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管理工学科(開放環境科学専攻 修士課程1年【※】)

埼玉県・私立城北埼玉高校出身

幼い頃から現在に至るまで、常に「自分の好奇心にしたがって学んできた」。大学に進学してからもその姿勢は変わることなく、現在では、現実社会に役立つ数学の形を追い求めて日々研究に励んでいるそうです。そんな彼が実感する慶應義塾大学理工学部管理工学科の魅力とは一体どんな点にあるのでしょうか?受験から入学に至るまで、そして大学での研究生活や専門分野を活かしたアルバイトなど、等身大の理工学部生が歩む学生生活について話を聞きました。

【※】インタビュー時点(2018年10月)の在籍学年です。

興味のあるものを積極的に学ぶ。
自己流の学習方法と情報収集力で、
進むべき進路を決めた。

高校時代はどんな風に過ごされていましたか?

高校時代は部活と勉強を自分なりに両立させていました。部活は中学校から続けていたソフトテニス部に所属し、週に3回くらい練習。部活のない日には図書室や自習室で勉強をしてから帰ることも多かったです。もともと理系教科が得意だったということもあり、高校2年生の時の分野選択で理系を選びました。同級生は優秀な人が多く目指す大学のレベルも高かったので、彼らと勉強のペースを合わせることで自然と志望大学のレベルが定まってきました。

理系分野が得意ということですが、どんなところが魅力ですか?

数学に限らず理系教科全般なのですが、原理や公式など「1つのこと」を知っていれば多くの問題が解けてしまうのがおもしろいです。たとえば、円の面積の公式「S = πr2」を知っていればどんな半径の円の面積も計算することができますよね。当然のことかもしれませんが、本当にすごいことだと思います。これは簡単な例でしたが、広い意味で「少ない道具を試行錯誤して使って答えを導き出すこと」が好きなんです。このように、自分の好みと分野の特徴がマッチしていたため、自然と理系分野を好きになったんだと思います。

受験勉強はどのようなことをしましたか?

受験にあたり予備校には行きませんでした。兄や姉も予備校には通わず大学に進学していたため、特に不安はありませんでした。家庭でも両親は「勉強をしなさい」などとはあまり言わなかったため、「勉強は自らするもの」という意識が自然と根づいていました。そのため受験勉強も自分で計画を立てて実行していました。自分だけの勉強だけではカバーしきれないことは、予備校に通っている情報感度の高い同級生から教えてもらっていました。

勉強と遊びの両立。
興味が広がる大学での生活。
学びたいという意思を遮るものは何もない。

工学系の中で慶應義塾大学理工学部を選んだのはなぜですか?

志望校を決める時に、最初から「管理工学」というキーワードは自分の中にはなかったんです。ですが、いろんな大学のWebサイトを回っているうちに慶應義塾大学理工学部管理工学科のWebサイトにたどり着き、「これがまさに僕のやりたいことだ!」と感じました。具体的には、数学の力を使って世の中の問題を解決することができる点にとても惹かれました。僕自身、いわゆる数学科で学ぶような純粋数学を突き詰めるというよりは「じゃあ、それを使って何ができるのか?」というところに興味がありました。あとは、受験の段階で大学での最終的な専攻や学科まで決めるのは早いなと感じていたので、「 学門制 」【※】が導入されているのも魅力でしたね。入学後も柔軟に、幅広く学べるという点は大きかったです。

【※】学門制…入試の時点で5つの「学門」のいずれかを選択し、入学後に自分の興味や関心に応じて徐々に学びたい分野を絞っていき、2年進級時に所属する学科を決定する制度のこと。

実際に入学してどんな印象でしょうか?

一言で言うと、慶應義塾大学理工学部の学生は「根は真面目」です(笑)。これは、良い意味でしっかりと遊ぶ時間も設けながら研究や勉強も両立してやっている学生が多いという印象からです。僕自身も、研究が楽しくて大学院に進学しており「学費の分だけ吸収しないと!」と思いながら授業や研究に取り組んでいます。同じような考えを持って研究に専念する学生は多いですし、その環境も整っています。
また理工学部には、本格的な体育会とサークルの中間くらいの理工学部体育会があって、そこでソフトテニスをしていました。勉強に専念するため学部3年生になるタイミングで辞めてしまいましたが、今でもたまに会うメンバーがいます。貴重な出会いに恵まれました。

現在の研究室の特徴を教えてください。

「OR(オペレーションズ・リサーチ)」という学問を専攻する研究室に所属しています。現在の研究室を選んだ決め手は、現指導教員の授業を受けてとても人柄や雰囲気がよかったことと、しっかりと学べる環境だと思ったことです。実際に入ってみて、研究に専念できることはもちろん、一人ひとりのやりたいという意思をとことん尊重してくれる環境なので、学ぶ意欲が自然と引き出されていくところが一番気に入っています。また、指導教員との距離感が近いのも研究室の特徴です。忙しいときでも指導教員は学生の相談に乗ってくれますし、指導教員と密に議論しながら研究を進められるなど、学生にとっても快適な環境だと思います。あとは同じ研究室のメンバーが、それぞれ異なる研究テーマに取り組んでおり異なる得意分野を持っているため、お互いに強みやノウハウを補い合えるのも良いですね。僕自身は、プログラミングが比較的得意なのでメンバーに教えることもあります。

実社会で本当に役に立つものとは?
目的を明確にして、
世の中の役に立つ数理モデルを構築したい。

現在の研究テーマについて教えてください。

現在修士課程1年目ということで、修士論文の研究内容を探している段階です。
学部生時代の卒論テーマは『観客からの見やすさに着目した劇場ステージ設計の最適化モデル』です。これは僕が学部4年生の時に友人と一緒に行ったライブ会場で、自分の席の配置を「見づらい」と感じたことがきっかけとなり思いついたテーマです。観客とステージの位置関係から「どれだけ見やすいか」を計算する数理モデルを構築し、最適なステージの配置や形状を導き出しました。
修士課程では、学部時代とは違うネットワークの可視化という新しいテーマにチャレンジしています。情報が大量に溢れている世の中ですから、その大量の情報を見やすく、わかりやすく伝えることが重要になります。そこで、「見やすいとは何なのか」に対して数理的なアプローチによって迫っていくことに興味があります。どのようなネットワークを可視化するかは未定ですが、自分ならではの対象を見つけておもしろい研究にしたいと考えています。

研究の楽しさや喜びはどんなところにありますか?
また、経験を活かせる場はありますか?

研究テーマを決める上で僕が大切にしているのは「自分がそのテーマに対して面白いと感じるか」と「それが世の中にとって役に立つことなのか」です。自分がその研究を面白いと思わなければ、モチベーションも上がりませんし、その研究を見る側にとってもつまらないものだと感じてしまいます。また、僕の専攻では理論だけでなく実社会への応用にも重点をおいています。 具体的には、たとえば授業で何かの定理を習ったとき、多くの先生方が「この定理はどのような場面で役に立つのだろうか?」と考えるきっかけを与えてくれます。このような見方は基本的なことかもしれませんが、研究を進める際にはとても重要なことだと感じています。実際、研究室の同期の1人は既存の定理に新しい応用先を見出し、オリジナリティの高い研究に取り組んでいます。

現在、研究で培った知識や技術を実際の社会で活かすために、ヘルスケアサービスを提供する企業で週に1度程度アルバイトをしています。僕が担当している仕事は数理最適化やデータ分析、その他数理的なアプローチによる業務支援です。介護業界では未だにアナログなやり方で業務を行なっていることが問題視されています。たとえば、実際に働いている介護士さんの勤務表を手作業で作っているのです。介護士さんの人数が多ければ膨大な仕事量になりますし、さらに要介護者との相性や各々の勤務時間の希望などを加味すると、勤務表作成はとても大変な仕事です。 そこで僕は、この作業を数理最適化手法によって自動化しました。実は、この「スケジュール最適化」という問題は研究室のメンバーの1人が研究テーマとしていたものだったので、僕にとっても少しだけ馴染みがありました。これは業務のほんの一部ですが、大学で培ったことを実社会で活かせるとても良い経験になっています。

今後はどのような進路に進もうと考えていますか?

将来的には、大学・大学院で培った数理的な考え方やプログラミングの技術を活かせるデータサイエンティストなどの職に就きたいです。これまでもデータ分析系のインターンに複数参加しました。今のところ業界に関しては強いこだわりはありませんし、むしろどの業界でも活かせるのが数理的思考やプログラミングの強みだと思っています。そのため、とにかく自分がおもしろそうだと感じた領域に飛び込んで、これまで培った技術を活かしていきたいです。
また現在、自主的に「機械学習」の勉強にも取り組んでいます。僕自身の研究とは直接関係しない分野ではあるのですが、社会的にも需要が高い分野なので今後のキャリアにも活きてくると思いますし、なにより自分の学びにもつながると考えています。

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