論文 | The radius of convergence of the p-adic sigma function |
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著者 | Kenichi Bannai, Shinichi Kobayashi and Seidai Yasuda |
掲載誌 | Math. Z. (2017) Vol. 286: 751-78; DOI: 10.1007/s00209-016-1783-x |
整数論において重要な研究対象であるRiemannゼータ関数という複素関数の正の偶数値は、Bernoulli数と呼ばれる数で表されていることが知られている。Riemannゼータ関数の値の性質は、Bernoulli数の母関数を通して調べることができる。Riemannゼータ関数の虚2次体版である虚2次体のHecke L関数の特殊値は、Eisentein-Kronecker数と呼ばれ数で表されている。我々はこれまでに、Eisentein-Kronecker数の2変数母関数が、ある種のテータ関数で表されることを証明した(Bannai-Kobayashi, 2010)。この結果は、EisenteinとKroneckerの古典研究の最近の進展として、欧州数学会の学会誌の特集でも紹介された(Charollois&Sczech 2016)。今回は、虚2次体のHecke L関数の特殊値の性質を調べるために、母関数となるテータ関数を構成するシグマ関数の冪級数展開における係数の各素数pに対するp進的振る舞いを研究し、冪級数のp進的な収束半径を求めた。