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理工学部HOME > 学問のすゝめ > 望遠鏡を使わない天文学

学問のすゝめ

望遠鏡を使わない天文学

加藤万里子 (外国語・総合教育教室教授)

「さそり座U星」

私の理論にもとずいた「さそり座U星」という新星の想像図です。

みなみのかんむり座 V394星

みなみのかんむり座 V394星

かんむり座 T星

かんむり座 T星

加藤先生

 天文学は星や銀河、宇宙など、とてもスケールの大きい天体を研究する学問です。空間だけでなく、時間の方も遠大で、太陽系や人間がまだ存在していなかった昔や宇宙のはじめの出来事も研究対象です。天体を研究するには、光学望遠鏡以外に、電波望遠鏡やX線望遠鏡(人工衛星搭載)などいろいろな観測機器を使いますが、望遠鏡を使わない研究方法もあります。それは、コンピューターのなかで天体を再現するやりかたです。

 私は新星を研究しています。新星は太陽のような普通の星と、白色矮星という小さくて重い星が互いのすぐ近くを回っているとき、普通の星から出たガスが白色矮星にふりそそぎ、表面の爆発現象をひき起こして、突然明るくなる現象です。左の図は私の理論にもとずいた「さそり座U星」という新星の想像図です。左のガス円盤の中心にある星の表面で水素ガスが爆発すると、ガスが大きく広がり明るくなります。望遠鏡で観測しても、このように細かくはわからないどころか、2つの星を分離して見ることもできません。理論家は、いろいろな観測結果をもとに、物理の理論をくみたて、コンピューターで数値計算をして、天体の姿に迫るのです。

 新星が爆発すると、炭素や酸素を宇宙に撒きちらします。ある種の新星は、最後に超新星爆発をして、大量の鉄を生成します。これとは別に、重い星は一生の最後に超新星爆発をおこして、硅素やニッケルを放出します。これらの元素が星をつくる材料のガスに混ざり、新しい星が誕生します。私たち地上の生命を作っている元素は、このようにして、遠い昔に星の中で合成されました。研究室のパソコンが、宇宙の遠くの出来事につながっているのです。

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