「文系・理系を超えたAI(人工知能)活用最前線」開催

2019年07月09日

2019年6月26日(水)に、日吉キャンパス協生館藤原洋記念ホールにて、理工学部創立80年・藤原銀次郎翁生誕150周年記念イベント「文系・理系を超えたAI(人工知能)活用最前線」と題したシンポジウムが開催されました。
このシンポジウムは、文系・理系の学生および教育・産業界の皆様を対象として開催され、慶應義塾のAI研究最前線と全く新しい形のAI・高度プログラミングの人財育成への取り組みについて紹介されました。当日は、AIについて深く関心をもった本学に在籍する塾生やコンソーシアム法人会員企業のほか、数多くの企業の皆様、教職員等、215名の方々が参加されました。

岡田英史理工学部長による挨拶

岡田英史理工学部長による挨拶

岡田英史理工学部長の挨拶の後、最初に管理工学科の山口高平教授が、「世界のAI研究と慶應のAI研究」と題した講演を行いました。講演では、AI研究の歴史や世界のAI技術の実装例として、IBMの「Watson」や「Project Debater」、米Google系の自動運転開発企業であるWaymo社の自動運転タクシー等の例が紹介されました。また、慶應義塾大学先導研究センター「人工知能・ビッグデータ研究開発センター」で山口教授らが取り組んだ例として、日本語Wikipediaとオントロジー技術を活用した人型ロボット「NAO」や「SOTA」の小学校の教育現場での活用例や近未来ロボットカフェの例が紹介されました。講演後の質疑応答では、機械学習におけるデータのハンドリング(前処理)と学習結果の評価(後処理)が業務の9割とも言われ、ここでの研究も進んでいることやAI教育に関しては、実際に体験しながらAIで実現可能なことと、その限界を知ることの重要性が語られました。

講演:「世界のAI研究と慶應のAI研究」慶應義塾大学 理工学部 管理工学科 山口 高平教授

講演「世界のAI研究と慶應のAI研究」
管理工学科 山口 高平 教授

続いて、KPMGコンサルティング株式会社 執行役員パートナーの椎名茂氏が、「文系理系を問わず社会が求めるAI人財とは」と題した講演を行いました。講演では、AIの歴史やAIプロジェクトの進め方、AI人材に求められるスキルが紹介されたほか、コンソーシアムで実際に行われている①言語・基礎理論系、②実践・応用技術系、③ビジネス系が網羅された演習・講義の体系図やAIを使ったビジネスアイディアコンテストであがったビジネス例が紹介されました。椎名氏は、文系・理系というバッグラウンドは関係なく、データの意味を考える力やモノを具体的に作り出せる力、発想力や必要な人材を巻き込んでいく力が重要であると語られました。

講演:「文系理系を問わず社会が求めるAI人財とは」KPMGコンサルティング株式会社 執行役員パートナー(慶應義塾大学訪問教授)椎名 茂氏

講演「文系理系を問わず社会が求めるAI人財とは」
KPMGコンサルティング株式会社 執行役員パートナー(慶應義塾大学訪問教授)椎名 茂 氏

後半の講演では、コンソーシアムの代表である伊藤公平教授が「塾生誰もが参加できる『AI・高度プログラミングコンソーシアム』の紹介」と題して、コンソーシアム発足の背景やその狙い、日吉と矢上に設置されたAIルーム環境、学生による講習会シラバスができるまでの流れ、コンソーシアムに参加する会員企業の役割、直近で行われた高度プログラミングコンテストの模様、今後の展開等について紹介しました。伊藤教授は、政府のAI人材育成戦略にも触れ、目標とする人材を育成するには教える人材が不足する現状があるため、優秀な学生が学びたい学生に教える人材育成のモデルを企業側のニーズを取り込みながら、産学が連携して育てていきたいと語りました。

塾生誰もが参加できる「AI・高度プログラミングコンソーシアム」の紹介 
慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科 コンソーシアム代表 伊藤 公平教授

塾生誰もが参加できる「AI・高度プログラミングコンソーシアム」の紹介
  「AI・高度プログラミングコンソーシアム」代表 物理情報工学科 伊藤 公平 教授

また、シンポジウムの最後には、以下のコンソーシアム法人会員による、5分間のプレゼンテーションが行われ、各企業におけるAI活用例の紹介や企業が望む文系・理系のAI人財像やそれを踏まえて、学生に大学で学んで欲しいこと等のメッセージを賜る貴重な機会となりました。

  1. 日産自動車株式会社
  2. 株式会社三井住友銀行
  3. 伊藤忠商事株式会社
  4. カシオ計算機株式会社
  5. ジック株式会社
  6. SOMPOホールディングス株式会社
  7. パーソルキャリア株式会社
  8. 東京海上ホールディングス株式会社
  9. 富士ゼロックス株式会社

撮影:石戸 晋、岸 剛史

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