大学を卒業して6年半になりますが、このように母校のHPで記事を書く機会を与えていただき、我が恩師小澤先生には大変感謝いたします。この度は「ユニークな仕事をしている人」ということで、お話をいただきました。確かに、理工学部を卒業して自衛隊に就職する人は(今は多少増えたと聞きますが)あまりいないだろうと思い、筆をとらせていただきました。

大学時代の思い出といえば、日吉の銀杏並木と、図書館と、夜中の矢上の校舎です。大学に合格し、初めて親元を離れて入学式を迎えたときの銀杏並木は今でも忘れられません。多くのOBにとってあの銀杏並木は特別なものだと思います。日吉に通っていた頃は友人と図書館で勉強したり、課題に取り組んだりと、真面目と言われがちな女子大生らしい生活を送っていましたが、矢上に通う頃には図書館では昼寝、夜に研究室でゼミの準備とすっかり夜型人間になっていました。夏の夜に台風が来て、研究室でプログラムを書いている間に過ぎ去ってしまい、帰るころには台風一過のさわやかな朝だったこともあります。

就職活動はあまり熱心に行った記憶がありません。地元のNEC関係の会社に推薦が決まっていたのですが、4年生でオペレーションズ・リサーチについて研究している小澤正典先生の研究室に入ったので、自然と自衛隊のほうに目が向いたのでしょうか(ORはWWⅡにおいて米英軍が作戦の研究のために使われた数理的アプローチに端を発します)。陸上自衛隊の幹部候補生の試験をうけて、自衛隊に入隊しました。1年目は福岡県久留米市にある幹部候補生学校で、自衛官・幹部としての教育・訓練を受けました。学生の頃にあまり運動をしていなかったのでかなり不安もありましたが、同期に支えられて、なんとか乗り切りました。規則正しい生活、野外訓練や体力錬成、戦術・戦史・防衛基礎学。どれも企業の新人研修では体験できないもので、慣れてしまえば楽しいものです。

霧の中での訓練(H11年)

その後は部隊に配属され小隊長として勤務し、平成14年には防衛大学校の理工学研究科に入り韓国やインドネシアの留学生とともにORの研究で修士をとらせていただきました。M2の時には矢上キャンパスで開催されたOR学会で発表し、初めて新校舎に足を踏み入れることもできました。現在は防衛庁技術研究本部に配属され、同じ慶應出身の上司・後輩に囲まれ楽しく勤務しています。大学時代に勉強したことが直接仕事に役立てられる機会はあまり多くはないですが、学生のころの体験や、先生のちょっとした一言などは今でも働く上での資となっています。これからも、大学時代に得た様々なことを糧に、国民のために頑張っていきたいと思います。

防衛大学校時代、インドネシア・韓国の留学生と(H15年)

米軍キティ・ホークにて後輩と(H15年)

戦術について議論中(H17年)

プロフィール

妹尾 晶子(せのお まさこ)
(石川県立小松高校 出身)

1999年3月
慶應義塾大学理工学部管理工学科 卒業

1999年4月
陸上自衛隊 入隊
小隊長等を経て
現在 防衛庁技術研究本部 勤務

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