中川 正雄 (情報工学科 教授)

携帯電話が最も身近ですが、無線通信は僕らの周囲に当たり前になりました。昔は、電話といえば居間に一つだけ置いてあるので、なんとなく使いにくかった。携帯に使う電波は数km離れた鉄塔の上から、家のなかにまで入り込んで、僕らの手元に届くのです。見えない紐でつながれているので、誰が使っているのか分からない。ところが、携帯がここまで進歩すると結構その欠点が問題になっています。事故があったりすると、110番や119番に電話をかけますね。最近はほとんどの場合携帯からです。これが、緊急出動をする警察や消防にとって大問題です。固定電話ならば電話番号から位置が特定できるのに、携帯は分からない。警察「どこのビルですか?」本人「日比谷のあたりのビルの中だ」ではどうにもならない。しかも電波発信源探知は至難の業です。そこで僕が考えたのが、照明器具や非常灯にオンオフの位置情報を常時入れて、それを携帯のカメラなどで受光して、その位置情報を携帯の電波で110番や119番に送る方法です。オンオフの情報は速く点滅するので目に悪いことはないですし、見える光から情報を受けるので、自分の位置は相手に正確にわかります。「○×ビルの△階の◇ 廊下」だけでなく、現在地を中心のビルの地図まで送ってくれるのです。これなら安心して急行できますね。さらに、ビルや工場での管理用や、将来は移動ロボットにも使える。こんな光通信をユビキタス光通信なんて言って可視光通信コンソーシアムを皆に呼びかけています。現在、日本電気、松下電工、アジレント、KDDIなど13社が加入しています。そこらにある照明や非常灯から位置情報などを簡単にとれるようになりますが、皆さんに面白い応用を教えていただければと思います。

LED誘導灯にTV画像を変調して送信する実験
(慶應テクノモール2003より)

日吉校舎から見た携帯電話のアンテナ塔(遠くに見える白い山は、雪をいだいた富士山)。みなさんも、ビルの屋上や電柱の上に見ることができるでしょう。

ナビゲーションの始まり