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慶應義塾大学理工学部
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塾員来往

[第119回] 井上 浩明 NEC

 多くの先生方・友人にお世話になりながら過ごした慶應義塾での9年間の学生生活は、何事にも代え難い、私の大切な財産といっても過言ではありません。皆様のご参考になるかどうかは定かではございませんが、私が慶應義塾で学んだ3つの教えについてご紹介させて頂きます。

■ 高校時代:「チャンスやないか、攻めぇー」

 最初に学んだ教え、それは「リスクへの挑戦」です。
 私は、慶應義塾高等学校へ入学後、柔道部に入部しました。およそ柔道体型ではない私が入部した経緯は覚えておりませんが、武道への漠とした憧れがあったのではないか、と思います。柔道の醍醐味の1つは、技をかけて相手を投げることにあります。反面、下手な技をかけると、「柔よく剛を制す」という言葉があるように、その力を利用されて、逆に自分が投げられる危険が生じます。負けたくない一心で、技をかけることを躊躇している、私の弱い心を看破されていらっしゃったのでしょう。ご指導頂いた先生からは、しばしば「チャンスやないか、攻めぇー」というお叱りを頂きました。そのお言葉を通じて、心が負けていては試合にならない、すなわち、リスクを恐れず挑戦する勇気を持つ大切さを教えて下さったのだと思います。
 企業においても、簡単な仕事ばかりがあるわけではありません。そんな時、失敗に躊躇している自分に対して、「チャンスやないか、攻めぇー」という声が今でも聞こえてきます。

柔道部での稽古風景

■ 大学時代:「そこにフィジクスはあるのかい?」

 次に学んだ教え、それは「本質の追求」です。
 私は、高校卒業にあたり、電気系エンジニアである父親の姿に憧れていたのか、理工学部への入学を決意しました。ただし、自然科学への興味が強かったこともあり、物理学科へ進学しました。物理学科では3年次、非常に多くのレポート課題がありましたが、中でも印象に残っているのは、相対性理論の授業で出された「2粒子による相対論的衝突」を論じるレポート課題です。私は、授業で習った方程式を解き、意気揚々とレポートを提出したところ、その結果は0点でした。実は、私の解は数学的には正しかったのですが、その解と衝突という物理現象とを結びつけて論じていなかったことが原因でした。物理学科では、先生方がよく「そこにフィジクスはあるのかい?」と学生達に質問されていたと記憶しています。「なぜ、そんな結果が出るのか?」「その数式の意味するところは何か?」等、本質を追及する大切さを日々教えて下さったのだと思います。
 企業においても、お客様が抱えている課題を日々耳にします。そんな時、課題への解決案が思いついた気になっている自分に対して、「そこにフィジクスはあるのかい?」という声が今でも聞こえてきます。

大学卒業式の風景

■ 大学院時代:「おぬし、電源が抜けてるぞ・・・」

 最後に学んだ教え、それは「全体の俯瞰」です。
 大学院への進学の際、私は、物理学ではなく、計算機科学を専攻しました。というのも、物理学科に進学したのち、計算機に関する授業を受けたことで、その魅力にすっかり取りつかれてしまったからです。修士課程では、JUMP-1と呼ばれるスーパーコンピュータの研究に取り組みました。ある時、正しく書いたはずのプログラムがおかしな挙動をするという現象に見舞われました。毎日毎日プログラムのありとあらゆる箇所を調査しましたが、謎は深まるばかり。どうしても動かすことができず、指導教官である天野先生に相談したところ、計算機を一瞥した先生からは一言「おぬし、電源が抜けてるぞ・・・」。実は、プログラム自体は正しかったのですが、プログラムを計算機に送り込むボードの電源が抜けている、というお粗末な結果だったのです。先生は、ご自身の経験から、プログラムという要素だけにとらわれず、全体を俯瞰する大切さを教えて下さったのだと思います。
 企業においても、解決することが非常に難しい課題に直面することがあります。そんな時、課題を解決できない自分に対して、「おぬし、電源が抜けてるぞ・・・」という声が今でも聞こえてきます。

スーパーコンピューターJUMP-1(修士課程研究テーマ)

■ 慶應義塾で学ぶとは?

 企業に勤めてからはや15年、3つの教え(「リスクへの挑戦」「本質の追求」「全体の俯瞰」)を忘れずに、微力ながら社会に貢献してまいりました。今後も卒業生として、福沢諭吉先生の下記のお言葉を胸に、慶應義塾で得たものを実際の文明の事業で実行できるように努めてまいります。最後に、平凡な一企業人に過ぎない私に、本コラムの執筆という、身に余る機会を与えて下さった天野先生/山崎先生に心より感謝申し上げます。

     わが慶應義塾で、すでに技術としての学問をマスターしたものは、
     貧乏や苦労に耐えて、そこで得たものを実際の文明の事業で実行しなければならない
                                        福澤諭吉先生「学問のすすめ 現代語訳」より

プロフィール

井上 浩明(いのうえ ひろあき)(慶應義塾高等学校 出身)

1997年3月

慶應義塾大学理工学部物理学科卒業

1999年3月

慶應義塾大学大学院理工学研究科 計算機科学専攻 修士課程修了

1999年4月

NEC 入社

1999年5月

同社 中央研究所 配属

2007年10月

米国スタンフォード大学 客員研究員(~2008年9月)

2009年9月

慶應義塾大学大学院理工学研究科 開放環境科学専攻 博士(工学)

2014年4月

NEC 技術イノベーション戦略本部 配属
現在に至る。

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