音声ブラウザ専用。こちらより利用者別メニューへ移動可能です。クリックしてください。

音声ブラウザ専用。こちらよりメニューへ移動可能です。クリックしてください。

音声ブラウザ専用。こちらよりカテゴリ内メニューへ移動可能です。クリックしてください。

音声ブラウザ専用。こちらよりメインコンテンツへ移動可能です。クリックしてください。

慶應義塾大学理工学部
English
サイトマップ
KEIO NAVI
受験生の方
在学生の方
卒業生の方
企業・研究者の方
YAG@MIX(学内向)
概要
学部・大学院
教育・研究
教員プロフィール
関連リンク
交通アクセス
理工学部創立75年

理工学部HOME > 学問のすゝめ > 自然に学ぼう-環境変化に対応する生殖戦略-

学問のすゝめ

自然に学ぼう-環境変化に対応する生殖戦略-

松本 緑 (生命情報学科 准教授)

地球に生命体が誕生して36億年。現在、地球上には1000万種を越える生物が、さまざまな環境に適応し共存していると考えられています。生物は変化する地球の環境に適応するべく種および個体間の競争を繰り返しています。生物はこの競争に勝ち、次世代を育成するための戦略、「生殖戦略」を仕掛けています。

この生殖戦略についてお話する前に、「性」についてお話しましょう。「性」とは、広辞苑では「男女、雌雄の区別」を意味すると書かれていますが、生物学的には、「生殖において雌雄の遺伝情報(ゲノム)が混合すること」を意味します。次世代をつくるための生殖の様式には、ゲノムの混合を伴わない無性生殖とゲノムの混合を伴う有性生殖が存在します。無性生殖では、再生、出芽、単為発生といった生殖方法を用い、体細胞分裂により、次世代のゲノムを複製・コピーして作ります。
一方、有性生殖では、接合、受精といった2個体由来の生殖細胞のゲノムの混合を伴うとともに、生殖細胞特異的な減数分裂によりゲノムの組換えを起こします。両生殖様式を比較すると、生殖に特化した生殖細胞を形成し、パートナーを見つけなければならない有性生殖の方が無性生殖よりも時間とコストがかかります。しかし、生まれてくる次世代の多様性は、コピーである無性生殖は均一であるのに対し、組換えとゲノムの混合が起こる有性生殖が勝り、環境に対する適応力を獲得する可能性が高くなります。このように両生殖様式には一長一短あります(図1)。

生き物の中にはこれらの「いいとこ取り」をして、同種、または同個体でありながら、温度、日長など環境条件により、両生殖様式を転換させるものもいます。その代表例が扁形動物プラナリアです。プラナリアには、自然界でも一定の大きさに成長すると自切し、再生するという無性生殖を行うものと、体内に卵巣、精巣などの生殖器官を発達させて、2個体がペアになり有性生殖を行うものがいます。さらに、この両者を温度、季節等の環境条件により転換させるものもいます(図2)。

私はこの生殖様式の転換機構に着目しています。プラナリアでは、季節等、年オーダーの刺激により生殖様式を転換します。このシステムを分子レベルで詳細に調べるために、私達は、独自に実験的に無性生殖個体を有性生殖状態に転換させる実験的有性生殖化システムを開発しました。過去の知見を応用して、毎日無性個体に有性生殖個体を投餌することにより、1ヶ月後にはなんと100%の効率で有性生殖状態にすることができました。これにより、生殖細胞の分化、生殖様式の決定、生殖様式と寿命など、生殖様式転換の研究を進めることができています。

自然の中には私達の想像を超えた現象ばかりです。私達の研究室のモットーは「Study nature, not books」これはアメリカのハーバード大学の動物学者 ルイ・アガシ教授の言葉です。「書籍ではなく、自然から学べ。」つまり、本で読んで納得するのではなく、自然を実感して、大いなる自然の仕組みを理解しようということでしょう。
この言葉は、世界最大臨海実験所であるウッズホール海洋生物学研究所の図書館に収められています(図3)。なんとも自戒的ですよね。

↑PAGE TOP