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学問のすゝめ

表面の世界を探る

近藤 寛 (化学科教授)

 物には必ず表面があります。私たちが物を見るとき、多くの場合、中身を直接見るよりもその物の表面を見てそれが何であるかを判断します。私たちは無意識のうちに"表面"を通してその物を認識しているとも言えます。しかし、この物の表面を意識的に眺めてみると、思わぬ世界が広がっていることに気づかされることがあります。例えば、ハスの葉の上にしずくが落ちると、水玉になって転がる様子を目にすることがありますが、ハスの葉の表面を顕微鏡で眺めると小さな突起が20~30ミクロン間隔で覆っている様子が見えてきます。この突起は水玉を転がすうえで大切な役割を果たしています。

 さらに原子や分子を見ることができるミクロの目で調べると、表面のナノスケールの世界の不思議な様子が見えてきます。私たちは、顕微鏡に加え、シンクロトロン放射光X線という強力なX線を使って表面の分子の振る舞いを調べる研究に取り組んでいます(図1)。

 図2に示したのは、金の表面をある有機分子の蒸気にさらした後で観察した顕微鏡像です。分子は表面にランダムに衝突しますので、ランダムに着くと考えがちですが、実際には秩序性の高い配列を自発的に形成します。分子の配列を放射光X線で調べると、図中に模式的に示すように、分子は表面に横たわり、黒丸で示す硫黄原子が2列に並んだ"分子のナノワイヤー"が出来ていることが分かります。

 ところで、化学反応が起こるときには、しばしば"触媒"が非常に重要な役割を果たすことはご存知のことと思います。触媒反応の多くは触媒の表面での反応です。触媒表面では、ただ混ぜただけでは決して起こらないような化学反応が簡単に起こります。私たちは放射光X線を使って、触媒表面の化学反応のしくみを調べる研究も行っています。

 図3は、自動車の排気ガス無害化に使われる白金触媒の表面における一酸化炭素の無害化(酸化)反応の進行をシミュレーションした様子を示しています。一酸化炭素が多すぎると"被毒"という触媒性能が悪くなる現象が起こりますが、シミュレーションはそれがどのようにして起こるかを示しています。

 表面が関わる化学反応は触媒反応だけではありません。彗星の氷や宇宙塵の表面での化学反応は、宇宙での物質進化に重要な役割を果たしていると考えられています。また、生体膜や生体組織の表面での化学反応は生命活動に欠かせないものです。表面における分子の振る舞いの理解は、基礎科学としても、実用分野との関わりにおいても、取り組みがいのある奥の深いテーマなのです。

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