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理工学部HOME > 塾員来往 > [第65回] 川喜田 雅則 九州大学

塾員来往

[第65回] 川喜田 雅則 九州大学

川喜田雅則氏

 私は現在九州大学で機械学習(人工知能)やバイオインフォマティクス、暗号解読などの研究をしています。2008年度統計関連学会連合大会が慶應義塾矢上キャンパスで開催された折、私が所属した電子工学科の本田先生の所へご挨拶に伺いました。それが塾員来往への寄稿のきっかけとなりました。

 私が理工学部を選んだ動機は非常に単純で、小さい頃から科学者になりたかった、ただそれだけです。特に中学入学時に親から当時珍しかったコンピューターを与えられプログラムの勉強をしていたせいか、人工知能(人間の脳の仕組みを理解し、機械として再現できるか)に興味がありました。しかし当時はどこの大学が人工知能を活発に研究しているかなど全く知らず、慶應を選んだのはイメージで他大学より社交性が高く世の中で活躍している人を多く排出している気がしたからです。

 果たして入学してみると、私の周りの人たちは皆スマートで格好よく楽しい人が多く、遊びに没頭していました。当然成績は振るわずに一番人気でかつ第一志望だった情報工学科に配属されずに第3希望だった電子工学科に配属されました。当時は大変なショックでした。私は人工知能の研究以外しないと思っていたので情報工学科に転科するため自主留年まで検討しましたが徒労に終わり、やりたい研究ができないなら大学を辞める覚悟までしました。その結果私は下の略歴から推察される通り留年しています。しかし電子工学科の本田郁二先生とお話をしたところ「うちでやりたい研究をやればいいよ、人工知能の研究室とも縁があるから紹介してあげるからそちらとも一緒にやればいい」と願ってもない提案をしていただきました。

国松・本田研合宿集合写真

国松・本田研合宿集合写真(私は撮影者です)

 そこから修士課程修了までの研究室生活は大変楽しいものでした。本田研は勿論、修士からはコンピューター科学専修の中西・斉藤研に移りましたが、皆が熱心に研究にいそしんでいました。当時の研究テーマは学部ではニューラルネットワークによる連想記憶モデル(人間のように記憶を連想によって辿れる機械)、修士では独立成分分析(多数の人が勝手に話す中で特定の人の声だけを抽出するための機械)について研究していました。私は熱中すると歯止めが利かず、徹夜続きで自宅にほとんど帰っていない時期も長くありました。しかし当時は同じような仲間が何人もいて、お互い相談しあったり励ましあいながら過ごすと徹夜も苦にならず楽しい時間を過ごしました。

本田研にて

本田研にて皆でパソコンを作成し、完成を喜ぶ図

 特にうちの研究室で特筆すべきは、皆が飲み会や遊びにも熱心だったことです。これはとても大切なことです。いくら研究熱心でも同じ問題にずっとかかりっきりになると、新しい発想や抜け道の発見の能力が著しく低下するようです。適度な息抜き及び体力づくりは実は理論系の研究でもとても大事です。実際私が後々ぶつかった様々な試練を乗り越えるのに、これらのことは本当に大きな助力となりました。その後人工知能研究に必要でかつ武器になる統計科学と情報幾何学を学ぶため博士課程は統計数理研究所で過ごすことになりました。

本田研のB4ゼミ写真

本田研のB4ゼミ写真(私は後列左から二番目です)

 さて最後に上記のような大学での研究生活の中で、今思えばとても大事だと思ったことをお話します。そのためにまず自分の修士卒業後から現在に至るまでの研究テーマを列挙してみましょう。まずは統計科学を用いた人工知能の研究、次に漁獲高のデータから特定の魚がどのような状況で捕獲されやすいかを予測する研究(水産データ解析)、遺伝子の働きから病気の診断や治療を行うための研究(バイオインフォマティクス)、暗号解読、インターネットを介した様々な攻撃からネットワークを保護するための研究(ネットワークセキュリティ)などがあります。このような多彩な研究ができるのは別に私の能力が優れているからではありません。次の二つが大きな理由です。

 一つは私が統計科学という奥の深い理論を学んだためです。統計理論は実用的な理論で大変広い応用分野に使うことができます。例え応用研究をする場合でも、それに一番役立ちそうな基盤となる理論をしっかり勉強することが大切です。もう一つの理由として私は学士、修士、博士と自分の興味が赴くまま様々な分野を勉強、研究してきたため、新たな分野に柔軟に対応できるためです。これは、広い分野の一流の研究者が同じ場所に所属している大学の大きな利点だと思います。

 慶應義塾理工学部は間違いなくこれらの要求に答えてくれる環境でした。時代の流れは単一の分野ではなく複数の分野のテクニックを融合して、単一の分野の研究では想像もしえなかった成果を上げ始めています。このような研究は横断型研究と呼ばれます。横断型研究で良い成果を挙げるためにも、慶應義塾理工学部への入学をお考えの皆さんには有用な基礎理論を着実に学ぶこと、しかしそれだけに囚われることなく多様な分野に興味を持ち、広い視点で物事を見ることを期待しています。そのための環境は十分揃っているのですから。

お茶会にて

現在の研究室でのお茶会にて

プロフィール

川喜田 雅則(かわきた まさのり)(私立 東海学園高校 出身)

2001年3月

慶應義塾大学理工学部電子工学科卒業

2003年3月

慶應義塾大学大学院 理工学研究科 開放環境科学専攻 修士課程修了

2006年3月

総合研究大学院大学 統計科学専攻(統計数理研究所)博士(統計科学)取得

2006年4月

統計数理研究所 予測発見戦略研究センター プロジェクト研究員として機械学習及びバイオインフォマティクスの研究に従事

2007年2月

医薬基盤研究所からの委託研究プロジェクト「がん・循環器領域等における前向き臨床試験を用いた薬剤奏効性・安全性のシグナル検出大規模データベース構築を目指した研究」プロジェクト研究員(所属機関:統計数理研究所)

2007年4月

九州大学大学院システム情報科学研究院 助教に着任、現在に至る

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