慶應義塾大学理工学部 広報誌
  新版 窮理図解  
09 末永聖武 3 家族や学生との時間を大切に

photo根気のいる研究のようですが、息抜きはどうしていますか。
 趣味は、音楽鑑賞です。大学に入った頃から、名古屋周辺のコンサートを聴きに行くようになりました。年に50~60回通っている時期もありました。東京には9つもプロのオーケストラがあるのを知っていますか。音楽好きにはたまりませんね。東京交響楽団の定期会員になっていますし、昨日はN響のコンサートに行ってきました。公演によっては託児サービスがあって、6歳と3歳の息子を預けられるんです。9歳の娘は一緒に聴きますが、寝ていることが多いです。私が好きで行くので、それでいいかなと思っています(笑)。とてもリフレッシュします。
 それから、できるだけ子どもとの時間をとるようにしています。朝ご飯と夕ご飯は一緒に食べます。家が近いので、一度家に帰って夕ご飯を食べて、子どもたちをお風呂に入れてからまた大学に戻るんです。子どもとの時間も、息抜きです。

素敵なパパですね。
教え子の学生さんたちにはどのように接しているのですか。

 厳しい先生かもしれません。英語で書かれた教科書を持ち回りで読む輪講、自分たちの読んだ専門雑誌を紹介する雑誌会、機器分析について学ぶ勉強会をそれぞれ週1回ずつやっています。研究室の学生十数人のうち5人が担当するので、2〜3週に一度は何かを担当します。これは、かなり勉強させていると思います。
 実験をおろそかにして欲しくはありませんが、それ以上に広く勉強して力をつけて欲しいんです。この分野なら、有機化学の知識を一通り身につけて欲しい。単離・構造決定をやっているからといって、有機合成反応のことは知らないとか、天然物合成をしていて生合成を知らないなどということがあってはいけないと思うのです。
 私自身、学生時代にはずいぶん教育されました。当時は、勉強するからといって実験の手を休めることは許されませんでした。だから、実験台で何かしらの反応を仕掛けながら勉強したものです。月曜日に研究報告会があったので、金曜日に実験がうまくいかなくてどうしようかと悩んでいると、先輩に「どうして研究報告会が月曜日にあるか考えたことあるか」などといわれましたね。暗に土日にやれということだったんです。私は学生にそんなことはいいませんが、今でも勉強会を土曜日に行っているのは、学生時代の名残かもしれません。思い返してみると、当時は大変でしたが、今となっては役に立っていることが多いんですよ。企業に就職した私の友人もそういっています。

どうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから:
徳之島で忘れられないことがありました。手違いのためか民宿の部屋が予約されておらず、夕方になって暗くなってきたので、頼み込んで何とか2間続きの部屋を貸してもらいました。そんな状況でも、シアノバクテリア採取を精力的に行いました。いつも先生のパワーに引っ張られています。(Mさん)
有機化学反応でいろんな物質をつくってみたいと思ってここに来たので、好きにやらせてもらえるのが心地いいです。困ったときには、一緒に考えてくださるし、僕の提案も聞いてくださいます。(Nさん)

(取材・構成 池田亜希子)

 

 

1 偉大な師匠との出会い
2 研究人生のスタート
3 家族や学生との時間を大切に
Profile 末永聖武 化学科 准教授 専門分野は天然物化学。海洋生物からの生物活性物質探索に従事。現在は、海洋シアノバクテリアを中心に研究を進めている。1992年名古屋大学大学院理学研究科に入学。1995年同大学理学部化学科助手になるため中退。1997年博士(理学)を取得。その後、静岡県立大学薬学部助手、筑波大学化学系講師等を経て、2006年慶應義塾大学理工学部化学科助教授、現在に至る。1998年には井上研究奨励賞、2003年には日本化学会進歩賞を受賞。
 
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