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理工学部HOME > 学問のすゝめ > 酵素の機能を自在に操る

学問のすゝめ

酵素の機能を自在に操る

宮本 憲二 (生命情報学科 准教授)

 酵素は、何かしらの反応を行うことができるタンパク質であり、たった20種類のアミノ酸がペプチド結合により数百~数千個連なってできています。酵素はグニャグニャの紐のような構造ではなく、精密に折りたたまれた非常に複雑な立体構造をしています。そして、内部の不斉空間に基質を取り込んで、あらゆる手段を用いて活性化エネルギーを下げて、反応が円滑に進むようにがんばっています。自然界には未だ知られていないようなすばらしい機能を持つ酵素が眠っています。私は、新奇酵素の探索とその機能を合理的に改変・向上する研究を行っているので、その幾つかを紹介したいと思います。

【合理的デザインによる酵素機能の向上】
 最近では多くの酵素の立体構造が解かれ、その詳細な反応メカニズムが明らかとなってきました。この情報がわかったことで、酵素機能を合理的にデザインして、ピンポイントで狙って改変することができる様になってきました。今はまだ手探りの状態ですがデザインの精度が向上すれば、従来から行われてきたランダム変異と比較して、圧倒的に短時間・低コストで目的とする性能を持つ酵素を創り出すことが可能だと考えています。

 酵素の基質特異性や最大速度などのパラメーターは決まっており、それを簡単に変えることは非常に困難と考えられてきました。中でも、変異導入による酵素活性の向上は、最も困難な課題であり、挑戦する人はほとんどいませんでした。最近我々は、独自に見いだしたアリールマロン酸脱炭酸酵素(AMDase)を対象として合理的なデザインを行うことにより、自然界に存在しない活性を持つ変異型酵素(立体選択性の逆転したS体選択的AMDaseや非天然化合物に作用するラセマーゼ)の創出にも成功しました。そして、その数カ所のアミノ酸にピンポイントで変異を導入し活性部位の再デザインを行うことで、数十倍~1万倍もの活性向上に成功しました。酵素活性が1万倍上がることは、ある製造プロセスで100万円かかっていた酵素のコストが100円に下がることを意味しており、工業的にも極めてインパクトの大きいものです。この様に、酵素活性は合理的デザインにより向上することができることを示すことができました。

【PET分解酵素の発見】
 テレフタル酸とエチレングリコールのポリエステルであるPET樹脂は、ボトル等の容器や衣服用の繊維として広く用いられています。しかし、非常に安定性の高いPET樹脂を好んで分解する微生物は存在しないと考えられてきました。最近、我々と京都工芸繊維大学のグループはPET樹脂を分解できる世界で唯一の微生物の発見とゲノム解析に成功しました。この微生物は、生育が非常に遅く、ひっそりとPETを分解していて今まで見つかることが無かったようです。そしてPET繊維の表面加工やPETリサイクルに応用が期待される新奇PET分解酵素(PETaseと命名)を見いだしました。既に特許出願も終えており、性能を向上し実用化を目指したいと思っています。

【まとめ】
 酵素は触媒としての機能が優れており、グリーンなプロセスを構築できるため、今後益々利用範囲を拡大していく必要があります。元気で優秀な学生と共に世界が驚愕するような特徴ある酵素の探索や創出を行っていきます。そして、その性質を大幅に向上することで超高効率的なプロセスの実現につなげていきたいと考えています。

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