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学問のすゝめ

泳ぐ金ナノ粒子を使って病原を見つけ出す

斎木 敏治 (電子工学科 教授)

「インフルエンザ検査のあの痛さは何とかならないかな?」、「ガンをもっと早く見つけてもらうことはできないのかな?」-患者の負担が軽く、かつ精度の高い医療診断を誰もが望んでいます。こういった要望に応えるための課題は、簡潔にいえば、病気の原因であるウイルスや細菌、あるいは病気のシグナルとなる物質を、それがいかなる少量でも見誤ることなく探し出すことにあります。これはバイオセンシングに携わる研究者たちにとって普遍的なテーマであり、日々新しい手法が提案され、その実証が進められています。わたしたちの研究室でも、これまでに蓄積したナノフォトニクス技術を基盤として、高感度なセンシング手法の開発に取り組んでいます。以下にその一例をご紹介します。

高感度化のひとつの鍵は、見つけたい対象(以下ターゲットとよびます)を「見つけやすく」することです。そのために私たちはターゲットを、明るく光を放つ金ナノ粒子で捕まえるという方法を選びました。これは一般に広く用いられている常套手段です。抗原抗体反応や相補的な関係にあるDNAの結合を利用し、ターゲットである抗原やDNAを2つの金ナノ粒子でサンドイッチして捕えます(二量体を形成するといいます 図1・図2)。

図1 見つけたい抗原(ウィスル)と強く結合する抗体をあらかじめ金ナノ粒子に着けておきます.水中で金ナノ粒子と抗原が出会うと,抗原を接着剤として金ナノ粒子のペア(二量体)ができます.見つけたい対象がDNAの場合も同様にして二量体を形成します.

図2 電子顕微鏡で観察した孤立金ナノ粒子(左)とその二量体(右).DNAの結合によって2つの粒子がくっついています.金ナノ粒子の直径は40nmです.

つまり、検査薬としての金ナノ粒子水溶液に検体を滴下すると、ターゲットの量に応じて二量体が出現するということです。さらに医療現場では「早く見つける」ことも重要で、分離作業や洗浄作業を極力必要としない方法が望まれます。そこで私たちは、水中でブラウン運動する金ナノ粒子を片っ端から1つずつチェックし、それぞれが(ターゲットを捕まえていない)孤立した粒子なのか(ターゲットを捕まえた)二量体なのかを直接識別することにしました。光学的な異方性の違いと回転運動の速さの違いに着目すると、まったく誤ることなく両者を一瞬で識別できます(図3)。またこの方法ではデジタルに粒子の個数を数えるので、ノイズや周りの状況の変化に左右されない強固な方法として、現場での使用に適しています。

図3 顕微鏡下でレーザ光を小さく絞り,泳いでいる金ナノ粒子を1つずつ観察します.二量体は孤立した粒子と比べて,散乱光の偏光を変化させる性質をもち,さらに回転運動がゆっくりであるという特徴があります.この2点に着目して粒子を観察すると,孤立粒子と二量体を瞬時に見分けることができます.

現在、基本的な原理検証を終えて、ターゲットの種類の拡大やデバイス化に取り組んでいます。「電子工学科でこんなバイオっぽい研究するの?」と思われるかもしれませんが、電子工学科の学生たちは光・電子計測、信号処理・通信、デバイス技術などの土台をしっかり学んでいるので、異分野の人たちと協力すると、システム全体を見渡しながらスムースに新しい実用化技術を生み出すことができるのです。

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