のシンポジウムは、慶應義塾の量子科学研究者の層の厚さ、研究レベルの高さを示すと共に、塾内・国内・国際的連携への第一歩を踏み出すイベントとなりました。

青山藤詞郎 理工学部長

白濱 圭也 教授(研究代表者・物理学科)/「量子コミュニティ」の目的

伊藤 公平 教授(物理情報工学科)/シリコン量子コンピュータ

松尾 衛 氏(日本原子力研究開発機構先端基礎センター)/巨視的回転を用いた核スピンおよび電子スピンの制御

平川 一彦 氏(東京大学生産技術研究所)/ナノギャップ電極とテラヘルツナノサイエンス

田中 雅明 氏(東京大学大学院工学系研究所)/強磁性半導体とスピントロニクスの新しい展開

齊藤 圭司 准教授(物理学科)/量子孤立系の熱化現象の統計力学的考察

熱心に質問する参加者

撮影:井上 悟 ほか

ナビゲーションの始まり