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理工学部HOME > 学問のすゝめ > 「宝探し」と「謎解き」のケミカルバイオロジー

学問のすゝめ

「宝探し」と「謎解き」のケミカルバイオロジー

井本 正哉 (生命情報学科 教授)

 私たちは、様々な病気に罹ります。がんは昭和56年以降わが国の死亡順位第一位の病気であり3人に1人ががんで死亡しています。また、高齢化に伴い、神経変性疾患患者の数も増加しており、アルツハイマー症患者は150万人、パーキンソン症患者は10万人以上にものぼります。このがんや神経変性疾患には有効な治療薬がまだ存在しません。また、それらの病気の発症のメカニズムもまだまだ不明な点が多いのが現状です。私たちはがんや神経変性疾患の治療薬の開発と発症メカニズム解明向けて研究を展開しています。

 ではこれら疾患の治療薬はどこから探せばよいのでしょうか?私たちは微生物が生産する化合物の中から探索しています。地球上には100万種以上の微生物が生息しており、それらはそれぞれ人知の及ばない多様な構造を有した化合物を生産しています。これらのなかには、感染症に対する抗生物質、高脂血症治療薬、免疫抑制剤などとして様々な疾患治療に使用されており、また、昨年のノーベル賞受賞者である大村智博士が開発された原虫治療薬ももともとは微生物が生産する化合物でした。従って多様な構造と多彩な活性を有する微生物の生産物の中にこそ、がんや神経変性に有効な治療薬が存在していると考えています。

(写真1):前立線癌の治療薬候補化合物を生産する放線菌BB-47株

 では次に、どのようにして治療薬になるような化合物を探すのでしょうか?
そのためには まずこれらの病気の細胞モデル系を構築する必要があります。私たちは疾患状態を模倣した条件で細胞を培養する、あるいは、がんや神経変性疾患の患者さんで見られる変異遺伝子を導入した細胞を構築する、さらに最近は患者さん由来のiPS細胞を使うことで細胞モデル系を構築し、そこに微生物の生産する化合物を作用させます。化合物処理による細胞形態、増殖速度、細胞生存率の変化を検出することで治療薬の候補化合物を探しています。これはまさに「宝さがし」です。

(写真2):パーキンソン病治療薬探索のための細胞モデル系

 つぎに、そこで見出された治療薬の候補化合物がどのようなメカニズムでがんや神経変性疾患のモデル細胞に効果を発揮するのかを検討します。そのためにはまず化合物が細胞内のどのようなタンパク質を標的とするかを調べます。さらにそのタンパク質をノックダウンするなどして、その機能を明らかにすることで疾患に関わるメカニズムに迫るだけでなく、なぜその薬が効果を発揮するのかを知ることができます。これはまさに「謎解き」です。

(写真3):がん転移を阻害する化合物の標的タンパク質

 このように私たちは化合物によって疾患の治療を目指すだけでなく、化合物を用いて生命現象を解明しようとしています。このような研究分野はケミカルバイオロジーと呼ばれています。「宝さがし」と「謎解き」のケミカルバイオロジーは医療への貢献度が高いだけでなく、学問としてもとてもエキサイティングです。

(写真4):宝探しと謎解きのケミカルバイオロジー

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