慶應義塾大学理工学部 広報誌
  新版 窮理図解  
08 大村 亮 3 ジョギングで気分転換し、学生の力を引き出す努力を

研究以外で関心があることや、続けてきたことはなんでしょうか?
 体を動かすことですね。長く続いているのがジョギングです。最近では毎日16kmほど、時間にして1時間40分くらい走っています。家が綱島なので、鶴見川沿いを新横浜に向かい、日産スタジアムまで行って戻ってくるという感じです。午後の予定がないときは大学(日吉)から多摩川に出て、川沿いの遊歩道を田園調布まで往復することもあります。趣味というよりは習慣になっている感じもしますが、走っている間に考えをまとめることができるし、逆に迷っているときには走ることですっきりできるなど気分転換になっていると思います。
 また、筋トレやベンチプレスもやっています。研究室にベンチプレス用のベンチがあり、森先生の研究室と合同で週に2回のペースで汗を流しています。ベンチプレスでは、持ち上げた重量(より正しくは質量)ではなく、その質量を自分の体重で割って指数化して競っています。私たちはそれをMori数と呼び、研究室のメンバーの多くが,1Mori数、すなわち自分の体重分ですね、それくらいは持ち上げようと競っているところです。私自身が持ち上げられる最大の質量は95 kg.体重は54 kgですので,私のMori数は1.76ほどとなります.
 運動以外ではベランダ園芸もやっています。夏から秋の今の季節はハーブの栽培が旬ですね。北海道にいたときにもらったライラックの苗木も大切に育てています。さすがに東京の夏はライラックには厳しく、日陰の涼しい場所に避難させています。ちょっとした気遣いですが、春の訪れを告げる花を楽しむためには欠かせない一手間です。

教員として、学生の力を引き出すために意識していることを教えてください。
 「論理的であれ」ということでしょうか。組織や社会の中で自分を活かすために欠かせないのが筋道を立てる力だと思っています。その場を支配するルールを尊重することも大事です。社会に出るとルールが悪いといってもどうにもならないことがある、という現実に備える意味でも大事なことです。そして、もう1つが、相手の立場で考えること。伝えたいことがあるときほど、自分の意見を前面に出しがちですが、そこをぐっと抑える。研究報告でも同じです。すごい成果は、その成果がすごいほど人には伝わりません。すごすぎて本人以外には理解できないのです。だからこそ一歩引く。そのすごい成果を発見する前の自分が聞いたらどう思うだろうかと考える。私が努めて意識するのは、研究や発表会などを通してこれらのことを経験し、体感できる環境を用意することです。
 機械工学的な視点でいえば、物理法則を基準に物事を判断できる応用力を身につけて欲しいと思います。例えば、好きなだけ食べても太らない、といったダイエット系の話題に対して、エネルギー保存の法則と対立しているという視点を持って欲しいですね。現実世界を支配している物理法則の存在を日々の生活の中で意識することで、物理の面白さを実感できるはずです。学生にとって力学や熱力学ほどわかりにくい科目はないと思いますが、身につけてみるとこれほど役に立つ学術は他にはないというのも事実です。社会の仕組みやシステムの構築に欠かせない学術であるということに、在学中に気付けるような講義や講座を提供していきたいと思っています。

photoどうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから:知識の幅が広いという一言に尽きます。講義だけでなく、歴史や文化の話も面白いですし、料理やその食材、ワインにまつわる話題も豊富で、つい聞き入ってしまうほど。研究室で飲み会をする時、先生が美味しいワインやチーズを振る舞ってくださるのですが、そのワインの由来やワイナリーの特徴といった話も興味深くて、僕らも楽しみにしています。スポーツも得意で、体力も僕ら以上にあると思います。

(取材・構成 渡辺 馨)

 

 

1 父親のアドバイスで 理工系に進学する
2 Sloan教授に出会い、クラスレート ハイドレートの研究を本格化
3 ジョギングで気分転換し、 学生の力を引き出す努力を
Profile 大村 亮 機械工学科 准教授 専門は熱工学、物理化学。現在の研究テーマはクラスレートハイドレートの物理化学、ならびにエネルギー・環境関連技術の開発。基礎研究から実用を想定した応用研究まで幅広く展開している。2000年、博士(工学)を取得後、フランスでハイドレート研究に参画。2002年から独立行政法人産業技術総合研究所研究員。2006年に慶應義塾大学理工学部専任講師に着任し、2009年同大学准教授に就任。現在に至る。
 
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