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理工学部HOME > 塾員来往 > [第122回]森下 徹也 国立研究開発法人 産業技術総合研究所

塾員来往

[第122回]森下 徹也 国立研究開発法人 産業技術総合研究所

 この度は塾員来往に執筆する機会をいただき光栄に存じます。私は学部、修士、博士と9年間慶應義塾でお世話になりました。また現在でも、産業技術総合研究所にて慶應で学んだことをそのまま生かせる仕事に従事しております。簡単ではありますが、慶應時代からこれまでを振り返ってみたいと思います。

学部時代

サークルの春合宿での演奏会(筆者は左から2人目の演奏者)

 私は大学に入学した時から物理学科に進学することを考えていました。そのため物理・化学・数学系の必須授業や選択授業はそれなりに勉強しましたが、語学や一般教育科目は単位取得になかなか苦労した記憶があります。私は第2外国語としてフランス語をとっていましたが、結局最後までフランス語はわからないままでした。ただ講師の先生方は個性的な方が揃っており、フランス語の授業自体はそれなりにおもしろいものでした。内容は忘れてしまいましたが、1コマが先生のおもしろい雑談で終わってしまったこともありました。
 バロック音楽を演奏する室内楽サークルに入っていたことから、授業の無い時間帯はよく塾生会館の部室に入り浸っていました。私はバイオリンを演奏していましたが、他にもビオラやチェロ、フルートやリコーダなど多彩な楽器をまじえて、3~10名ほどでよく合奏をしていました。定期的な演奏会を年2回開いていたので、演奏会間際になると塾生会館の地下の“音練”で、授業が終わる18時ぐらいから塾生会館が閉まる21時までよく練習していました。普段は毎週土曜日に、生麦の方にある幼稚園の部屋をお借りして練習をしていました。練習後は日吉に戻ってきて、“ひようら”でよく飲んだことを覚えています。幸いサークルには理工学部の先輩がたくさんいたので、過去問はよく手に入りました。また理工学部のいろいろな先生の情報を得ることもできましたので、進級の際の授業選択には大いに助かりました。サークルは年2回の演奏会や年3回の合宿など、なかなか内容の濃い活動をしていたので、たくさんの先輩後輩と楽しい時間を過ごすことができました。今でも交流が続いており、今振り返ると人生の中でとても貴重な体験をすることができた時期だと思います。このようにサークルが学部時代の生活の中心でもありましたから、矢上に通うようになっても、塾生会館には相変わらずよく顔を出して、練習に励んでいました。

研究室生活

 2年生の進級時に物理学科に進むことができ、さらに4年生の研究室配属では希望通り理論研究室に所属することができました。当時の物理学科理論研究室は、4年生前半は輪講だけという生活で、大学の研究室というものをあまり経験する機会がありませんでした。後半になって卒業研究が始まってからは、それなりに研究室に出入りするようになりましたが、結局4年生は研究室に自分の机は割り当てられなかったと記憶しています。卒業後は修士課程、さらに博士課程まで進み、分子動力学シミュレーションによる結晶構造の研究で学位を取得しました。これは4年生の卒業研究と関連するテーマで、結局4年生の時の研究テーマが、その後の自分の進む方向性を決めたことになります。実際、4年生の際に卒業研究を指導して下さった故能勢修一先生に、博士の学位取得までずっとお世話になりました。

当時の理論研究室の端末室(筆者はどこかに・・・)

研究室の飲み会の後に変な人がたまに出没していました(筆者はどこかに・・・)

大学院修了後~現在

理化学研究所在籍時に参加した国際会議での研究発表の様子(この時はたまたま慶應矢上での開催)。筆者は登壇中。

 博士の学位取得後は、理化学研究所で3年間基礎科学特別研究員というポジションで、ポスドクとして研究をしました。矢上で博士課程を終えた直後から、物理学科の実験系研究室が行っていた液体の研究に興味を持ち始めていました。そこで理化学研究所では大学院時代に研究対象としていた結晶ではなく、液体をメインの研究対象としました。液体の中では原子はばらばらに存在しているように思われますが、非常に狭い空間では、原子の並び方にある程度の規則性を見出すことができます。私は原子レベルのシミュレーションである分子動力学シミュレーションを実行して、このような液体中の原子配置構造の圧力や温度依存性を予測することに成功しました。
 3年間理化学研究所に在籍した後は、東京大学を経て現在の勤務先である産業技術総合研究所に就職しましたが、先の液体の研究はさらにガラスを対象とするまでに発展しました。また近年はナノスケールの物質の振る舞いを分子動力学シミュレーションで予測することも行っています。特にシリコンの2次元構造物質に注目しており、最近ではある種の2次元ナノスケール構造を持つシリコン物質が、新しい2次電池電極材料や電界効果トランジスタ材料として適用できることを明らかにしました。このように、シミュレーションにより物質の新しい特性を発見できるようになってきており、産業分野からも注目されつつあります。今後はこのようなコンピュータによる材料設計が当たり前になるように、シミュレーションのアルゴリズムや計算理論のさらなる開発に力を入れていこうと考えています。

最後に

 幸い(?)なことに、大学院在籍時からこれまでずっと、物性物理の研究を自分の仕事として続けることができました。これは物理学科の先生方、特に若くして亡くなられた能勢修一先生のご指導のおかげだと思います。自分自身で何かを努力したかと言うと、あまり胸を張って言えるようなことはありません。ただし、好きこそものの上手なれ、という側面はあったかもしれません。一つのことに継続して集中することは、このご時世ではなかなか難しいかもしれませんが、好きなことであれば他の仕事で大変でも、続けることで何かがきっと得られると思います。私もこれまでの研究をさらに継続し、今後も分子動力学の研究に精進していきたいと思います。
 最後に、塾員来往のコラムに執筆する機会を与えていただきました高野先生、渡邉先生に感謝申し上げます。

プロフィール

森下 徹也(もりした てつや)(愛知県立旭丘高等学校 出身)

1995年3月

慶應義塾大学 理工学部 物理学科卒業

1997年3月

慶應義塾大学大学院 理工学研究科 物理学専攻 修士課程修了

2000年3月

慶應義塾大学大学院理工学研究科 物理学専攻 博士課程修了

2000年4月

理化学研究所 研究員(ポスドク)

2003年4月

日本学術振興会 研究員(ポスドク)

2003年10月

産業技術総合研究所 入所
現在に至る
この間、王立メルボルン工科大学 客員研究員(2009年-2010年)、及び自然科学研究機構分子科学研究所 客員准教授(2012年-2014年)を務める。

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