慶應義塾大学理工学部 広報誌
  新版 窮理図解  
03 三木則尚 3 MEMSをベースに自由な発想で研究に取り組む

ゲスト写真MITでの生活を本当に楽しまれたようですが、3年後に日本に帰国され、慶應義塾大学へ来られたわけですね。
 そのままアメリカで就職することも考えましたが、9.11を経て、ブッシュ政権のもとイラク戦争に突き進んでいくアメリカに危機感をもち、日本に帰ることにしました。また運よく、自分の研究分野で慶應義塾大学に空きがあったので、戻ってくることができたのです。
 現在、慶應義塾大学にきて6年目になりますが、せっかく研究をするなら自分が興味をもてる面白いことをやろうということで、自由な発想で研究に取り組んでいます。現在は、MEMSをベースにしたヒューマンインタフェースをテーマに、視線検出や触覚ディスプレイ、味覚・嗅覚センサなど、多岐にわたるテーマを扱っているところです。モットーは、指導教官だった下山先生の教えでもある「素人の発想、玄人の仕事」です。何にでもチャレンジしてみようという素人の発想をもちつつも、研究成果をきちんと出すために、仕事はプロの技に徹する、ということですね。
 研究室には20名の学生がいますがにぎやかにワイワイやっています。合宿では毎年趣向を凝らし、ペイントボールといって銃でペイント弾を打ち合うゲームやラフティング(川下り)、ソフトボールなどをやったりして楽しんでいます。もっとも、研究をするときには真剣にやる。メリハリが大事だということです。
 一方で毎週1回輪講のときに、研究室で一般教養テストをしています。問題は国の首都名でも、漢字でも、歴史でも、映画でもなんでもありで、皆が順番に出題します。というのも、一般教養というのはとても人生を豊かにしてくれるものだと思うからです。面白いことに、受験勉強が意外と一般教養につながっているんです。僕自身、受験英語のベースがあったからこそ、学会発表や海外生活で役立った。詰め込みの受験勉強は意味がないなんていうけれど、教養として身についていれば、ちゃんと使うことができます。
 実際に、海外の人と話をする場合にも、一般教養はたいへん役立っています。江戸時代の鎖国の話とか、うけますよ。教養は、研究の幅を広げることにも役立つはず。研究者としての基礎はもちろんですが、そうした視野の広い人間を育てていきたいと思っています。ちなみに、一般教養テストで成績の悪かった人は、研究室の掃除当番になるので、みな真剣に取り組んでいます。このテストは僕も入って、ガチンコ勝負でやっているんですよ(笑)。

どうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから:いつも明るくて、やさしくて、頼りがいのある先生です。合宿では、ペイントボールをやったり、ラフティングをやったり、とにかくみんなで大いに盛り上がって楽しんでいます。もちろん、研究のときは切り替えて、真剣に取り組む。先生の背中を見ながら、僕らもメリハリのある学生生活を楽しんでいます。

(取材・構成 田井中麻都佳)

 

 

1 大学ではロボットの 研究を手がける
2 MITの研究員になる
3 MEMSをベースに 自由な発想で研究に取り組む
profile 三木則尚 機械工学科 専任講師 MEMS(Microelectromechanical Systems:微小電気機械システム)技術をベースに、ICT、医療、環境分野へ幅広く研究を展開中。1974年兵庫県龍野市生まれ。2001年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。2001年から2004年までマサチューセッツ工科大学航空宇宙工学科ポスドク研究員、リサーチエンジニア。2004年より現職。高校時代はヘビーメタルに、大学時代は麻雀と釣りに、その後はゴルフにはまっている。
 
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