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慶應義塾大学理工学部
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理工学部HOME > 塾員来往 > [第134回] 小菅 祐史 LinkedIn

塾員来往

[第134回] 小菅 祐史 LinkedIn

 私は現在、アメリカのシリコンバレーにあるIT企業でコンピュータセキュリティの専門家として働いている。こちらで見かける日本人の多くは日本企業からの出向か現地大学の卒業生であることが多く、日本で学位取得後にこちらで現地採用されて働くケースは多くはないようだ。そのためか、私がこちらに来た経緯について質問を受けることが度々あり、私の学生時代から現在に至るまでの経緯の話が少なくとも数名の学生には参考になっているらしい。本文は主に理工学部を志す学生や大学院進学を目指す学部生に向けて書いたが、海外での仕事に興味ある方など他の方にも参考になれば嬉しい限りである。

 私は高校時代に予備校の数学講師が話したコンピュータウイルスの自己複製技術に興味を持ち、独学でコンピュータセキュリティを勉強するようになった。コンピュータセキュリティの理解には防御だけでなく攻撃に関する知識が不可欠であるが、当時は攻撃に関する知識は悪と捉えられていた風潮のためか国内では攻撃手法に関する書籍はあまり出版されておらず、情報を得るには限界があった。そこで洋書や海外のWebサイトに頼っていたところ、新規防御手法について英語で執筆された慶應義塾大学理工学部の研究論文と遭遇し、理工学部への進学を意識するきっかけとなった。

 大学時代は情報工学科に在籍していたのだが、物理や数学などの理系科目だけでなく、心理学や論理学の授業にも参加した。授業では同じ学部の仲間たちとチームを編成し、最小限の労苦で単位を取得する方法に頭を使った。私はプログラミング全般を担当し、仲間の授業課題や卒論の研究課題の面倒を見たりした。チームの1人は私が卒業させてあげたと言っても過言ではないはずである。授業外ではバイトと飲み会の幹事を積極的に行っていた。独語クラスの仲が良く、飲み会の出席率が異様に高かった。研究室には学部4年次から所属し、博士号を取得するまでの5年半はコンピュータセキュリティにおける脆弱性の自動検出手法を研究課題とし、実装や評価を行った。研究成果は海外で発表を行うだけでなく、手法を応用して実用性の高いソフトウェアを開発し、情報処理推進機構の未踏事業でも高い評価を得ることができた。奨学金や研究費なども得ることができ、非常に幸福度の高い時間を過ごした。

長期休暇を利用してドイツでボランティア活動に参加。そのときのメンバーと
(2005年)

フロリダ州で開催された国際会議での発表(2007年)

 博士課程修了後は起業2年目のベンチャー企業にCTOとして参画し、事業の運営資金作りための受託開発や自社サービスの構築、仲間集めなどを行った。博士号を持ちながら研究職に就かない私に疑問を投げかける知人は少なくなかったが、当時はこの事業に興味があった。一年程して事業が軌道に乗りかけた頃、当時の仲間達には謝りきれないのだが、自分の専門分野であったセキュリティに集中したいと思うようになった。世界標準のセキュリティ技術を会得したいという意向からアメリカの会社に直接コンタクトを取り職を得ることができた。転職後はアイルランドに16ヶ月間滞在し、2015年1月からアメリカで働いている。もちろんセキュリティチームに在籍している。

 アメリカのシリコンバレーにおけるIT企業ではエンジニアへの待遇が非常に良いため、就職希望者からの応募が世界中から殺到する。そのため採用面接の難易度は必然的に上がり、内定獲得率は多くの場合1%を切る。また、選考過程で特に日本と異なるのは、人事は候補者への連絡や日程調整などを行い、評価にはあまり関わらない点だ。代わりに、数段階の篩掛けを通過した各候補者に対し計10名程のエンジニアが丸一日掛けて面接し評価を行う。かくして採用されたエンジニアは、新卒か中途かはほぼ関係なく、1人のプロフェッショナルとして基礎から高度な応用まで幅広いスキルが求められる。私の場合は大学時代に理工学部で学んだ基本的な知識をはじめ、大学院時代の研究活動で培った技術や知見が大いに役立っている。

 これまでを振り返ると、計画性がなく周りに迷惑を掛けながらもその都度自分がやりたいことを選択してきた。これには周囲の方々の多大なる理解と寛大さのおかげであり感謝が尽きない。幸いにもその時々で選択肢が複数存在していたのは、理工学部にて専門性を高める以外にも多岐にわたる教養を得ることができ、それが自身の土台となり選択の幅を広げたのだと思う。当時はこれに気付かず面倒に思うこともあったが、今になって感謝している。

シリコンバレーを訪れた研究室の教授や学生と同窓会(2015年)

 最後に、本コラムを執筆する機会を与えてくださった河野先生ならびに理工学部の先生方に心より感謝申し上げます。

プロフィール

小菅 祐史(こすが ゆうじ)(千葉県立千葉高等学校 出身)

2007年

慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 卒業

2009年

慶應義塾大学大学院 理工学研究科 情報工学専攻 修士課程修了

2009年

日本学術振興会 特別研究員(DC1)

2011年

慶應義塾大学大学院 理工学研究科 情報工学専攻 博士課程修了

2011年

日本学術振興会 特別研究員(PD)

2011年

株式会社 Everforth, Chief Technology Officer

2013年

LinkedIn, Information Security Analyst

2015年

LinkedIn, Senior Security Engineer

2016年

LinkedIn, Staff Information Security Engineer

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