Profile

化学科(基礎理工学専攻 修士課程1年)

東京都・私立巣鴨高等学校出身

埼玉県出身。中学1年生から陸上部に所属し、中高の6年間は部活に全力投球。800メートル競争の選手として、在学していた高校の歴代学内記録に迫る。陸上部引退後は受験勉強に専念し、「実験をするのが好きだった」ことなどから慶應義塾大学理工学部の「学門3(化学)」に進学する。大学入学後は競技ダンス部に入部し、学部4年次には第61回全日本学生競技ダンス選手権で全国7位に入賞。学業と課外活動両方で顕著な活躍をした学生に授与される「藤原賞」を受賞する。学部2年次に「化学科」に進学し、学部4年次から「機能材料化学研究室」に所属。現在は修士課程1年生として「自己組織化単分子膜法を用いた有機色素修飾金属ナノ粒子の合成と光物性評価」を研究する。

陸上に打ち込んだ高校時代。
部活引退後はスイッチを切り替え
受験勉強に集中する。

高校時代はどのような学生でしたか?

東京都内の中高一貫校に通っていたのですが、中学1年生から陸上部に所属し、高校でも部活動中心の生活を送っていました。高校時代は800メートル競争の選手として、週5日の朝練や週3日の固定練習、日曜日の試合などに参加していました。高校時代の目標は、800メートルの学内記録である2分を切ること。もともと運動が際立って得意というわけではなかったのですが、妥協せずに練習に取り組み、高校3年生では2分ジャストの記録を出すことができました。結局学内記録にはコンマ数秒届かなかったのですが、先生や仲間にも恵まれ、大好きな陸上競技に全力で打ち込んだことは、高校時代の良い思い出です。

受験勉強はいつごろから始めたのですか?

勉学を厳しく指導している高校だったので、毎日小テストや課題がありました。部活動で忙しい日々ではありましたが、日頃から最低限の勉強はしていたと思います。本格的に受験勉強を始めたのは、部活を引退した高校3年生の5月です。ただ、最初の1カ月ほどはなかなか勉強に身が入らず、6月半ばの模擬試験は無残な結果に。部活の仲間たちが同じ模試で良い成績を取っていたこともあって、しっかりスイッチを切り替えて受験勉強に取り組もうと思いました。高3の夏以降は、学校のある日は5時間ほど、週末には10時間以上自宅で勉強していたと思います。その甲斐もあって、成績は次第に上向いていきました。

進学先はどのようにして決めたのですか?

高校2年生の時に理系・文系の選択があったので、まずはその時点で自分の将来について考えました。科目としては歴史や化学が好きだったのですが、モノづくりで社会に貢献したいという漠然とした思いから、理系を選ぶことにしました。化学の好きなところは、実験など手を動かせる授業があることです。実験で溶液の色が変わったりするのが単純に面白かったので、大学で化学をもっと学べたらと考えていました。
大学選びに関しては「可能な限りレベルの高い大学にチャレンジしたい」と考えていました。いくつかの大学を検討していましたが、塾のチューターが慶應の出身で勧められたこともあって、日吉キャンパスを見学してみることに。初めてみる日吉キャンパスは、とても開放的な雰囲気で、学生たちも楽しそうでした。「こんな場所で大学生活を送れたらいいな」と感じたことを覚えています。こうした経緯から、慶應の理工学部を目指すことにしました。

競技ダンスで全国7位。
「藤原賞」を受賞した
4年間の学部時代。

大学では陸上ではなく競技ダンス部に所属。その理由を教えてください。

體育會の陸上部も検討したのですが、練習時間と授業時間が重なってしまうため断念しました。大学でも運動を続けたかったので、どうしようか悩んでいたのですが、そのタイミングで勧誘されたのが競技ダンス部でした。競技ダンスは僕にとって未知の領域。もちろん不安はありましたが、部のアットホームな雰囲気や先輩たちの情熱に惹かれて、「えいやっ」と入部することに決めました。昔から、思い切りの良さとガッツには自信があるんです(笑)。実際に競技ダンスをやってみると、予想以上に奥深い競技ですぐにのめり込みました。学部時代は、週2回の定期練習に加えて、授業の空き時間を使ってパートナーと練習する日々。その甲斐もあって、学部4年次には全日本学生競技ダンス選手権で全国7位に入賞することもできました。競技ダンスは陸上とは違って、パートナーが必要なスポーツです。チームとして信頼関係を築いていくことの難しさと大切さを学べたと思います。

競技ダンスと学問を両立するのは大変でしたか?

もちろん大変でした(笑)。競技ダンスに打ち込む一方で、「授業は絶対にサボらない」ことを自分に課していましたし、アルバイトもしなければいけません。とくに学部4年次は実験も多いので、朝10時から実験して、時間を見つけて論文を進め、夜に練習して……と、非常に忙しい日々でしたね。化学科にはこまめにレポートを提出しなければならない授業も多いので、時間のやりくりはすごく上手になったといます。ただ、そのおかげで学部4年次には、学業と課外活動の両方で実績を残した生徒に贈られる「藤原賞」を受賞することもできました。どんなことでも“やりきった”経験は、必ず自信に繋がる。そのことを実感できた4年間だったと思います。

理工学部化学科での学びについては、どのような印象をもっていますか?

理工学部化学科では、1学年約40名の学生に対して担当教員が約20名と、とても贅沢な少人数教育が行われています。そのため、とてもアットホームな雰囲気。教員や先輩との距離が近く、実験や授業で困ったことがあれば細やかにフォローしてもらえるので、とても心強かったですね。とくに印象深かった授業は、学部3年秋学期の初めての「化学実験第2」です。これは、実験操作に慣れるためのガイダンス的な実験。私は、不器用で手際が悪くクラスで一番終わるのが遅かったのですが、同学科出身のTAの先輩が一生懸命サポートしてくださったのを覚えています。化学科の教員や先輩には、面倒見が良い方がとても多いと思います。 また、授業の質が高く、化学について深く学ぶことができることも魅力のひとつです。ひとくくりに化学といっても、電気化学や理論化学、反応速度論、有機化学など多くの種類があります。化学科では、その大半を授業を通じて学ぶことができるのです。また、授業の進め方として、高校化学の復習からステップアップし、大学院レベルの内容にまで触れるので、化学という学問の奥深さや幅広さを実感することができました。

大学での日々と
研究生活で得たものを胸に
未来を見据えて進む。

現在の研究テーマを教えてください。

現在は「機能材料化学研究室」の修士1年生として「自己組織化単分子膜法を用いた有機色素修飾金属ナノ粒子の合成と光物性評価」をテーマに研究を進めています。これは、1 ナノメートルの金属微粒子の表面上に、有機色素を一層のみ修飾させた有機無機複合体の開発と物性評価を行う研究です。一般に、有機色素を光照射により励起させた場合、1つの光子を吸収し1つの励起子が生成されます。しかし、この研究では複数の励起子が生成できるため、より高効率な光エネルギー変換材料の構築に繋がります。この分野の研究が進んでいけば、将来的には太陽光エネルギーや代替エネルギー開発に応用できる可能性があります。

日々の研究生活の手応えを教えてください。

現在は、格式ある査読付き国際論文誌への投稿を目指して、日夜研究に励んでおります。時には、夜遅くまで実験や測定をしたりプレゼンの資料を作ったりと大変なこともあります。ただ、自分が予想していたよりも良い結果がでた時は、やはり嬉しくやりがいを感じますね。また、研究室のメンバー同士とても仲が良く、彼らがいるから頑張れている部分も大きいと思います。
大学院では、事前知識がほとんどない状態で、自身のテーマについて研究をスタートします。教員や先輩のアドバイスを得ながら、さまざまなことを自分の力で調べ学習し、知識を身につける……。そのプロセスを通じて、研究とはどうあるべきか、どのように進めたら良いのかを実践的に学んでいます。また、研究では成果を他人に伝えることも重要。大学院での研究生活では、執筆能力だけでなくプレゼンテーション能力も得られていると思います。

修士課程修了後の進路や目標を教えてください。

この夏、研究室の卒業生が勤務する化学系企業のインターンシップに参加し、企業における研究というものを経験しました。その企業の理念や雰囲気、研究の仕方など多くのことがとても面白く、「この会社で働きたい」と考えるようになりました。企業での研究は現在の研究室での研究とは異なり、チームで行うことがほとんどです。チームでの研究になると、メンバーの一人ひとりが対等な立場でディスカッションすることが求められるため、物事を俯瞰する大きな視野や自分の意見を論理的に相手に伝える能力も必要です。今後はこうした能力も磨き、目標とする会社に就職できるよう努力したいと思っています。 僕は、学部や大学院での生活を通じて、化学の知識だけでなく、信頼関係を築くことの大切さや、思いきり“やりきる”ことの価値を学ぶことができました。10年後、20年後には、そうした経験を活かして、周りの人を大切にできるリーダーになれたら最高だと思います。

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