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理工学部HOME > 学問のすゝめ > 脳を知り、脳を活かす。

学問のすゝめ

脳を知り、脳を活かす。

牛場 潤一 (生命情報学科専任講師)

 私たちは普段、何気なく足を動かして道を歩き、手を伸ばしてコップをつかみます。これは、脳という140億個もの神経細胞の塊がお互いに信号をやり取りして、手足の筋肉たちに向かって正しい順番と強さで収縮するように命令することで実現しています。運動の発現メカニズムがわかってくれば、脳卒中やパーキンソン病など、脳の病気で手足が不自由になる仕組みに迫ることができ、新しい治療の確立に向けて研究を進めることができるでしょう。私たちは脳の理解と活用に向けて、自分たち自身が被験者となって、運動をしているときの脳活動を分析したり(図1)、神経ネットワークを計算機や電子回路の中に仮想的に組み立てて、その挙動を検証しています(図2)。

 具体的にはたとえば、脳や筋肉の活動信号を数学的に分析して、本人も意識していないような細かい手足の震えを正確に鑑別する手法を開発しています(図3)。100名を超える大規模調査の結果から、手足の器用さは「生まれながらの脳の器用さ」に依存する要素がありそうだということが分かってきました。私たちの開発した解析手法や脳科学上の発見は、医療やスポーツ科学にも応用できるのではないかと考えられ、慶應内外の研究機関で実証実験が進んでいます。

 私たちはこのように「脳を知る」研究に取り組む一方、脳の状態をリアルタイムに読み取り、その状態変化に応じてパソコンなどの外部機器を動かす、「脳を活かす」研究にも最近取り組み始めました。手足の不自由な方を助け、生活を豊かにしてくれるであろうこの技術は、ブレイン・マシン・インターフェース(Brain-Machine Interface)と呼ばれ、世界中で盛んに研究が進められています。念じるだけでパソコンのマウスカーソルが動き、自分の手のかわりにロボットハンドがコップをつかむ、、、まるでSF小説や映画に出てくるような出来事が実現する日は、実はすぐそこに迫っています。私たちの研究チームでは、インターネット上の三次元仮想現実社会「Second Life」の中のキャラクターを、足や手の運動イメージに合わせて動かす技術の開発をしました(図4)。今年中にはバージョンアップをして、ほかのキャラクターと会話を楽しんだり、仮想社会の中にあるショッピングモールで好きな洋服を買ったりすることができるようになる予定です。映画「マトリックス」で描かれているような、現実社会と仮想社会が融合するこの技術は、治療が困難な四肢麻痺患者さんの日常生活を支える技術として、国内外から高く注目されています(たとえば、ロイター通信の記事などをご覧ください)。


 脳の活動を読み取って機械を動かすこの技術は、自身の手足を動かすことができない四肢麻痺患者さんにとっては福音となる一方、これまでの私たちの倫理感覚に揺さぶりをかけていることも事実です。人間の脳を知ることはどこまで許されるのか。脳と機械を融合させることはどこまで許されるのか。急速な科学技術の進歩とともに、「人間とはなにか」について、いま一度見つめなおさなくてはなりません。

 生命科学の進歩はデバイス工学と結びつき、私たちの価値観や倫理観をも巻き込みながら、新しい世界を生み出していきます。もはや先端的な脳科学には、高い専門技術だけではなく、幅広い総合力が求められる時代です。理学、工学、医学、倫理学など、従来までの学問領域が多層的に融合した新しい潮流に、皆さんも挑戦してみませんか?

 富田・牛場研究室では、慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター、医学部リハビリテーション医学教室、同リハビリテーション科とともに協力体制を敷き、現場思考の医工融合的な教育研究を推進しています。

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