新板 窮理図解

早稲田大学の非常勤講師を経て、2009年から慶應義塾大学に着任されました。
 理工学部の英語の教員として採用されたことは、研究を進めるうえで、とてもよかったと思っています。理工学部は、学生と教職員の距離が近く、学生へのフォローが手厚いのも特徴です。私自身、学生に混じって応用数学の授業を受けたり、学生から音波の分析に欠かせないフーリエ解析などについて教えてもらったりできるのも、学部内のそうした雰囲気があるからこそです。
 それから、慶應に戻ってきて感慨深かったのは、学部の頃に聞いていたNHKラジオ・ロシア語講座の講師をなさっていた金田一真澄先生や、渡米前に留学のご相談をさせていただいた小原京子先生と一緒に仕事をする機会が得られたこと。こうしたご縁に恵まれたことに感謝しています。慶應大学には、総合大学として幅広い分野の専門家が在籍されていて、異分野の先生方と交流できる点も大きな特長と言えます。
 もう1つ、3〜4年ほど前から、言語文化研究所の川原繁人先生が主催している、「マイボイス」という、自動音声読み上げのためのソフトの使い方を紹介するワークショップのお手伝いをしています。声を事前に録音しておく必要はありますが、このソフトを使うと、病気などで声を失ったり、しゃべれなくなったりしても、自分の声で周囲とコミュニケーションをとることができます。
 普段、声について意識することはあまりないかもしれません。しかし、実は声というのは、その人のアイデンティティを示す非常に重要な要素です。文の読み上げも、自分の声と他人の声では、印象がまるで違います。私自身、この活動を通じてそのことを再認識しました。より多くの方にマイボイスの存在を知っていただき、活用していただければと思っています。

休日の過ごし方は?
 トレイルランニングや登山などでリフレッシュしています。トレイルランニングというのは、簡単に言うと、山を走る競技のこと。よく行くのは高尾や丹沢の山などで、あらかじめ地図でルートをいくつか考えておいて、早朝から山に出かけます。1人じゃ危ないと、家族によく叱られますが…(笑)。
 仲間と一緒に出かける時は美味しいジェラート屋さんに立ち寄ったり、秘境にあるおそば屋さんをゴールにしたりして、のんびりと山を楽しみます。最近はちょっと故障気味であまり出られませんが、年に3〜4回はトレイルランニングやマラソンの大会にも出ています。景色のいいところを走ると、とてもいい気分転換になります。

どうもありがとうございました。

◎ちょっと一言◎
学生さんから
「音声」に興味を持ち、杉山先生の授業を受講しました。やさしいけれど指導には熱心で、ときには学生に先生役を任せるなど、講義にもさまざまな工夫があり、先生ご自身も学生と一緒に楽しんでいらっしゃるようです。先生にご紹介いただいた「マイボイス」の編集作業もお手伝いしていますが、医師や作業療法士の方との共同作業を通じて、世界が広がります。

(取材・構成 田井中麻都佳)