慶應義塾大学理工学部 広報誌
  新版 窮理図解  
08 大村 亮 説得力のある研究には論理的な思考力が不可欠

学部生の頃からクラスレートハイドレート研究に取り組んできた大村亮さん。
研究者の道を歩み続ける一方で、後進の育成にも尽力している。
自身が受け持つ熱力学について、
「学生にとっては難解で最悪な科目に違いない」と笑うが、
学生からは分かりやすいと好評で、物理が面白くなったという声も聞こえてくる。

 

1 父親のアドバイスで理工系に進学する

理工系に進学したきっかけは?
 今でこそ理工学部の、それも機械工学科の教員をしていますが、高校時代の私はといえば、数学と物理が大の苦手で、好きな科目は政治・経済や倫理、そして歴史、という社会系が得意な学生でした。  そんな文系向きの私が理工系に進んだのは父の影響でした。進学先の大学を考えていた時、父に「せっかく専門の先生に出会える機会だから、どうせなら苦手なことを教えてもらったらどうだ」と言われたのです。文系の科目は1人でも学べるが、理系の独学は難しいぞ、という父の言葉が心に響き、なるほどそういうものかもしれないと思ってしまいました。幸いにも数学や物理もテストはそこそこできたので大学は理工系と決め、慶應義塾大学理工学部の機械工学科に進学しました。

photo苦手な理系はどうでしたか。
 数学の苦手意識は変わりませんでしたが、物理への印象は入学後すぐに変わりました。力学や熱力学関連の講義を担当される先生方はさすがに専門家で、ちゃんと分かっている人が教えてくださるとこんなに面白いのかと実感しました。  大学では物理現象や機械の動作について、それがなぜそうなるのか、どうして動くのか、その原理からメカニズムまでの一部始終を実験を交えながら学ぶことができます。講義を受け持つ先生も実際に産業界との関わりを持っておられる方ばかりで、力学や熱力学が具体的にどういうところで役立つかを熟知されています。そうした背景があるから講義に説得力もありますし、学生からの質問に対しても自分の経験を交えて答えてくださるので、言葉に強さがありました。「これが何の役に立つのか」と自問自答しながら勉強した高校の物理とはまったく別物でした。

 

 

1 父親のアドバイスで 理工系に進学する
2 Sloan教授に出会い、クラスレート ハイドレートの研究を本格化
3 ジョギングで気分転換し、 学生の力を引き出す努力を
Profile 大村 亮 機械工学科 准教授 専門は熱工学、物理化学。現在の研究テーマはクラスレートハイドレートの物理化学、ならびにエネルギー・環境関連技術の開発。基礎研究から実用を想定した応用研究まで幅広く展開している。2000年、博士(工学)を取得後、フランスでハイドレート研究に参画。2002年から独立行政法人産業技術総合研究所研究員。2006年に慶應義塾大学理工学部専任講師に着任し、2009年同大学准教授に就任。現在に至る。
 
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