理工学部および新川崎タウンキャンパスと川崎市立木月小学校(尾崎美幸校長、川崎市中原区)が提携して、子ども達に科学の楽しさを伝える「ケーキ☆サイエンス」が、今年度も行われました。「慶應義塾の慶と木月の木を併せた「慶木」が、楽しくおいしい「ケーキ」のような授業であって欲しい」という児童の願いが込められたこの特別授業は、矢上川をはさんで向かい合う両校が川崎市教育委員会の実施する「かわさき子ども夢教育」の特別非常勤講師配置事業に参画して2005年度から行われているもので、今回で11年目を迎えました。
今年度は、以下の6つのテーマによる授業が、3年生から6年生までの児童を対象に開催されました。授業は木月小学校と矢上キャンパスの双方を使って行われました。
12月2日には、神原陽一・物理情報工学科准教授と神原研究室及び的場研究室の学生による木月小学校の4年生を対象とした授業「リニアはなんで浮くの?」が、矢上キャンパス11棟31教室で行われました。
まず、本学の学生が木月小学校の児童向けに温度と電気に関する知識のおさらいを行い、次に電車とリニアモーターカーの移動の仕組みの違いについて説明しました。さらに、「常伝導」を「歩きにくい砂利の道」に、「超伝導」を「走りやすい陸上トラック」に例えるなど、小学生にも理解しやすいように常伝導と超伝導の違いについて講義をしました。
その後、神原准教授による原子と超伝導体の構造に関する説明の後、液体窒素と超伝導体を用いたジェットコースターのデモが行われ、弱い磁石で作ったサーキットコースに沿って冷やされた超伝導体が、浮きながら移動する様子を、児童たちは食い入るようにじっと見ていました。
休憩を挟んでからは児童が実際に自分の手で実験を行い、リニアモーターカーの模型が実際に浮きながら走っていることを手で触って確かめようとしたり、お箸で掴んだ「冷えた超伝導線材」を磁石で作ったコースに落として「超伝導ジェットコースタ-」として滑り降り、宙返りをする様子に驚いて大声をあげたりして、実験を楽しんでいました。
実験の後で、本学の学生が「超伝導体はなぜ落ちないのか?」という実験で出た疑問を解説する講義を行うと共に、神原准教授が超伝導線材の中の「パイ皿」と「ちっちゃい落とし蓋」の構造について解説しました。最後に「エネルギーを超伝導で世界中に送電してエネルギー問題の解決を目指す」という夢を語って、90分間の授業を終了しました。