使用頻度データを取入れたフランス語参考書

使用頻度データを取入れたフランス語参考書

タイトルの三つの要素を、現在の研究テーマとしています。 まず「フランス語教育」ですが、自身の留学やフランス語検定1級取得などの経験を取り入れた、効率的な学習メソッドの確立を目指しています。
今のところ、各語の使用頻度データを反映させた新しいタイプの参考書作りに力を入れており、動詞の使用法に特化した『フランス語 最強の使える動詞59』(駿河台出版社、2013)、フレーズに応用した『聴くだけ!やさしいフランス語会話』(DHC、2014)がその成果となっています。両書とも高い評価を頂いており、特に前者は、「形容詞・副詞編」、「名詞編」とシリーズ化される予定です。
日々の授業でも、結果は数値化するように努めています。例えば2016年度は、仏検では2級6名、準2級25名、3級37名、4級16名、5級3名、また、フランス政府給費留学生試験では5名の合格者を出すことができました。こうした情報を発信するWEBサイトも、現在準備中です。

日吉での国際シンポジウムで談笑するブーヘル駐日スイス大使と清家塾長

日吉での国際シンポジウムで談笑するブーヘル駐日スイス大使と清家塾長

「スイス」は留学先でした。研究対象の18世紀の思想家J.-J. ルソーの草稿類の多くが保管されているフランス語圏の街ヌーシャテルで、最高評価のsumma cum laudeで文学博士号を取得しました。
現在は、ルソーも滞在し、時計産業の世界的中心地として知られるジュラ山地(「ジュラ紀」の語源)の歴史と文化に興味を持っています。研究成果の発表も兼ね、日瑞国交樹立150年にあたる2014年には、日吉キャンパスで国際記念シンポジウムをオーガナイズさせて頂きました。
ちなみに、スイスは九州ほどの面積ながら、様々な分野で世界をリードしている驚くべき国です。一例を示せば、THE世界大学ランキング2016-2017では、独語系、仏語系とも、最高評価を得ているのはドイツやフランスの大学ではなく、チューリッヒとローザンヌの工科大学です(8位、14位)。三田会もチューリッヒとジュネーヴにあり、私は今でも後者のWEB担当幹事をしています!

執筆責任者を務めた新ルソー全集第11巻(植物学関連著作)

執筆責任者を務めた新ルソー全集第11巻(植物学関連著作)

最後に「ルソー」については、その植物学者としての側面の再評価を行っています。生誕300年を記念して2012年にスイスで刊行された新全集では、第11巻434ページを使って、研究史上はじめて全ての関連テキストを提示し、解説を行いました。
『社会契約論』や『エミール』などで知られるルソーは、その後半生の大半の時間を植物学の研究に費やしました。それは単なる趣味や現実逃避のレベルに止まるものではなく、リンネやジュシューなど専門家たちとの交流、用語辞典や入門書の執筆といった事項が物語るように、まさに「植物学者」としての活躍ぶりでした。
一方で、草花の分類の際に必要な細部の観察、構造や体系の把握といった植物学者としての習慣は、自伝文学の原型とされる『告白』執筆のヒント、動機の一つとなったとも考えられます。実際に、この著作は、自身の行動や心理を細かく分析し、全体を貫く根本原理を明確に提示するためのものでした。それぞれの専門領域に篭ってしまいがちな現代、このような分野を超えた共鳴の実例に時折は触れておくことは、とても重要なことなのではないでしょうか。

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