例えば、皆さんがパン屋のオーナーだったとしましょう。明日のパンの仕込みのために、今ある材料から、どのパンをどれだけ作るかを決めなくてはなりません。このようなとき、どのように作るパンの個数を決めますか?もっとも利益が高くなるように決めたいですよね?このような意思決定を支える技術の一つに数理最適化があります。

数理最適化は限られた条件の下で目的とする関数(コストや利益など)を最小化(または最大化)する数理最適化問題とその解法に関する数理科学分野です。数理最適化問題は工学、社会科学、統計学など様々な分野で生じる重要な問題の一つで、古くから研究が行われていますが、特に昨今では情報社会の発展・高度化に伴い、解くべき数理最適化問題の大規模化・複雑化が進んでいます。したがって、それらの問題に対する解決策の構築が急務となっています。

数理最適化は実社会の問題を数理最適化問題へと定式化するモデル化と、そのモデル化された問題を解くためのアルゴリズムというお互いを補完する2つの技術から成っています。成島研究室では、上述したような大規模化・複雑化された数理最適化問題に対して、モデル化とアルゴリズムの開発という両面から研究を行っています。

●大規模な最適化問題と解くためのアルゴリズムの研究                                    近年の高度情報化社会の流れから、扱うデータ量が増えてきています。そのため、近年では、いわゆる大規模な最適化問題が増えてきています。しかしながら、大規模な最適化問題は必ずしも既存の方法で解決できるとは限りません。そのため、大規模な最適化問題に対するモデル化や解くためのアルゴリズムに関する研究を行っています。

●ロバストな最適化問題に対する研究                                            例えば、複数の製品の生産量を決定することによって販売利益を最大にしようという最適化問題があったとします。その場合、製品の単位利益などは一定の値としてモデル化されますが、実際には外部要因(例えばガソリン価格の高騰による輸送費の変動など)によって変化することが一般的です。このように、不確実な状況を含むような最適化問題に対して頑健(ロバスト)な最適解を与えるような方法の研究を行っています。

●均衡問題に対する研究                                                  通常、意思決定者が一人の場合には数理最適化問題となりますが、複数の意思決定者がいて、お互いに影響を及ぼすような、いわゆる競合が生じるような場合に生じる問題は、均衡問題と呼ばれ、通常の最適化問題より複雑な問題となります。そのため、均衡問題に対するモデル化や均衡問題を解くためのアルゴリズムについて研究を行っています。

図1. アルゴリズムによって生成される点列のイメージ図

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