拡散光トモグラフィ-新しい機能画像診断技術-

研究者 電子工学科 岡田 英史 教授
連携先 浜松医科大学 光尖端医学教育研究センター
星 詳子 教授

研究の内容

X線CT、MRI、超音波画像診断装置など、生体の断層画像を取得する技術は、現在の医療診断では必要不可欠になっています。これまでの画像診断装置は、主として体内の組織構造の違いを可視化するものでしたが、生体機能や代謝といった構造以外の情報をイメージングして、さらに高度な早期診断を可能とする試みが積極的になされています。近赤外光を用いた生体イメージング技術は、酸素代謝に関連する血液中のヘモグロビンなどの物質を測定でき、さらに、がんなどの疾患で特徴的に発現する分子を標識する蛍光プローブを利用した分子イメージングに応用することが可能なことから、注目を集めています。一方、X線が生体組織内を直進するのに対して、光は強い散乱を受けて拡散的に伝播するため、断層像を再構成するには検出光の伝播経路を正確に把握する必要があります。拡散光トモグラフィの臨床応用を実現することを目指して、MRIなどによる構造情報から対象組織内の光伝播を正確にモデリングし、その情報を利用して機能画像を再構成する技術について研究・開発を進めています。

図1 甲状腺がんの診断を目的とした拡散光トモグラフィのためのヒト頸部モデル光伝播シミュレーション
(a) MRIで取得した頸部の構造情報に基づいたモデル
(b) 照射点にパルス光を入射して1ナノ秒後の組織内における光子密度分布
(c) パルス光の入射から1~2ナノ秒の間に検出点に到達した光子の伝播経路分布(図中の破線は甲状腺の部位)

書誌情報

論文 Numerical modeling of photon migration in human neck
based on the radiative transport equation
著者 H. Fujii
S. Okawa
K. Nadamoto
E. Okada
Y. Yamada
Y. Hoshi
M. Watanabe
掲載誌 J. Applied Nonlinear Dynamics, 5
pp. 117-125 (2016)

論文 Magnetic resonance imaging appropriate for construction of
subject-specific head models for diffuse optical tomography
著者 K. Kurihara
H. Kawaguchi
T. Obata
H. Ito
Eiji Okada
掲載誌 Biomedical Optics Express, 6 (9)
pp. 3197-3209 (2015)

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