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理工学部HOME > 学問のすゝめ > 有機化学の底力(そこぢから)

学問のすゝめ

有機化学の底力(そこぢから)

山田 徹 (化学科 教授)

 「有機化学」という言葉を聞いて、どんなことを思い浮かべますか?有機化学は「亀の子」と言われますが、確かにベンゼン環や6員環構造の有機化合物を対象とする学問です。もう少し詳しい方ならば、「クスリを作る研究でしょう」という答えが戻ってくることもあります。インフルエンザの特効薬のタミフルなど、有機化学が活用される産業分野のひとつは、医薬品の開発や製造であり、理工学部の化学系から多くの卒業生がそのような企業で活躍しています。でも、有機化学の活躍はこれだけではありません。例えば、、、、、、現代の我々の生活は、スマホやパソコンなしでは成り立ちません。どちらもインターフェースとなる表示装置は液晶モニターです。テレビモニターももうブラウン管の時代ではなく、ほとんどすべて液晶モニターです。液晶モニターは、様々な化学物質、それも有機化合物が積層されています。主役は液晶化合物で、不斉炭素原子を含んでいます。多数の液晶分子が電気信号で一斉に同じ方向を向くことにより表示機能を発揮します。液晶分子は配向膜と言われる高分子膜に挟まれています。いずれも高度に分子設計された有機化合物があってこそ成り立つ技術です。さらにさらに、、、最近、大型建造物がごく普通に作られています。横浜ベイブリッジ、東京レインボーブリッジなどの長大橋、スカイツリー、東京湾など海底の道路や鉄道のトンネルなど、もちろん土木技術の進歩に依るところが大きいのですが、有機材料の開発が技術の基盤を支えています。大型建築物は鉄鋼材でできていますが、鉄は錆びます。錆びて強度が失われるのを防ぐため、塗装されています。塗料はポリマーですが、強い太陽光の紫外線に曝されると有機化合物はヒビ割れて水が浸み込み錆びの原因になるので、定期的に塗装し直します。従来の塗料は4〜5年の寿命なので、そのたびに足場を架けて職人さんが塗装し直していました。333メートルの東京タワーなら何とかなりますが、600メートルを超えるスカイツリー、費用もかかりますよね。そこで、化学結合の性質を十分に理解して分子設計した新しい塗料が登場し、40年もメンテナンスフリーになり、巨大建造物の実用化が進んできました。海底トンネルでも防水パッキンになるゴムの開発が基盤の技術となっています。まだあります。自動車のバンパー、昔むかしは金属でできていましたが、最近はボディーと同色のプラスチック製です。バンパーの機能としては、衝突のショックを和らげるため適度に柔らかいことが必要で、最初の樹脂製バンパーは、骨組みになる硬いポリスチレンなどに柔らかいウレタン樹脂でクッションとし、表面は塗料のノリがよい別の樹脂を貼り合わせて作られていました。でも、違う種類のプラスチックではリサイクルできません。現在では、重合触媒技術の進歩により、ポリプロピレンだけで、構造材となり、クッションとなり、塗装発色という性質を持たせることが可能で、リサイクルできる環境調和材料を実現しています。

 このように、有機化学は現代の生活のあらゆるところの基盤技術となっています。有機化学は化合物の性質を理解した上で、求められる機能や物性を発揮する化合物を分子設計し、環境負荷を最小限にする合成反応や触媒技術を開発しながら、目的の物質を合理的に供給することを可能にします。近代以来、日本は有機化学で世界をリードしてきました。求められる機能性分子はこれからも次々と登場します。それに伴って、新しい有機合成反応の開発も求められ続けています。皆さんも有機化学の世界に仲間入りしませんか!

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