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理工学部HOME > 学問のすゝめ > 「モスキート法」は知の媒介役になれるか?

学問のすゝめ

「モスキート法」は知の媒介役になれるか?

石榑 崇明 (物理情報工学科 准教授)

 モスキート=蚊は、デング熱などの伝染病媒介をする厄介者のイメージがあります。本稿のタイトルを見て医療系の研究を想像されたかもしれません。しかし、「モスキート法」は、石榑研究室で考案された光通信デバイス作製法の名称です。石榑研究室は、このモスキート法をコア技術として、コンピュータ内の信号伝送用光回路の実現を目指しています。

 光回路は、プリント基板上の薄膜状透明有機ポリマー(クラッド)中に、光信号伝送路となる「コア」の回路を形成したものです。モスキート法の工程を図1に示します。基板上に塗布したクラッド原料液膜内部に、注射器の針の先端を突き刺し、針を走査させつつコア用液状モノマーをクラッド内部に吐出して導波路回路パターンを作製します。「針を突き刺す」工程の類似性から「モスキート法」と名付けました。

 これまでのポリマー光導波路作製法は、フォトリソグラフィ法が一般的でした。そのため、矩形状断面コアが形成され、これらコアは単一平面内への配列に限られていました。光導波路は、円形断面コアを有する光ファイバとの接続が想定され、コア形状違いによる光損失が懸念されます。矩形ではなく円形コアを形成できる「導波路新作製法は無いか?」と考えていたある日、歯磨き粉が歯ブラシ上で円柱形状を保つことをヒントに、モスキート法を考案しました。当時、この実験担当をしていた学生が、針先端を突き刺す方法を提案してきました。光導波路作製方法からすると非常識と思われる手法ですが、所望の円形コアが容易に作製でき、この時、モスキート法が誕生しました。

 以降、モスキート法には、多くの可能性が見いだされました。針の走査方向が平面内に限定されないため、鉛直方向コア配列(3次元配線)が可能になりした。図2に、例として多段コア導波路断面写真を示します。また、企業から円形断面を有するマイクロ流路作製について打診されました。図3に、作製したマイクロ流路の上面写真を示します。これは人工血管への応用が期待され、やはり担当学生の考えで、血管に必要な枝分かれ構造の作製に初めて成功した例です。通信以外の新分野展開が始まりました。さらには、吐出後のコアモノマー挙動を知りたくなり、これも学生の提案で、流体が専門の機械工学科の深潟教授との共同研究に至りました。流体解析により、コアが形成される位置、コアの径、形状の制御法などが定量化されてきました。図4に、針先端から吐出されたコアモノマーの流れの計算結果と、実測結果を示します。非常に良い一致が見られます。徐々に、モスキート法の不明だった点が明らかにされ始めました。

 この様に、モスキート法は、光回路を超えて新分野に展開しつつあります。様々な「知の媒介役」として慕われる蚊となることを願っています。

図1 モスキート法の工程図並びに写真

図2 モスキート法にて作製した2段×12チャネル円型コアポリマー光導波路の断面写真

図3 モスキート法にて作製したY字分岐円型断面マイクロ流路写真

図4 モスキート法工程中のコアモノマー吐出写真と流体シミュレーション結果比較

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