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理工学部HOME > 学問のすゝめ > 自然界における生体防御の化学

学問のすゝめ

自然界における生体防御の化学

藤本 ゆかり (化学科 教授)

 私たちの生命・生体機能あるいは日常生活を支える物質の中で、多くの有機分子が重要な役割を果たしています。分子の構造の違いが、異なる機能や性質を生じさせますし、場合によっては、体の中での分子構造の変化が病気の原因にもなります。

 我々の研究室では、主に自然界や生体内に存在している生体防御に関わる“分子の形と機能”に興味を持って研究を行っています。“形”は、すなわち化学構造ですが、“機能”としては、他の特定の分子への結合しやすさや、生物活性、細胞内あるいは生体内での分布・挙動等を対象としています。特に、免疫機構全体の活性化につながる自然免疫活性化の最初の引き金を引く分子群(多くは微生物由来物質)と、抗体抗原反応等に代表される獲得免疫系のバランスを決める分子に興味を持っています(図1)。ターゲットとする分子(化合物)がどういった役割を果たしているかを明らかにするため、まず、免疫調節作用を持つ天然型化合物の有機化学合成を行い、純粋な化合物を手に入れるとともに、得られた化合物を用いた機能の解析を行っています。合成技術は天然の生理活性化合物の他、創薬、電子材料、高分子材料等々あらゆる有機化合物の合成に応用でき、現代の人類の生活を支える技術でもあります。

 図2に、天然の微生物表層由来の免疫調節性の化合物の例を示しましたが、複合脂質あるいは複合糖質と呼ばれるような構造をしたものが多くあります。幾つかの活性分子の機能を組み合わせて、うまく免疫系のバランスの調節ができれば、例えば癌細胞に対する免疫のみを活性化して癌を排除することも原理的に可能なことから、選択的に免疫系を調節できる分子の設計・創製を目指した研究も行っています。

 普段呼吸している空気中には、土埃等と一緒に微生物や微生物由来の化合物も無数に存在しています。こうした微生物の中には、必ずしも病気を起こす病原菌ではなく、通常はあまり害を与えない常在菌と言われる菌が多く存在しており、呼吸の際に細菌由来の物質をいつの間にか摂取しています。我々の研究では、細菌が分泌している免疫調節性の分子の構造を明らかにするとともに、その分子が、自然免疫受容体タンパク質により認識されることを明らかにしています。また、空気と同様、日頃あまり意識していませんが、ヒトは腸内に通常、百を超える種類の細菌を飼っていて(腸内細菌叢と呼ばれています)、健康な生活に必須となっています。偶然、大腸菌は培養しやすいので古くに発見され有名ですが、大腸菌以外にも多くの培養の難しい菌を腸内に持っていて共生関係とも言うべき関係を保持しています。

 上記で述べた現象はほとんどの場合、何らかの微生物由来の分子とヒトの分子(例えば細胞表層のタンパク質等)が結合/相互作用して起こる変化によって生じます。そのような、微生物とヒトを含めた多細胞生物の駆け引きの鍵を握っている分子についても明らかにしたいと考えています。「有機化学」を基盤に、分子の構造と性質を理解し、化学の目で身の回りの現象を見て深く理解できるようになることは、科学の進歩した現代社会に生きる私たちの特権であると同時に、その知見を、人類・社会の利益にフィードバックできる機会に繋がると考えています。

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