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理工学部HOME > 学問のすゝめ > 組織としてヒューマンエラーの問題にどう向かうべきか

学問のすゝめ

組織としてヒューマンエラーの問題にどう向かうべきか

-働きやすいという視点での安全活動の考え方を社会に-

岡田 有策 (管理工学科 教授)

 “ヒューマンエラー”という言葉は、実は明確な定義があるとは言えません。専門書では定義的なものが書かれてはいますが、社会一般における共通認識(コンセンサス)がないからです。たとえば、ある先生が学生に「この資料をやいてきてくれ」と(資料のコピーを意図して)言ったところ、その学生が屋外にいってその資料を燃やしてしまった場合を考えてみてください。ここで、先生の言動、学生の行動はエラーと言えるでしょうか? おそらく、個々人では、これはエラーだ、エラーじゃないという判断はできるかもしれません。しかし、周りの人に聞いてみてください。おそらく、意見は分かれると思います。このような、ある行為がエラーかどうかという判断基準は、種々の価値観によって変化します。現実におけるヒューマンエラーの問題に対処して解決していくには、組織と社会における価値観のずれ、組織における価値観のばらつきを把握することが重要な鍵となります。
 ヒューマンエラーを防いでいくためには、現場から多様な情報を集約していくことが必要です。しかし、多くの作業現場では、そういった情報の収集に行き詰まっています。これは、ヒューマンエラーの当事者が、「自分では原因が分かっているからいい」「ミスを知られたくない。叱られたくない」「失敗は恥ずかしい」といった思考をもってしまい、報告を避けるようにしてしまうからです。

  組織の中における管理者と従業員の価値観のずれを縮小させていく管理活動と連動させ、ヒューマンエラー対策、事故防止対策を実施していかなくては、対策の効果はあがりません。例えば、確認作業の中で安全性を高めようと確認項目をむやみに増やすと、現業のキャパシティーを超えて負担が大きくなり、今度は別のトラブルが起きる危険性が高まってきます。安全対策を検討するにあたっては、通常の仕事全般を視野に入れ、働きやすい職場作りにつなげていくという考えのもとに行うことが肝要です。実施者のモチベーションが低い対策は、どんなに効果が期待される対策でも機能しないからです。

 組織内での安全活動の透明化を図り、すべての従業員の安全活動に対する理解・意識を高めていくような諸策を講じることが、安全性の基盤を固めることになります。安全活動はすぐに結果・変化が生じるといったものではありません。また、収益などとの関連性も見にくいものです。しかしながら、そういう活動を地道に継続していくことが、組織における安全文化を醸成し、トラブルに対して頑強な組織を作り上げることにつながります。安全管理活動を単なる事故防止活動という枠でとらえず、社内における様々な活動とリンクさせ、安全であるという矜持を自然にもてるような組織を目指すことが大切だと思います。


  現在、いくつかの企業における安全管理活動、特にヒューマンエラー・マネジメントの活動に参加させていただいています。これらの活動を通じ、少しでも社会の安全・安心に貢献できればと思っています。

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