Profile

応用化学科(基礎理工学専攻 修士課程2年)

東京都・私立桜蔭高等学校出身

バスケットボールに熱中した高校時代。一方で自主的に勉強にも取り組み、見事「大好きな化学を学べる環境があると思った」という慶應義塾大学理工学部に合格する。大学ではクラシック音楽サークルでビオラを担当しつつ、授業にも熱心に取り組み、積極的に幅広い知識を吸収。研究室は「千田・佐藤研究室」を選び、天然の希少化合物を人工的に合成する「有機合成化学」の研究に携わる。研究室では「勉強してきたことのすべてが、ここにつながっていた」と、より熱い思いで研究に没頭。そんな努力が実り、卒業後は希望通りの研究職の道へ。

思い切り打ち込んだバスケットボール、
部活引退後は勉強に集中。
自らの決意で駆け抜けた高校生活。

大学入学前は、どんな高校時代を過ごしていましたか?

バスケットボール部に所属して、練習に打ち込んでいました。学校にいる間は、考えるのは部活のことばかり。休み時間も体育館に行って練習するような生活でした。当時のチームメイトは、いまでも集まって会うような関係。仲間とともに部活に打ち込んだことは、本当に良い経験だったと思っています。

部活漬けの高校時代だったようですが、学業の面ではどうでしたか?

学校自体は生徒の自主性を尊重する校風。勉強を強制されることはありませんでしたが、周囲に目標を高く持って勉強に励む友人が多かったので、その空気について行くように日頃から勉強を続けていました。ただし受験を意識して本格的に勉強をはじめたのは、高校2年の秋に部活を引退してから。通常通っている塾のほかに、予備校の講習や公開模試を受けて成績アップを目指しました。

勉強を進めていくなかで、文理選択、志望大学はどのように絞り込んだのですか?

もともと好きだった科目は化学。化学的反応で何か新しいものが生まれる、という点に面白さを感じ、好きになりました。また私の高校では女子の理系志望が半分以上の学校だったため、とくに悩みもなく理系を選択できました。ただ、大学でも化学を勉強したいという大まかな方向性はあったのですが、具体的なことは何も決まっていなくて。だから教養も含めていろいろ学んでから決められる大学が良いと思い、慶應義塾大学を選びました。良い意味で決断を先伸ばしにできる「学門制」は、私にぴったりの制度だったと思います。

学部で学んだ多様な価値観と
変わらない化学への思い。
2つの軸が、進路選びの指針に。

高校時代に打ち込んだバスケットボールは、大学に入っても続けたのですか?

実は大学では、まったくジャンルの違うクラシック音楽のサークルに入りました。担当したのはビオラ。楽器は小さい頃にピアノをやっていたくらいで、ビオラもサークルに入って初めて触りました。まったく未知の世界でしたが、もともと新しいことにチャレンジするのが好きな方。最終的には演奏会ができるところまで行けました。今思うのは、やり切ったという達成感。やってみて良かったです。

学部時代の経験で印象に残っていることはありますか?

サークルもそうですが、学部1・2年次に過ごした日吉キャンパスは学生も多く、他学部の学生と一緒に受ける授業もありました。そこで出会った多くの友人の、さまざまな価値観に影響受けながら、今の自分に至っているのだと思います。
また、学部1年次の授業は幅広い内容で、多くの発見もありました。とくに外部の先生を招いた「理工学概論」の授業は、理論的な部分だけでなく、理工学が実社会でどのように役立てられているか知ることができました。新しい技術が、目に見えて社会に活かされていること。それはその後、化学を学ぼうとしていた私にとっても、大きなモチベーションになりました。

応用化学科を選択した理由を教えてください。

ずっと好きだった化学を続けることは決めていました。基礎も学びつつ、実社会に近い応用的な側面もある応用化学科を選んだのは、先の「理工学概論」のように、技術の社会的な成果が目に見えやすいと思ったからでした。やがて目に見えるものにつながっていくこと、その基礎を作り上げることに惹かれるのは、最初に化学が好きになったときから、ずっと変わらない思いです。同じ思いから、学部4年次の研究には有機合成化学を選択。大学院に進学することも以前から決めていたので、じっくりと腰を据えて研究に励みました。

学んだ理論が研究に収束。
いま去来する思いは、
「化学が好きで良かった」。

有機合成化学という研究テーマについて、もう少し教えてください。

自然界には植物や動物が作る「薬の元となる成分」が存在しているのですが、自然界から採取できる量はごくわずかであり、それらを使って実際に薬を作り社会に供給するのには現実的ではありません。そこで、こうした天然の希少化合物を化学の力を使って、人工的に作り出そうというのが有機合成のコンセプトです。実際にはある物質から他の物質に変換するために試薬の組み合わせを考え、温度・時間などを調節して最適な条件を見つけていくという地道な作業。フラスコの中の反応を見ながらパラメータを動かし、変換の効率を上げていくことを目指しています。

地道な研究とのことですが、やりがいはどんなところにありますか?

最初は「この物質にこの試薬を加えれば、こうなるだろう」という手探りのような状態からスタートします。しかし実際には、理論的には正しくても、うまく結果につながらないこともしばしば。そんな研究ですから、思い通りに反応が進んだとき、つまり「0」が「1」になる瞬間のうれしさはひとしおです。さらにそこから試行錯誤を繰り返し、その「1」を「100」に近づけていく作業にかかります。今、私がやっている反応では、良い条件下では収率が9割を越えるようになりました。これは原料の9割が、目的の化合物になるような効率の良い反応。ここまで来られたことはとても感慨深いものがあります。私の研究は「これを私が作ったんだよ」と人に伝えるのが難しいものではありますが、その基礎を作っている、社会の役に立つもののプロセスの中にいるという意味で、とてもやりがいがあると思っています。

卒業後はどんな進路に進む予定ですか?

就職は化学メーカーの研究職に決まりました。具体的な配属先は未定ですが、きっと今までに身につけた化学の知識を活かせると思います。自身の研究を人に伝えるアウトプットの方法が身についたこと、自ら課題とその解決方法を探る自主性を学んだこと、ある製品から逆算してそこに求められる基礎技術を考えるクセが付いたこと。就職活動で伝えたアピールポイントは、すべて研究から派生したものでした。思えば大学入学当初は不安もあり、理論的な勉強には苦手な部分も多々ありました。それが4年生で研究に携わるようになって、「今まで勉強してきたことが、すべてここにつながった!」という気持ちになりました。高校生の時から漠然と持っていた「化学を学びたい」という思いを十分に満たしてくれる環境に出会えたと思っています。

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