人工物の大規模化・複雑化や科学技術の高度化と相俟って、20世紀には領域ごとの専門化と細分化が急速に推し進められ、それぞれが独自の理論や方法論を構築してきました。その結果、現在の専門化・細分化された各領域間においては共通となる基盤がなく、分化した学問体系は協調・統合による多領域間の同時最適化問題に対応できないという新たな問題を生み出すに至っています。

そこで当専修では、これらの問題を解決すべく、これまでに専門化・細分化されてきた領域に共通の基盤となる科学とデザインの統合的な理論および方法論が不可欠であるとの認識のもとに、近年注目を集めている「マルチ」という接頭語を冠する3つの方法論に着目しています。すなわち、その一つは、時空間の各スケールおよびスケール間のブリッジを問題とするマルチスケール、もう一つは、異なる複数の物理現象の支配方程式を同時に扱うマルチフィジックス、さらに3つ目として、自然科学・工学のみならず社会科学・人文科学までも含むさまざまな角度、視点から事象を考察・検証するマルチアスペクトです。そして、それぞれの背景にある各領域(ディシプリン)間の諸問題を解決可能とするマルチディシプリナリ科学およびそれを人工物創造に織り込むデザイン科学なる学問体系(下図参照)を新たに構築することを目的としています。

当専修がカバーする主なディシプリンとしては、材料科学、固体力学、機械力学、計測・制御工学、熱力学、流体力学、設計・加工学、生体力学、非平衡・非線形系の科学などが挙げられますが、これらの専門領域の豊富な知識を有し、かつこれらの間で横断的に発生する諸問題を自らの力でマルチディシプリナリに解決できる人材を育成することを当専修では目指しています。

マルチディシプリナリ・デザイン科学専修

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