インプラント透析システム(人工腎臓)の開発

研究者

機械工学科 三木 則尚 教授

連携先

東京医科大学 医学科 腎臓内科学分野
 菅野 義彦 主任教授

研究の背景

国内32万人、世界で260万人の腎臓病患者が受けている人工透析治療は、極めて完成された治療法です。一方で、患者は週3回の通院と毎回4時間の床上安静を強いられます。また健常者が週7日×24時間で行っている血液浄化を、週12時間で急峻に行うことによる身体的負担、頻繁な穿刺による疼痛と血管へのダメージ、日々の食事制限など、患者のQOLが高いとは言えません。また透析治療は全て保険でカバーされますが、医療費は一人当たり年間500万円、総額1兆7000億円に上っており、代替治療の開発が急務です。

研究の内容

そこで我々は、マイクロ流路とナノ多孔質膜を組み合わせたインプラント人工腎臓を用いたハイブリッド透析治療に関する研究を行っています。インプラント人工腎臓により、水や電解質を継続的に除去します。これにより、患者の通院を週1回程度に低減し、それに伴う穿刺や治療の負担を低減することができます。また、継続的に水を除去できることから水分摂取制限を緩和することができ、これらのことから患者のQOLを各段に向上できると考えています。
また通院回数の低減は、医療費の低減にもつながります。 またNEDO TCP2017(Technology Commercialization Program)で最優秀賞を受賞するなど、事業化に向けた体制も整えています。

参考文献

N. To, I. Sanada, G.S. Prihandana, S. Morita, Y. Kanno, and N. Miki, “Water-permeable dialysis membranes for multi-layered micro dialysis system” Frontiers in Bioengineering and Biotechnology, 3, 70, 2015.

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