プロジェクト内容

新型コロナウイルス感染症の拡大により、マスクを着用する機会が増加しています。しかし、N95マスクなどの高機能マスクを除けば、いわゆる一般的なサージカルマスクや家庭用マスクは、自分自身の口から放出される飛沫(一般的に粒径 5 μm 以上の粒子を指します)を低減させる効果はあると考えられるものの、より小さいサイズのエアロゾル(ここでは粒径 5 μm 以下の粒子を指します)の吸入を防ぐ効果は必ずしも高くないことが指摘されています。この理由として、マスクそのものの粒子捕集性能は高いものであっても、実際にマスクを装着した際に、マスクと顔の間に隙間が生じることが避けられず、この隙間から粒子が侵入することを防ぐことが難しかったためです。

そこで、慶應義塾大学理工学部応用化学科の奥田知明教授は、企業との共同研究の成果により、マスクと顔のフィット性を向上させる伸縮ゲル製のマスクカバーを開発しました。今回開発されたマスクカバーは、伸縮ゲルの特性を活かしマスクの外周より一回り大きいサイズのカバーで顔の上からマスクを押さえることができます。企業により開発されたマスクカバーの試作品を用いて奥田教授がマスク装着サポート性の評価実験を行った結果、この試作品はマスク外側の粒子の内側への侵入を平均して約70%低減させることを確認しました。

今後感染症等の拡大によりマスク等の医療資材がひっ迫した際に、N95などの高機能なマスクは医療機関等へ優先的に供給されるべきと考えますが、医療機関以外にも直接的に他人と接近せざるを得ない業務に従事する人は多いのが実情です。今回の試作品を用いた共同研究の成果を利用して開発されたマスクカバーは、一般的に入手可能なマスクの装着時の顔とマスクの間の隙間を密着させることでマスク外に対するマスク内の粒子低減効果を実現するものであり、特に介護施設・保育施設・教育機関・接客業など、直接的に他人と接近する業務に携わる多くの方に、空気中のウイルスや細菌等の粒子状物質を介した感染症の予防の機会を提供するものであると考えます。

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