大野 義夫 (情報工学科 教授)

コンピュータグラフィックスは、最近はCGと呼ばれることが多くなっていますが、コンピュータを使って画像、つまり静止画や動画を作る技術のことをいいます。多くの人にとって、映画やゲームなどでおなじみでしょう。

CGで画像を作るには、描きたい物体の立体的な形や照明条件などをコンピュータに教え、仮想的なカメラからその物体がどのように見えるのかを計算によって調べて、画像とするのが普通です。この場合、どのようにして物体の立体的な形をコンピュータに教えるかが問題です。おもな方法に3通りあります。

方法A.マウスやキーボードを使って、物体の頂点座標を1つ1つ指定する
方法B.実物を測定して、そのデータをコンピュータに与える
方法C.なぜそのような形になるのか、その規則をコンピュータに教える

方法Aは手間がかかります。人の顔を描く場合などによく使われるのが方法Bです。ただし、レーザー光を使って立体形状を測定する特殊な装置が必要ですし、本人に来てもらえる場合しか使えません。私がとくに興味をもっているのが方法Cです。

麺類が上から落ちるときにかかる重力などの物理法則をコンピュータに教えると、図1のような動きをつくることができます。さらに麺どうしの衝突なども考慮して、多数の麺を容器に盛りつけると、図2のような画像が作れます。同様の考え方で降雪と積雪を表したのが図3、水の中の氷と布の動きを表現したのが図4です。物理法則を少し変えると、現実世界ではあり得ないような動きも作ることができます。

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